テイマーと錬金術の職業で冒険したい!

青空鰹

文字の大きさ
57 / 101

ゼラフの謝罪

しおりを挟む
 突然頭を下げて謝ったゼラフにバルグさんは驚いた様子を見せる。

 「あの……ゼラフ。キミは一体何のことを言っているんだい?」

 「バルグくんの事業を邪魔してしまったことなんだなぁ」

 「私の?」

 「うん……ボクはダディから受け継いで商会長になった。でもね…なったのはいいけど自信がなかったんだなぁ……」

 「自信が?」

 「うん……。ボクは商会の為を思って色んな事業を始めたんだなぁ~。
 でもそれが上手くいかなかった。しかも失敗が続いたから前から居た従業員が、ボクを見放すように離れて行ったんだなぁ」

 その人達は地球の社会で例えると、倒産が目に見えてるから別のところに行こう。って考えで離れたのだと思うな。

 「そんな中でバルグくんが事業に成功していることを聞いたから、どんなことをしているのか見てみたら、とても繁盛していたんだなぁ。
 その盛況を見たボクは……バルグくんと同じことをやれば成功するんじゃないかなぁ? って思ったから、あんなことしてしまったんだなぁ」

 「……つい魔が差しちゃった?」

 「それもあるけど…今度失敗したら、もっとたくさんの従業員が減っちゃうんじゃないかなぁ。って不安が大きかったんだなぁ」

 「……そうだったのか」

 バルグは腕を組みながらそう言った。

 「許して欲しいって都合のいいことを言わないよ。ボクは友人であるバルグくんに心から謝罪をしたかったんだなぁ。本当に申し訳なかったんだなぁ。
 だから…その……もうキミの真似ごとは……しないし…………キミとは関わらないように…するんだなぁ」

 ゼラフさんは辛いのか言葉の途中でつっかえたりしているし、何よりも涙目になっているから、こっちまで辛くなって来る。

 「……ゼラフ。顔を上げて」

 バルグにそう言われたゼラフは恐る恐るといった感じに顔をあげた瞬間、驚いた表情に変貌する。何故ならバルグは優しそうな顔でゼラフを見つめていたのだから。

 「私もね。何でゼラフ商会が私の商会の真似ごとをしていたのか気になってたんですよ。……そう言うことだったんですね」

 バルグさんはそう言い切ると、ゼラフさんに向かって頭を下げた。

 「私の方こそすまなかった」

 「ど、どうしてバルグくんが謝るんだなぁ~? 悪いことをしたのはボクなのに……」

 「優しいキミがどうして私の事業の真似をしているんだろう? と疑問に思っていたし、怒りもしたさ」

 「それは……当たり前なんだなぁ」

 ゼラフさんがそう言うとバルグさんは首を横に振った。

 「いいや、私はね。ゼラフくんのことを調べている内に、もしかしたらゼラフくんが私の商会を乗っ取る為にこんなことをしているんじゃないか? 思い込んでしまったんです。
 だから乗っ突れることを恐れた私は商会ギルドに行き、キミの商会に対して抗議を要請したんだ。
 今思い返せば抗議するよりも先にゼラフくんに確認をするべきでしたし、優しいゼラフくんがこんなことをする筈がありませんよね」

 バルグさんはバルグさんで思い当たるところがあったのかぁ~……。

 「だからお互いその時のことは忘れて、昔みたく仲良くしようじゃないか」

 「バルグくん……いいの?」

 「ええ……構いませんよ」

 そう言ってバルグさんが差し出した手を、ゼラフさんは泣きながら握り締めた。

 「バルグくん……ありがとうなんだなぁ」

 「……ええ」

 ……よかった。2人の友情が戻って。……本当によかった!

 「カイリ……これもカイリのおかげだよぉ~!」

 隣に座っていたマナさんが、そう言いながら抱き付いて来た。

 「キャンッ⁉︎」

 プルンッ⁉︎

 「~~~♪」

 ルル達もマナのように嬉しそうな顔でカイリに抱き付いた。

 「ルル、プル太郎……ファニーちゃん」

 俺はなんていい仲間達を持ったんだろう!

 そんなことを思っていたら、バルグさんの隣にいたサシャさんが俺達の下にやって来た。

 「カイリ様…カイリ様のおかげでバルグ様とゼラフ様を仲を直して頂き、ありがとうございました」

 「いいえ、ゼラフさんが謝りたいという気持ちを汲んであげただけです。それに仲直り出来たのはゼラフさん自身のおかげだと思う」

 謝る時に俺頼りになってたら、それこそ不信感を覚えると思うし。

 「そう…ですね」

 仲良く話し合ってるバルグさん達を微笑ましい顔で見つめるサシャだったが、その微笑ましい顔をそのままこっちに向けてまま怒りのオーラが身体中から出しているので、カイリは余りの怖さに身体を硬直させてしまった。

 「……マナ。私の質問を答えて貰っておりませよ」

 え? …あ? え? ……質問?

 「あの…俺の護衛で付いて来た。って言いませんでした?」

 「ええ。でもそれはカイリ様からお答えして頂いた話です。私はマナ自身からちゃんと話を聞きたかったのですよ。マナ? アナタは子供ではないのですから、ちゃんとアナタの口から話してくれますよね? ……正直に」

 マナさんの方に顔を向けて見ると、小尾が縮こまっていて……いや、全身を縮こまらせて怯えている!

 「カ……カイリがゼラフと一緒にいて、どっかに行こうとしていたから、助ける為にカイリに付いて行ったんだよ」

 「……ったんだよ?」

 「行きましたぁ⁉︎」

 敬語に直させた!

 「そ、それで…カイリがゼラフの邸宅でお菓子作りをするって言うから、護衛次いでにお菓子作りを手伝ってたん…いました!」

 「なるほど……本当ですかカイリ様?」

 「はい! 彼女が話していることは本当ですっ‼︎」

 「そうですかぁ……カイリ様の護衛という点は評価致します」

 お? これは許して貰えるっぽいぞ。

 「ですが。休み時間が過ぎても帰って来なかった点は咎められるべきですね。なので邸に帰って説教と罰を与えます。マナ、大人しく付いて来なさい」

 「イヤァアアアアアアアアアアアアッッッ‼︎⁉︎ 助けてカイリぃいいいいいいいいいいいいッッッ‼︎⁉︎」

 泣き叫ぶマナさんを連れて行こうと襟首を掴むサシャさんに対して、カイリは慌てた様子で声を掛ける。

 「ちょっ、ちょちょちょっ⁉︎ ちょっと待って下さい⁉︎」

 「何でしょうか?」

 サシャさんにギロッ⁉︎ と睨まれたので一瞬怯んだが、勇気を出して話し掛ける。

 「マ…マナさんが側に居てくれたおかげで心強かったし、それに料理も手伝ってくれたので助かりました。
 あとぉ…マナさんがここにいるのは俺の責任もありますから、マナさんをそんなに責めないであげて下さい」

 俺がそう言いきるとサシャさんはマナさんの方に顔を向ける。

 「カ、カイリぃ~……」

 そしてカイリが庇おうとしているマナは、カイリのことを救世主が現れたかように眼を潤ませて見つけていた。

 「……そうですね。カイリ様にも責任がありますよね」

 お? これはマナさんを許してくれる感じか?

 「は…はい。俺にも責任があります」

 「ではマナと一緒にお叱りするので私に付いて来て下さい」

 「ええええええええええええっ!⁉︎」

 何で俺が怒られなきゃいけないのっ⁉︎

 「何を驚いていらっしゃるのですか? マナの仕事を邪魔した自分にも責任がある。とご自身でお答えしたじゃありませんか」

 「確かにそうだけどっ! 許してくれるパターンじゃないのぉ?」

 「いいえ。私は躾け……ではなく。叱ります」

 今躾けって言ったよね? 絶対言ったよねっ?

 カイリがそんなことを思っていると、マナと同じように襟首を掴まれた。
 そして2人を捕まえたサシャは天井を見つめて話し始める。

 「ミュー。後は任せましたよ」

 シュタッ⁉︎ と何処からか分からないが、マナさんと同じようなメイド服を着た人が現れた。

 「畏まりました。サシャ様」

 何処から出て来たんだこの人っ⁉︎ …ってぇっ⁉︎ この人、バルグさんの邸宅で俺のパンツを脱がそうとして来た人じゃん⁉︎

 「では、先に帰ってます」

 「あ…ああ……分かりました」

 「行きましょう。ルル様、プル太郎様、ファニー様」

 「……キャンッ⁉︎」

 ……プルンッ⁉︎

 「~~~♪」

 ルル達の返事を聞いたサシャさんは、俺とマナさんを引き摺り始めた。そしてルル達は怯えながらその後を追う。

 「歩く! 自分で歩きますから手を離してっ‼︎」

 「カイリ! 私と一緒に地獄に行こうか‼︎」

 「そんなの絶対嫌だああああああああああああっ‼︎⁉︎」

カイリはサシャに引き摺られながら「マナさんを庇うんじゃなかった」と後悔するのであった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身、動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物や魔法、獣人等が当たり前に存在する異世界に転移させられる。 彼が送るのは、時に命がけの戦いもあり、時に仲間との穏やかな日常もある、そんな『冒険者』ならではのスローライフ。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練とは如何なるものか。 ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

処理中です...