バイバイ、課長

コハラ

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課長の未練

《5》

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「実はね、亡くなってから四十九日までに未練を無くさないとあっちの世界に行けないらしいんだ。僕は死んだ時未練があったからこっちに戻されて」

 課長が亡くなって六週間経つから…… 

「四十九日って、あと一週間じゃないですか。期限が過ぎたらどうなるんですか?」 
「成仏できずに永遠に浮遊霊としてこの世をさまようようだ」 
「えーっ、それってマズイですよね」
「かなりね」 
 課長がグビッとお酒を口にする。

「何、悠長にお酒飲んでるんですか! 早く課長の未練を無くさなきゃダメじゃないですか!」  

 勢いよくテーブルを叩いた。
 成仏できないなんて、きっと大変な事だ。課長が悪霊とかになったら嫌だ。

「私にできる事があれば言ってください。何でもしますから」 
「島本くんに迷惑かけられないよ」 
「遠慮してる場合ですか! 課長の事見えるの私だけなんですよ。何でも言って下さい!」 
「何でもと言われてもね」  

 課長が気まずそうに頭をかく。 

「やっぱり島本くんに頼めないよ」 
「頼んで下さい」 
「しかし……」 
「私はしっかり者の島本くんですよ。安心して任せて下さい」  
 ポンっと拳で自分の胸を叩き、真っすぐに課長を見る。
 課長がハッとしたような表情を浮かべ、何かを決めるように頷いた。

「わかったよ。それじゃあ、気になっている事があってね」
「はい。何でしょう?」
「娘の事なんだが……」  

 課長の眉間に深い皺が刻まれる。
 課長の未練はかなり深刻なよう。
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