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4話
缶詰2日 恋人代用品【7】
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「今するの?」
「今しかないから」
森山君が立ちあがった。
それからあっという間に距離が縮まって抱きしめられた。
「葵さん、キスしていい?」
耳元で優しく囁かれた。
葵さんって呼んでくれた事が嬉しい。そっか、恋人時間の時はそう呼んでくれるんだ。
ゆっくり頷くと、唇に唇が重なった。
唇にキスはダメだって言ったのに……。
抵抗できない。深いキスに頭の奥がのぼせた。
「では、行ってらっしゃい」
長いキスが終わると、森山君がそう言った。
その言葉に恋人の代用品でしかない事がハッキリとわかる。
森山君には片思いの人がいて、私にも夏目さんがいて……。
私たちの心には違う相手がいる。
だから代用品がちょうどいいんだ。
そう思うけど、寂しい。
キスはするのに、心がないなんて。
どうして森山君は好きな人がいるのに私にキスできるの?
「春川さん、どうしたんですか?」
唇を結んで、黙っていると心配そうに聞かれた。
「恋人の代用品だから私にキスするの?」
眼鏡のない瞳が困ったように動いた。
「キス、嫌でした?」
「そうじゃないんだけど。好きな人がいるのに私にキス出来るのが信じられないって思って」
「同じ言葉、春川さんにお返ししますよ。これから夏目さんに会うのに、キスに同意しましたよね」
それを言われては立つ瀬がない。
「そうだけど……」
でも、やっぱりこんな関係矛盾してる。
そう言いたいのに言葉が出てこない。
「好きな人に振り向いてもらえない寂しさを俺たちは埋めあえる関係だと思ったから、代用品の提案をしたんです」
「寂しさを埋める?」
「一人でいるのは寂しいと思いませんか?」
じっと見つめられ息が止まった。
こちらを向く黒い瞳は本当に寂しそうで、氷の世界に一人で住んでるみたいだった。
何がそこまで森山君を追い詰めるんだろう。
「そんなに困った顔しないで下さい」
森山君が微笑んだ。
「森山君は寂しいの?」
「時々無性に寂しい時があります。でも、今日春川さんと恋人ごっこをして楽しかった」
「恋人ごっこ……」
本物じゃない事を突き付けられて、悲しくなる。
なんで悲しいんだろう。
シナリオを書く為の割り切った関係である事はわかってるのに。
「恋人ごっこ止めた方がいいですか?」
「シナリオを書く為に必要なんでしょ?」
「はい」
「じゃあ、続けるしかないじゃない」
「春川さんの負担にならないように、この缶詰生活が終わるまでにはシナリオを書きあげますから」
ホテル生活が終わったら、この歪んだ関係も解消されるのか。
一日も早くそうなって欲しい。
だけど、一日でも長く森山君の側にもいたい。
今日、恋人として過ごした時間は心から楽しかったから。
森山君の事、本当の恋人みたいに思えたから。
矛盾した思いが苦しい。
夏目さんを好きなのに森山君といる事を望んでる。
どうしちゃったんだろう、私。
自分の気持ちがわからない。
「春川さん、眉間に皺が寄ってますよ」
クスクスっと眼鏡をかけた森山君が笑った。
「そんな顔、夏目さんに見せたらダメですよ。春川さんは笑顔が一番可愛いんですから、笑ってるんですよ」
「うん、じゃあ今日はこれでお疲れ様」
「お疲れ様でした」
森山君の部屋を出て自分の部屋に戻ってから夏目さんに電話をした。
大好きな夏目さんと話しながら、森山君の事を考えていた。
こんな事今まで一度もなかったのに。
どうして森山君の事が気になるんだろう……。
「今しかないから」
森山君が立ちあがった。
それからあっという間に距離が縮まって抱きしめられた。
「葵さん、キスしていい?」
耳元で優しく囁かれた。
葵さんって呼んでくれた事が嬉しい。そっか、恋人時間の時はそう呼んでくれるんだ。
ゆっくり頷くと、唇に唇が重なった。
唇にキスはダメだって言ったのに……。
抵抗できない。深いキスに頭の奥がのぼせた。
「では、行ってらっしゃい」
長いキスが終わると、森山君がそう言った。
その言葉に恋人の代用品でしかない事がハッキリとわかる。
森山君には片思いの人がいて、私にも夏目さんがいて……。
私たちの心には違う相手がいる。
だから代用品がちょうどいいんだ。
そう思うけど、寂しい。
キスはするのに、心がないなんて。
どうして森山君は好きな人がいるのに私にキスできるの?
「春川さん、どうしたんですか?」
唇を結んで、黙っていると心配そうに聞かれた。
「恋人の代用品だから私にキスするの?」
眼鏡のない瞳が困ったように動いた。
「キス、嫌でした?」
「そうじゃないんだけど。好きな人がいるのに私にキス出来るのが信じられないって思って」
「同じ言葉、春川さんにお返ししますよ。これから夏目さんに会うのに、キスに同意しましたよね」
それを言われては立つ瀬がない。
「そうだけど……」
でも、やっぱりこんな関係矛盾してる。
そう言いたいのに言葉が出てこない。
「好きな人に振り向いてもらえない寂しさを俺たちは埋めあえる関係だと思ったから、代用品の提案をしたんです」
「寂しさを埋める?」
「一人でいるのは寂しいと思いませんか?」
じっと見つめられ息が止まった。
こちらを向く黒い瞳は本当に寂しそうで、氷の世界に一人で住んでるみたいだった。
何がそこまで森山君を追い詰めるんだろう。
「そんなに困った顔しないで下さい」
森山君が微笑んだ。
「森山君は寂しいの?」
「時々無性に寂しい時があります。でも、今日春川さんと恋人ごっこをして楽しかった」
「恋人ごっこ……」
本物じゃない事を突き付けられて、悲しくなる。
なんで悲しいんだろう。
シナリオを書く為の割り切った関係である事はわかってるのに。
「恋人ごっこ止めた方がいいですか?」
「シナリオを書く為に必要なんでしょ?」
「はい」
「じゃあ、続けるしかないじゃない」
「春川さんの負担にならないように、この缶詰生活が終わるまでにはシナリオを書きあげますから」
ホテル生活が終わったら、この歪んだ関係も解消されるのか。
一日も早くそうなって欲しい。
だけど、一日でも長く森山君の側にもいたい。
今日、恋人として過ごした時間は心から楽しかったから。
森山君の事、本当の恋人みたいに思えたから。
矛盾した思いが苦しい。
夏目さんを好きなのに森山君といる事を望んでる。
どうしちゃったんだろう、私。
自分の気持ちがわからない。
「春川さん、眉間に皺が寄ってますよ」
クスクスっと眼鏡をかけた森山君が笑った。
「そんな顔、夏目さんに見せたらダメですよ。春川さんは笑顔が一番可愛いんですから、笑ってるんですよ」
「うん、じゃあ今日はこれでお疲れ様」
「お疲れ様でした」
森山君の部屋を出て自分の部屋に戻ってから夏目さんに電話をした。
大好きな夏目さんと話しながら、森山君の事を考えていた。
こんな事今まで一度もなかったのに。
どうして森山君の事が気になるんだろう……。
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