25 / 83
4話
缶詰2日 恋人代用品【6】
しおりを挟む
ホテルには午後一時半ごろ戻って来た。
森山君の隣でノートパソコンに向かいながら、うきうきしているのを感じた。
昨日よりも胸キュンシーンを書くのが楽しい。
恋人効果が出てるんだ。やっぱり恋人の存在って凄いな。こんなに恋のお話が楽しく書けちゃうなんて。
森山君の提案は正解だったんだ。
森山君もウキウキしながら書いてるのかな。
ふと、右隣を見ると、真剣な表情でキーボードを叩く姿があった。鼻筋の通った横顔が凛々しくてカッコイイ。にやけそうになる。
「葵さん、何ですか?」
ノートパソコンに視線を向けながら森山君が言った。
「何でもないよ」
「こっち見てませんでした?」
「シナリオを書いてる森山君、カッコイイなって見てたの」
キーを叩く手が急に止まって、森山君がこっちを見た。
頬が少し赤い。
「へ、変な事言わないで下さい。調子狂いますから」
「もしかして照れてる?」
「……照れますよ」
黒縁眼鏡のフレームを抑える森山君が恥ずかしそうに見えた。
かわいい。こんな一面あったんだ。
「余計な事言ってないで仕事して下さい。七時からデートするんですから」
夕食も外で食べようと誘われていた。
「夕飯食べに行くのはデートになるの?」
「恋人同士だとデートになるんです」
そう言った森山君はやっぱり照れくさそうに見えた。
「今日は二回デートが出来るんだ。恋人って楽しいね」
再びパソコンに向かい、私たちはキーボードを叩き始めた。
そして、本日終了予定時刻の六時をあっという間に迎えた。
予定では4話までだったけど、5話まで終わらせる事が出来た。
執筆が順調に進んでる。この調子だったら缶詰期間中に全20話書き終わりそう。
「葵さん、スマホ点滅してますよ」
森山君の声でノートパソコンからテーブルの上のスマホを見た。
着信は夏目さんからだ。
日曜日に電話してくるなんて珍しい。何かトラブル?
緊張しながら電話に出ると、夏目さんの優しい声がした。
「春川、お疲れ。シナリオはどうだ?」
「お疲れ様です。予定通りに進んでます」
「それは良かった。ところで今夜、春川と森山君を夕飯に誘いたいんだが、都合はどうだ?」
ご飯に誘ってくれるなんて嬉しい。外で食べる予定だったし、いいかもしれない。
「夏目さんのおごりですか」
「もちろん。君たちには頑張ってもらってるからな。何でもいいぞ。好きな物を食わせてやる」
「わかりました。森山君と相談してみます」
電話を切って、隣でキーボードを叩いている森山君を見た。
「電話、夏目さん?」
「うん。夏目さんが夕飯ごちそうしてくれるって」
森山君も喜ぶと思ったら、一瞬険しい表情を浮かべた。
「そうですか」
「ねえ、何が食べたい?焼肉?ステーキ?それともお寿司?」
「俺はいいですよ。春川さんだけ行って来て下さい」
“春川さん”って呼び名に距離を感じる。今日はずっと葵さんって呼んでくれてたのに。
「遠慮しなくていいよ。行こうよ。どうせ外で食べる予定だったし」
「予定に夏目さんは入っていませんでしたから」
もしかして私とデートがしたかったの?
「三人でデートも楽しいよ」
「デートとは言いません。食事会です」
「食事会もいいじゃない。せっかく夏目さんが声かけてくれたんだし。きっと高いお店連れて行ってくれるよ。こんな機会中々ないし」
「春川さん、嬉しそうですね」
「だって夏目さんと森山君とご飯だって思ったらウキウキするもの」
「春川さん」
森山君が静かに言った。
「何?」
「思うんですけど、恋愛の傷は新しい恋愛をしないと治らないと思うんです」
「新しい恋愛?」
「上書きする事で古い恋は忘れるって事です」
「何が言いたいの?」
「つまり、夏目さんの胸に飛び込んでみたらどうですか?」
「えっ」
「あの元彼の後に好きになったのは夏目さんなんでしょ?」
「うん、まあ」
「恋人の代用品をお願いしていますが、あくまで代用品なので春川さんは本命の恋を追いかけて下さい。俺とはシナリオを書いている間だけの恋人で構いませんから」
「怒ったの?デートの約束をすっぽかしたから」
「怒ってませんよ」
森山君が穏やかに笑った。
「春川さんには幸せになってもらいたいんです。だから同僚として夏目さんとの恋を応援したいんです。今日のシナリオも書き終わったし、恋人のお仕事も今日は終わりで大丈夫ですから」
「恋人って仕事だったんだ」
「仕事の一部です。その方が割り切れていいですから。その日のシナリオが書き終わったら恋人時間も終わりにしましょう。俺だって会いたい女の人がいますし」
会いたい女の人……。
それって……
「森山君も片思いの人がいるって事?」
「そうですよ」
ショックだった。
「だったらその人と恋人になればいいのに」
口にしてみて、言ってはいけない言葉だったと後悔する。
想いを告げられないから片思いでいるんだ。その苦しさは誰よりもわかってるはずなのに。
森山君を見ると、案の定、傷ついたような表情を浮かべていた。
「ごめん」
「いいんですよ」
森山君が傷ついたままの表情で口の端を上げた。
「俺の事は気にしないで下さい」
「森山君、本当に行かないの?」
「春川さん、俺の心配なんかしてないでせっかくのチャンスを物にする事を考えたらどうですか?夏目さんと二人きりの夜なんて滅多にないんでしょう?」
「そうだけど」
いきなり二人きりなんて困る。
森山君がいてくれた方がいいのに。
「今は夏目さんフリーですよ」
「知ってる」
「だったら迷う事なんてないじゃないですか」
「夏目さんに気持ちを伝えろって言うの?」
森山君が頷いた。
「無理に決まってるでしょ。下手に告白してフラれたら会社にいづらくなるし。それに社長だし」
クスクスっと森山君が笑った。
「確かにそれもありますね。気持ちを伝えるかどうかは別にして、二人きりで過ごす時間は大切ですよ。少しずつ距離を縮めていったらどうですか?」
「森山君は夕飯どうするの?」
「適当に出かけますから心配しないで下さい」
「片思いの人に会いに行くの?」
「それは秘密です」
「人の事あおっておいて、森山君は何もしないなんてズルい。ちゃんと会いに行って来て。じゃないと私も夏目さんに会わない」
「わかりましたよ。会いに行きますから」
「それで明日、報告ね」
「春川さんも報告してくださいよ」
「わかったわよ」
「じゃあ、お疲れ様です」
「うん、お疲れ様」
「春川さん」
森山君が座ったままじっとこっちを見上げた。
「何?」
「キス」
「え」
「一日一回は恋人の代用品としてキスする事になったでしょ。今日はまだしてません」
森山君がそう言って、眼鏡を外した。
目鼻立ちの整った王子様フェイスが現れてドキッとする。
森山君の隣でノートパソコンに向かいながら、うきうきしているのを感じた。
昨日よりも胸キュンシーンを書くのが楽しい。
恋人効果が出てるんだ。やっぱり恋人の存在って凄いな。こんなに恋のお話が楽しく書けちゃうなんて。
森山君の提案は正解だったんだ。
森山君もウキウキしながら書いてるのかな。
ふと、右隣を見ると、真剣な表情でキーボードを叩く姿があった。鼻筋の通った横顔が凛々しくてカッコイイ。にやけそうになる。
「葵さん、何ですか?」
ノートパソコンに視線を向けながら森山君が言った。
「何でもないよ」
「こっち見てませんでした?」
「シナリオを書いてる森山君、カッコイイなって見てたの」
キーを叩く手が急に止まって、森山君がこっちを見た。
頬が少し赤い。
「へ、変な事言わないで下さい。調子狂いますから」
「もしかして照れてる?」
「……照れますよ」
黒縁眼鏡のフレームを抑える森山君が恥ずかしそうに見えた。
かわいい。こんな一面あったんだ。
「余計な事言ってないで仕事して下さい。七時からデートするんですから」
夕食も外で食べようと誘われていた。
「夕飯食べに行くのはデートになるの?」
「恋人同士だとデートになるんです」
そう言った森山君はやっぱり照れくさそうに見えた。
「今日は二回デートが出来るんだ。恋人って楽しいね」
再びパソコンに向かい、私たちはキーボードを叩き始めた。
そして、本日終了予定時刻の六時をあっという間に迎えた。
予定では4話までだったけど、5話まで終わらせる事が出来た。
執筆が順調に進んでる。この調子だったら缶詰期間中に全20話書き終わりそう。
「葵さん、スマホ点滅してますよ」
森山君の声でノートパソコンからテーブルの上のスマホを見た。
着信は夏目さんからだ。
日曜日に電話してくるなんて珍しい。何かトラブル?
緊張しながら電話に出ると、夏目さんの優しい声がした。
「春川、お疲れ。シナリオはどうだ?」
「お疲れ様です。予定通りに進んでます」
「それは良かった。ところで今夜、春川と森山君を夕飯に誘いたいんだが、都合はどうだ?」
ご飯に誘ってくれるなんて嬉しい。外で食べる予定だったし、いいかもしれない。
「夏目さんのおごりですか」
「もちろん。君たちには頑張ってもらってるからな。何でもいいぞ。好きな物を食わせてやる」
「わかりました。森山君と相談してみます」
電話を切って、隣でキーボードを叩いている森山君を見た。
「電話、夏目さん?」
「うん。夏目さんが夕飯ごちそうしてくれるって」
森山君も喜ぶと思ったら、一瞬険しい表情を浮かべた。
「そうですか」
「ねえ、何が食べたい?焼肉?ステーキ?それともお寿司?」
「俺はいいですよ。春川さんだけ行って来て下さい」
“春川さん”って呼び名に距離を感じる。今日はずっと葵さんって呼んでくれてたのに。
「遠慮しなくていいよ。行こうよ。どうせ外で食べる予定だったし」
「予定に夏目さんは入っていませんでしたから」
もしかして私とデートがしたかったの?
「三人でデートも楽しいよ」
「デートとは言いません。食事会です」
「食事会もいいじゃない。せっかく夏目さんが声かけてくれたんだし。きっと高いお店連れて行ってくれるよ。こんな機会中々ないし」
「春川さん、嬉しそうですね」
「だって夏目さんと森山君とご飯だって思ったらウキウキするもの」
「春川さん」
森山君が静かに言った。
「何?」
「思うんですけど、恋愛の傷は新しい恋愛をしないと治らないと思うんです」
「新しい恋愛?」
「上書きする事で古い恋は忘れるって事です」
「何が言いたいの?」
「つまり、夏目さんの胸に飛び込んでみたらどうですか?」
「えっ」
「あの元彼の後に好きになったのは夏目さんなんでしょ?」
「うん、まあ」
「恋人の代用品をお願いしていますが、あくまで代用品なので春川さんは本命の恋を追いかけて下さい。俺とはシナリオを書いている間だけの恋人で構いませんから」
「怒ったの?デートの約束をすっぽかしたから」
「怒ってませんよ」
森山君が穏やかに笑った。
「春川さんには幸せになってもらいたいんです。だから同僚として夏目さんとの恋を応援したいんです。今日のシナリオも書き終わったし、恋人のお仕事も今日は終わりで大丈夫ですから」
「恋人って仕事だったんだ」
「仕事の一部です。その方が割り切れていいですから。その日のシナリオが書き終わったら恋人時間も終わりにしましょう。俺だって会いたい女の人がいますし」
会いたい女の人……。
それって……
「森山君も片思いの人がいるって事?」
「そうですよ」
ショックだった。
「だったらその人と恋人になればいいのに」
口にしてみて、言ってはいけない言葉だったと後悔する。
想いを告げられないから片思いでいるんだ。その苦しさは誰よりもわかってるはずなのに。
森山君を見ると、案の定、傷ついたような表情を浮かべていた。
「ごめん」
「いいんですよ」
森山君が傷ついたままの表情で口の端を上げた。
「俺の事は気にしないで下さい」
「森山君、本当に行かないの?」
「春川さん、俺の心配なんかしてないでせっかくのチャンスを物にする事を考えたらどうですか?夏目さんと二人きりの夜なんて滅多にないんでしょう?」
「そうだけど」
いきなり二人きりなんて困る。
森山君がいてくれた方がいいのに。
「今は夏目さんフリーですよ」
「知ってる」
「だったら迷う事なんてないじゃないですか」
「夏目さんに気持ちを伝えろって言うの?」
森山君が頷いた。
「無理に決まってるでしょ。下手に告白してフラれたら会社にいづらくなるし。それに社長だし」
クスクスっと森山君が笑った。
「確かにそれもありますね。気持ちを伝えるかどうかは別にして、二人きりで過ごす時間は大切ですよ。少しずつ距離を縮めていったらどうですか?」
「森山君は夕飯どうするの?」
「適当に出かけますから心配しないで下さい」
「片思いの人に会いに行くの?」
「それは秘密です」
「人の事あおっておいて、森山君は何もしないなんてズルい。ちゃんと会いに行って来て。じゃないと私も夏目さんに会わない」
「わかりましたよ。会いに行きますから」
「それで明日、報告ね」
「春川さんも報告してくださいよ」
「わかったわよ」
「じゃあ、お疲れ様です」
「うん、お疲れ様」
「春川さん」
森山君が座ったままじっとこっちを見上げた。
「何?」
「キス」
「え」
「一日一回は恋人の代用品としてキスする事になったでしょ。今日はまだしてません」
森山君がそう言って、眼鏡を外した。
目鼻立ちの整った王子様フェイスが現れてドキッとする。
1
あなたにおすすめの小説
ワケあり上司とヒミツの共有
咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。
でも、社内で有名な津田部長。
ハンサム&クールな出で立ちが、
女子社員のハートを鷲掴みにしている。
接点なんて、何もない。
社内の廊下で、2、3度すれ違った位。
だから、
私が津田部長のヒミツを知ったのは、
偶然。
社内の誰も気が付いていないヒミツを
私は知ってしまった。
「どどど、どうしよう……!!」
私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
ソツのない彼氏とスキのない彼女
吉野 那生
恋愛
特別目立つ訳ではない。
どちらかといえば地味だし、バリキャリという風でもない。
だけど…何故か気になってしまう。
気がつくと、彼女の姿を目で追っている。
***
社内でも知らない者はいないという程、有名な彼。
爽やかな見た目、人懐っこく相手の懐にスルリと入り込む手腕。
そして、華やかな噂。
あまり得意なタイプではない。
どちらかといえば敬遠するタイプなのに…。
2月31日 ~少しずれている世界~
希花 紀歩
恋愛
プロポーズ予定日に彼氏と親友に裏切られた・・・はずだった
4年に一度やってくる2月29日の誕生日。
日付が変わる瞬間大好きな王子様系彼氏にプロポーズされるはずだった私。
でも彼に告げられたのは結婚の申し込みではなく、別れの言葉だった。
私の親友と結婚するという彼を泊まっていた高級ホテルに置いて自宅に帰り、お酒を浴びるように飲んだ最悪の誕生日。
翌朝。仕事に行こうと目を覚ました私の隣に寝ていたのは別れたはずの彼氏だった。
歩く15億の花嫁~契約婚約から始まるオフィス・シンデレラ~
YOR
恋愛
恋愛経験ゼロの女性×三人の男たち。じっくりと心の変化を描く、じれキュン・スローストーリー。
亡き祖父の遺言により、巨大財閥の氷の御曹司・神谷瑛斗の「担保」として婚約させられた水野奈月。
自分を守るために突きつけたのは、前代未聞のルールだった。「18時以降は、赤の他人です」
「氷」の独占欲:冷酷な次期当主、神谷瑛斗。
「太陽」の甘い罠:謎めいた従兄弟、黒瀬蓮。
「温もり」の執着:庶民の幼馴染、健太。
「影」の策略:瑛斗を狂信的に愛する、佐伯涼子。
四人の想いと財閥の闇が渦巻く、予測不能な権力争い。
戦場のようなオフィスで、恋を知らない不器用な女性が、最後に選ぶ「本当の愛」とは――。
【物語の歩み(Time Line)】
第1日目: 絶望の契約。15億3000万で売られた夜。(第1話〜第2話)
第2日目: 神谷家への移住。(第3話〜第6話)
第3日目: 嵐の初出勤。(次回予告:健太との再会、そして瑛斗による強奪)(第7話〜第18話予定)
――奈月の日常が崩壊してから、まだたったの三日。
第4日目: これからどうなるかお楽しみに(第19話〜)
ちょっとだけ、軽く大人な恋愛描写含みます。苦手な方は、ご注意ください。
※完全にフィクションです。登場企業とは一切関係ありません。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
19時、駅前~俺様上司の振り回しラブ!?~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
【19時、駅前。片桐】
その日、机の上に貼られていた付箋に戸惑った。
片桐っていうのは隣の課の俺様課長、片桐課長のことでいいんだと思う。
でも私と片桐課長には、同じ営業部にいるってこと以外、なにも接点がない。
なのに、この呼び出しは一体、なんですか……?
笹岡花重
24歳、食品卸会社営業部勤務。
真面目で頑張り屋さん。
嫌と言えない性格。
あとは平凡な女子。
×
片桐樹馬
29歳、食品卸会社勤務。
3課課長兼部長代理
高身長・高学歴・高収入と昔の三高を満たす男。
もちろん、仕事できる。
ただし、俺様。
俺様片桐課長に振り回され、私はどうなっちゃうの……!?
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
【全16話+後日談5話:日月水金20:00更新】
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる