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装備調達するカイリ達
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くだらないやり取り10分ほどしたカイリとエイリィンは、お互いに疲れ切った顔をしていた。
「前々から思ってたんだけどさぁ、エイリィンってしつこいよな」
「まぁ彼奴はいい加減じゃが、自分のことになると神経質になるタイプなんじゃ」
面倒くさい子だねぇ。この子は。
「カイリさん本当に辞めないで下さいぃ~……カイリさんが私の使徒を辞めてしまったら、上の神様達にお叱りを受けてしまいますからぁ~……」
このやり取り何回目だよ。
「分かった分かった! 辞めないからみっともなく泣くな!」
「…………ホントですかぁ?」
「ホントだから安心しろ」
「あ、ありがどうございまずぅ~~~‼︎⁉︎」
彼女はそう言うと、ポケットからハンカチ取り出して涙を拭いた。
「もぉ~……これからはカイリちゃんが困ったときに役に立つように頑張るのよぉ。
そうしないとお父様達に話をしますからねぇ」
「わ、わかりました! これからを気をつけます‼︎」
エイリィンの上司ってしっかりしてるんだろうなぁ。
「カイリ。もう妾達の話は済んだから帰るぞ」
「はい。色々話して下さり、ありがとうございました!」
そう言いながら頭を下げるとサクラ様は関心した顔を見せる。
「うむ。これからもお主の見守っておるぞ」
「また機会があったら会いましょうねぇ」
「カイリさん、今度はちゃんとした手紙を書きます。だから私のことを見捨てないで下さい」
「はいはい。わかったわかった」
俺がそう言って手を振ったら、エイリィンは安心した様子を見せる。
俺は適当に聞き流しただけだぞ! それでいいのかエイリィン⁉︎
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「~~~♪」
ルル達も「またねぇ~!」と言いたそうな声で女神様達を見送る。
「おお! お主らも主人の為に頑張るんじゃよ!」
サクラ様がそう言うとスゥーッと消えて行った。
「もう行っちゃったか」
サクラ様達と会えたのは嬉しかったなぁ。エイリィンはもう少し周りの人達のことを考えた方がいいけど。
「~~~♪」
ファニーちゃんが「買い物に行こう」と話か掛けて来たので、当初の目的を思い出した。
「そうだったね。買い物に行こうか」
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
ルルとプル太郎が、「行こう! 行こう!」と急かして来るので、2匹共抱き上げる。
「さて、俺達の用も済んだので行きますね」
「あ…はい。こちらこそ、ありがとうございました」
そう言って深々と頭を下げる牧師さん達に、手を振って教会を後にした。
「とりあえず冒険者関係の道具は、バルグさんのお店で調達すれば間違いなさそうだな」
プルンッ⁉︎
プル太郎も「そうだね!」と返事をしてくれる。
「~~~♪」
ファニーちゃんが「明日は何階まで降りるんだろう?」と言いたそうな声を出す。
「う~ん……ファニーちゃん達の実力をみながら降りると思ってる。だから昨日みたく1~2階の浅い場所じゃなく、3階からになるかなぁ?」
あくまで俺の予想だけど。
「~~~♪」
ファニーちゃんも「それなら嬉しい!」と喜んでいる。
俺の従魔って意外と戦闘狂気味なんだなぁ。……おっと、バルグさんのお店が見えて来た。
バルグさんが経営している冒険者向けアイテムショップの中へと入って行くと、店員さんが出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ! 本日はどのようなご用でしょうか?」
「明日ダンジョンに行くので、必要な物を買いに来ました。あっ⁉︎ それと従魔達がお店に入っても大丈夫でしょうか?」
「構いませんよ」
よかったぁ~……断られたら外で待たせることになってたし、何よりもルルとプル太郎が寂しそうな顔で待ってる姿が容易に思い浮かぶ。
そんなことを思いながらルルとプル太郎を床へと下ろしたら、挨拶する為に真っ先に店員さんの下へ駆け寄って行く。
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「~~~♪」
「こんにちわ従魔さん達」
店員さんもルル達の頭を撫でて挨拶してくれる。
とてもいい店員さんだなぁ。
「カイリ様は一体何をお求めなのですか?」
「えっとですねぇ。明日……ん?」
この人、俺の名前を呼ばなかったか?
「どうして、俺の名前を知ってるんですか?」
「ああ~、フェンリルの幼体にスライムと妖精を従魔にしている女性と言えばカイリ様。と、この街では有名になっているので一目でわかりました」
そんなに有名になってたのか、俺!
「街の皆さまはカイリ様の可愛い従魔達に興味津々なのですが、余り関わり過ぎると本人に迷惑が掛かってしまうということで、遠目から見ている方が多いんですよ」
「そ、そうなんですか」
その辺りは気付かなかった!
「はい。そうなんです……ところで今日はどういったご用件でしょうか?」
「あっ⁉︎ 明日ダンジョンに行くので必要な物を一式買いに来ました」
「なるほど。ダンジョンに必要な物一式ですかぁ……少々お待ち下さい」
店員はそう言うと、棚から道具を取ってカウンターへと並べていく。
「こちらがダンジョンで必要になるものですが、カイリ様は錬金術師でもある方なので薬品関係は必要ではないですよね?」
「そうですね。薬なら自分で持ち歩いてます」
「ではテントとカンテラと保存食。それにキャンプ用の椅子。念の為に火起こし用のマッチ。それと焚き火台ですね」
「火押し用のマッチはわかるんですが、焚き火台は必要ないんじゃないんですか?」
「密林フィールドなどになると、その辺に生えている草から引火して火事になる可能性があるのでよく使いますよ」
「へぇ~……そうなんだぁ」
「そしてなんと! これら全部は初心者セットとして売られている商品なので、お値段はぁ~……驚愕の20000レザです」
高いのか安いのか、正直わからない。
疑問に思っていると、店員さんは「フッフゥ~ン⁉︎」と鼻を鳴らした。
「カイリ様はお困りのご様子ですね!」
いや、悩んではないんだけど。
「当店特別サービスでぇ! なんとこのセット品が16000レザです‼︎」
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「~~~♪」
ルル達が「安くなったぁ~‼︎」と喜んでいる。
「従魔様達も喜んでおられますね! さぁどうでしょうか、カイリさん⁉︎」
「さぁどうでしょうか? って言うところで、俺にそれを買わせようとしてない?」
てか、店員さんの顔色が悪い気がして来たけど……もしかして無理してる?
「ムムム、無理なんてしてませんよッ⁉︎ 何でしたら15000レザでお売り致しますぅ‼︎」
さらに安くなった! 安くなったのはいいけどぉ~……。
「何か怪しさが増して来た気がする」
俺、ぼったくられそうになってない?
「怪しくない! 全然怪しくないですよぉ~! そんなに心配でしたら、保険証付きで12000レザでご提供致します!」
「…………」
「……キャンッ⁉︎」
ルルも「何かおかしいよ。この人」と言い始めた。
「ルルも怪しんでいるので、他のお店で……」
「待って下さい‼︎」
うおっ⁉︎ 店を出ようとしたら、店員に抱き付かれて止められてしまった!
「カイリさんにぃ……、カイリさんにこの商品を買って頂かないと、店長とバルグ様に怒られてしまいますぅ‼︎」
ああ~……やっぱそういうことねぇ~。
「最初は買おうと思っていたけど、急激に値段を下げていくから怪しさ満点だったよ」
「~~~♪」
ファニーちゃんも「うんうん」と言って頷いている。
「はいぃ……ゴメンなさいぃ~……」
「それで、本当の合計金額はいくらなの?」
「全部で22000レザになりますぅ~……」
オイオイ、最後は12000レザって言ってたよな? もしあの時に「買う」なんて言ったら赤字じゃん!
「ハァ~……はい。22000レザです」
「えっ⁉︎ いいんですか?」
「いいも何もお金に困ってないので、正規の値段で買いますよ」
「あ、ありがとうございますうううううううっ⁉︎」
そう言いながらお金を掲げて何度もお礼を言う店員さんの姿に、カイリは「ヤレヤレ」と呆れた顔になる。
「前々から思ってたんだけどさぁ、エイリィンってしつこいよな」
「まぁ彼奴はいい加減じゃが、自分のことになると神経質になるタイプなんじゃ」
面倒くさい子だねぇ。この子は。
「カイリさん本当に辞めないで下さいぃ~……カイリさんが私の使徒を辞めてしまったら、上の神様達にお叱りを受けてしまいますからぁ~……」
このやり取り何回目だよ。
「分かった分かった! 辞めないからみっともなく泣くな!」
「…………ホントですかぁ?」
「ホントだから安心しろ」
「あ、ありがどうございまずぅ~~~‼︎⁉︎」
彼女はそう言うと、ポケットからハンカチ取り出して涙を拭いた。
「もぉ~……これからはカイリちゃんが困ったときに役に立つように頑張るのよぉ。
そうしないとお父様達に話をしますからねぇ」
「わ、わかりました! これからを気をつけます‼︎」
エイリィンの上司ってしっかりしてるんだろうなぁ。
「カイリ。もう妾達の話は済んだから帰るぞ」
「はい。色々話して下さり、ありがとうございました!」
そう言いながら頭を下げるとサクラ様は関心した顔を見せる。
「うむ。これからもお主の見守っておるぞ」
「また機会があったら会いましょうねぇ」
「カイリさん、今度はちゃんとした手紙を書きます。だから私のことを見捨てないで下さい」
「はいはい。わかったわかった」
俺がそう言って手を振ったら、エイリィンは安心した様子を見せる。
俺は適当に聞き流しただけだぞ! それでいいのかエイリィン⁉︎
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「~~~♪」
ルル達も「またねぇ~!」と言いたそうな声で女神様達を見送る。
「おお! お主らも主人の為に頑張るんじゃよ!」
サクラ様がそう言うとスゥーッと消えて行った。
「もう行っちゃったか」
サクラ様達と会えたのは嬉しかったなぁ。エイリィンはもう少し周りの人達のことを考えた方がいいけど。
「~~~♪」
ファニーちゃんが「買い物に行こう」と話か掛けて来たので、当初の目的を思い出した。
「そうだったね。買い物に行こうか」
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
ルルとプル太郎が、「行こう! 行こう!」と急かして来るので、2匹共抱き上げる。
「さて、俺達の用も済んだので行きますね」
「あ…はい。こちらこそ、ありがとうございました」
そう言って深々と頭を下げる牧師さん達に、手を振って教会を後にした。
「とりあえず冒険者関係の道具は、バルグさんのお店で調達すれば間違いなさそうだな」
プルンッ⁉︎
プル太郎も「そうだね!」と返事をしてくれる。
「~~~♪」
ファニーちゃんが「明日は何階まで降りるんだろう?」と言いたそうな声を出す。
「う~ん……ファニーちゃん達の実力をみながら降りると思ってる。だから昨日みたく1~2階の浅い場所じゃなく、3階からになるかなぁ?」
あくまで俺の予想だけど。
「~~~♪」
ファニーちゃんも「それなら嬉しい!」と喜んでいる。
俺の従魔って意外と戦闘狂気味なんだなぁ。……おっと、バルグさんのお店が見えて来た。
バルグさんが経営している冒険者向けアイテムショップの中へと入って行くと、店員さんが出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ! 本日はどのようなご用でしょうか?」
「明日ダンジョンに行くので、必要な物を買いに来ました。あっ⁉︎ それと従魔達がお店に入っても大丈夫でしょうか?」
「構いませんよ」
よかったぁ~……断られたら外で待たせることになってたし、何よりもルルとプル太郎が寂しそうな顔で待ってる姿が容易に思い浮かぶ。
そんなことを思いながらルルとプル太郎を床へと下ろしたら、挨拶する為に真っ先に店員さんの下へ駆け寄って行く。
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「~~~♪」
「こんにちわ従魔さん達」
店員さんもルル達の頭を撫でて挨拶してくれる。
とてもいい店員さんだなぁ。
「カイリ様は一体何をお求めなのですか?」
「えっとですねぇ。明日……ん?」
この人、俺の名前を呼ばなかったか?
「どうして、俺の名前を知ってるんですか?」
「ああ~、フェンリルの幼体にスライムと妖精を従魔にしている女性と言えばカイリ様。と、この街では有名になっているので一目でわかりました」
そんなに有名になってたのか、俺!
「街の皆さまはカイリ様の可愛い従魔達に興味津々なのですが、余り関わり過ぎると本人に迷惑が掛かってしまうということで、遠目から見ている方が多いんですよ」
「そ、そうなんですか」
その辺りは気付かなかった!
「はい。そうなんです……ところで今日はどういったご用件でしょうか?」
「あっ⁉︎ 明日ダンジョンに行くので必要な物を一式買いに来ました」
「なるほど。ダンジョンに必要な物一式ですかぁ……少々お待ち下さい」
店員はそう言うと、棚から道具を取ってカウンターへと並べていく。
「こちらがダンジョンで必要になるものですが、カイリ様は錬金術師でもある方なので薬品関係は必要ではないですよね?」
「そうですね。薬なら自分で持ち歩いてます」
「ではテントとカンテラと保存食。それにキャンプ用の椅子。念の為に火起こし用のマッチ。それと焚き火台ですね」
「火押し用のマッチはわかるんですが、焚き火台は必要ないんじゃないんですか?」
「密林フィールドなどになると、その辺に生えている草から引火して火事になる可能性があるのでよく使いますよ」
「へぇ~……そうなんだぁ」
「そしてなんと! これら全部は初心者セットとして売られている商品なので、お値段はぁ~……驚愕の20000レザです」
高いのか安いのか、正直わからない。
疑問に思っていると、店員さんは「フッフゥ~ン⁉︎」と鼻を鳴らした。
「カイリ様はお困りのご様子ですね!」
いや、悩んではないんだけど。
「当店特別サービスでぇ! なんとこのセット品が16000レザです‼︎」
「キャンッ⁉︎」
プルンッ⁉︎
「~~~♪」
ルル達が「安くなったぁ~‼︎」と喜んでいる。
「従魔様達も喜んでおられますね! さぁどうでしょうか、カイリさん⁉︎」
「さぁどうでしょうか? って言うところで、俺にそれを買わせようとしてない?」
てか、店員さんの顔色が悪い気がして来たけど……もしかして無理してる?
「ムムム、無理なんてしてませんよッ⁉︎ 何でしたら15000レザでお売り致しますぅ‼︎」
さらに安くなった! 安くなったのはいいけどぉ~……。
「何か怪しさが増して来た気がする」
俺、ぼったくられそうになってない?
「怪しくない! 全然怪しくないですよぉ~! そんなに心配でしたら、保険証付きで12000レザでご提供致します!」
「…………」
「……キャンッ⁉︎」
ルルも「何かおかしいよ。この人」と言い始めた。
「ルルも怪しんでいるので、他のお店で……」
「待って下さい‼︎」
うおっ⁉︎ 店を出ようとしたら、店員に抱き付かれて止められてしまった!
「カイリさんにぃ……、カイリさんにこの商品を買って頂かないと、店長とバルグ様に怒られてしまいますぅ‼︎」
ああ~……やっぱそういうことねぇ~。
「最初は買おうと思っていたけど、急激に値段を下げていくから怪しさ満点だったよ」
「~~~♪」
ファニーちゃんも「うんうん」と言って頷いている。
「はいぃ……ゴメンなさいぃ~……」
「それで、本当の合計金額はいくらなの?」
「全部で22000レザになりますぅ~……」
オイオイ、最後は12000レザって言ってたよな? もしあの時に「買う」なんて言ったら赤字じゃん!
「ハァ~……はい。22000レザです」
「えっ⁉︎ いいんですか?」
「いいも何もお金に困ってないので、正規の値段で買いますよ」
「あ、ありがとうございますうううううううっ⁉︎」
そう言いながらお金を掲げて何度もお礼を言う店員さんの姿に、カイリは「ヤレヤレ」と呆れた顔になる。
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