雨宮課長に甘えたい

コハラ

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雨宮課長と温泉旅館

《7》

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一人で入った女湯で先ほどの件を反省をする。

どうして雨宮課長が一緒に貸切風呂に入ってくれると思ってしまったのだろうか。課長が戸惑うのも当然だ。

大好きな課長と一緒にいすぎて頭の中がお花畑になっている。変な事を言わないように気をつけなければ。

と思いつつも、広い湯舟に浸りながら課長と貸切風呂に入る所が浮かぶ。

「雨宮課長、お背中お流ししましょうか」
「悪いね。じゃあ、お願いしようか」
「課長のお背中、すべすべですね。それに広くて頼りがいがありそう」
「そうかな」
「抱き着いてもいいですか」
「中島さん、それは……」
「雨宮課長が好きなんです」

なんてね。

妄想していたら、頭がくらくらしてきた。のぼせたかも。

そろそろ出よう。雨宮課長が待っている。

るんるん気分で浴衣を着て、髪を乾かして、お肌のお手入れをして、それから薄くメイクもして、女湯から出た。

雨宮課長は湯上り処という、休憩所の長いすに腰を下ろしていた。

やっぱり待たせてしまった。

「雨宮課長、お待たせしました」

こっちを向いた課長の前髪が……額の上にかかっている。
いつもの前髪をあげた髪型と違う。

キュン。

湯上りの課長もいい。
なんか色気を感じる。

やだ。意識したらドキドキして来た。

まだ夕飯まで時間があったから、課長とホテルの売店に行った。

庶務係のみんなにお土産を買った方がいいよね。
何がいいかな。

こけしクッキーにこけし饅頭か。
こけしの顔をしていて可愛いかも。

栗原さんとまりえちゃん、喜んでくれるかな。風見係長、甘い物が好きって言っていたからお饅頭いいよね。後藤さんは甘い物大丈夫だったかな? お煎餅も買っていこうかな。

雨宮課長に意見を聞こうと思ったら、離れた所でスマホを見ていた。

「雨宮課長」

呼んでも気づいてくれない。

「あの、雨宮課長」

あっ、課長、こっちを向いた。

近くに来てくれると思ったら、私を無視するようにまたスマホを見た。

あれ?

なんか急に課長との距離が……。

気のせい?
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