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宝箱はどうなるの?

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前からキバネズミが5体出て来たが、やはり1階降りただけな上にキバネズミだったから楽々倒せてしまった。

 「キャンッ⁉︎」

 ルルが「そんなに強くなかったねぇ~」と言いたそうな感じで吠えた。

 やっぱり今の敵じゃあ…ね。

 「ルル、流石に初戦だからこんなもんだと思うよ」

 プルンッ⁉︎

 プル太郎も「まだ来たばかりだからね」と言いたそうに震えた。

 「……キャンッ⁉︎」

 プル太郎の言葉を受けて、ルルも納得した様子を見せる。

 最近、俺よりもプル太郎の方がしっかりしている気がするなぁ。

 「~~~♪」

 ファニーちゃんが「進もうよ」と言って髪を引っ張って来るので、宥めながら、マナさん達の方に顔を向ける。

 「ルル達が消化不良みたいなんで、先に進みましょうか」

 「そうだね。みんな行こうか」

 「「「了解です、マナ様!」」」

 マナさんを先頭に2階層の探索を始める。しばらく歩いているとファニーちゃんが何かを見つけたのか、俺から離れて行く。

  「どうしたの、ファニーちゃん?」

 「~~~♪」

 「向こうに何かある!」と言いたそう声を出しながら指をさすので、俺は何が手に入るのか楽しみになる。

 「ファニーちゃんが何か見つけたみたいなんで、見に行きましょう」

 「おおっ⁉︎ 今度は何を見つけたのかなぁ?」

 「楽しみですねぇ~」

 「今度はお宝でも見つけたんじゃないんですかね」

 「そうでしたら、私達は一生遊んで暮らせそうな気が……ゴメンなさい! 何でもないです⁉︎」

 肌フェチさんが他のメイド達の圧に耐えかねたのか、即謝り出した。

 「そんな一生遊んで暮らせるほどのアイテムが2階層で手に入ると思いますか?」

 「そうだよね」

 「そうですね」

 「その通りです」

 「キャンッ⁉︎」

 プルンッ⁉︎

 マナさんとルル達が同意するようにそう言った。

 「あはは……すみません。私夢を見過ぎちゃったかもしれませんね」

 「そうそう。2階層なんだからそんなにいいものなんて出ないよ」

 「「「「アハハハッ⁉︎ アハハハハハハッ⁉︎」」」」

 何かフラグっぽいのを立ててる気がするけど、気にしなくていいかなぁ?

 そんなことを思いながらファニーちゃんに付いて行くと、木の根元にポツリと宝箱が置いてあった。

 「「「「ウソォォォオオオオオオオオオオオオオッッッ‼︎‼︎⁉︎」」」」

 マナさん達は腹の底から搾り出すように声を出しながら、驚いている。

 「宝箱があるって、そんなに珍しいことなんですか?」

 「5階とか6階ならチラホラあるけど、2階になると草の根分けるぐらいの気持ちで探さないと見つからないよ!」

 あらま。そんなに見つからないんだね。

 「それに2階だからドロップするアイテムがどの程度なのか知れてるから、あえて探さないっていう人の方が多いです」

 ああ~……開けてもアイテムに旨みを感じないけど、見つけたら開けておこうって感じね。

 「とりあえず開けて確認しましょうか」

 そう言ってから宝箱に近付き、蓋を開けて中身を確認する。

 「……お金が入ってる」

 「いや、他にも鉄のインゴットが置いてるよ」

 鉄のインゴット1つと300レザが剥き出しに置いてあった。

 「マナさん、収穫としては……」

 「2階層にしてはいい方だと思うよ」

 悪くない成果だったみたいだ。

 なんてことを言っていたら、宝箱がスゥー……と消えていってしまった。

 「中身がなくなった宝箱って、消えてなくなっていくんですね」

 「そうです。学者達はダンジョンにある宝箱は、どうして消えるのか? を研究しているみたいです」

 「邪魔にならないようにする為。とか、中身を入れて他のところに転移している。とか、色々予想しています」

 「結果的に結論まで至ってないってことですね」

 「「「そう言うことです」」」

 このメイドさん達はマイペースだなぁ。

 「~~~♪」

 ファニーちゃんが「こんなの見つけたよぉ~」と言いたそうな声を出しながら、何かの種を持って来た。

 「おっ⁉︎ 前回に引き続き、また種を見つけて来たのか!」

 「~~~♪」

 ファニーちゃんの「うん!」と言いたそうな返事を聞いた後、頭を撫でて褒めてあげる。

 めっちゃクソ可愛いいなぁ~‼︎ ……と、そんなことよりもだ。

 「マナさん、この種が何の種か分かりますか?」

 「え? どれどれ……おおっ⁉︎ これは攻撃力を上げる力の種だね!」

 「へぇ~……そうなんですかぁ」

 「イヤイヤイヤイヤ⁉︎ これってオークションに出したら、とんでもない金額になる物ですよ! 何でそんな平然と答えられるんですかぁ⁉︎」

 どうもこうも……ねぇ。

 「カイリは前回来たときに種を2つも見つけたからねぇ……。みんなが思うような貴重なアイテムだと思ってないんだよ」

 「ハァ……そうなんですか」

 肌フェチさんがそう言うと、髪フェチさんが肩に手を置いて話し始める。

 「カイリ様に常識が通用しないと思っていた方がいいと、私は思っております」

 「あ…ああ~……なるほど。確かにそうかもしれませんねぇ~」

 「えっ⁉︎ ちょっと待って! 何で納得してるの?」

 「まぁまぁカイリ様。お気になさらず」

 「そうそう…気にせず進もうよ」

 「キャンッ⁉︎」

 ルルまでも「進もう」って言ってくるよ。

 「ハァ~……分かった。先に進みましょう」

 プル太郎やファニーちゃんもルルと同じように戦いたそうにしているしな。

 ちょっと憂鬱な気分になりながらも先へと進んで行くと、人に似た姿をした木が3体近付いて来た。

 「ウッドマンが3体前から来ました!」

 「私達は2体やるので、カイリ様達は1体お願い致します!」

 「了解です! みんな行くよ!」

 「キャンッ⁉︎」

 プルンッ⁉︎

 「~~~♪」

 ルル達も気合いが入った返事を返した後、ウッドマンへと突っ込んで行く。
 初手はルルがウッドマンの胴体に噛み付いて攻撃し、ウッドマンが反撃しようとしたところをプル太郎が水魔法で牽制する。

 身体をぐらつかせるってことは、プル太郎の攻撃が効いてるんだな。

 「~~~♪」

 そんなことを思っていたら、ファニーちゃんが風魔法でウッドマンの身体に切り裂いて地面に尻もちを着かせる! そこをチャンスと見たルルが一気に詰め寄り、身体に噛み付いて倒した。

 「みんなナイス!」

 「キャンッ⁉︎」

 プルンッ⁉︎

 「~~~♪」

 ルル達も「わぁ~い!」と言いたそうな声を出しながら、俺の下にやって来た。

 俺だけ何もしてないけど、いいよね!

 そんなことを思っていたら、「カイリさん姫様プレイ(笑)」と聞き覚えのある声が聞こえて来た気がする。

 ……うん、やっぱり信仰対象を変えた方がいい気がして来た。迷宮出たら教会に行こう。

 そんなことを思ったら、「ゴメンなさいカイリさああああああああああああんっ!⁉︎ 謝りますから許して下さああああああああああああいっ‼︎⁉︎」って聞こえ来た気がする。

 フンッ⁉︎ 使徒に酷いことを言うエイリィンなんて知らん!

 そう思ったら、「本当にゴメンなさああああああいっ‼︎⁉︎」と言う声と泣きわめく声が聴こえる中、「カイリさんが私のところに来るのを待ってますねぇ こっちの方で書類とペンを用意しているので、お気軽に教会に来てくださいねぇ」って聞こえて気がする。

 ああ~……こりゃあれだ。アンロネーゼ様が勧誘してくれてるのか。……いや、悪くないかも。

 なんて思っていたら、「私を見捨てないで下さいよおおおおおおおおおおおおっ‼︎⁉︎」と聞こえて来た気がする。

 あ~もう、めんどくさい。分かった! このまま続けてやるから泣くのを止めろ、マジで!

 そう言ったら「え? ホントですか⁉︎ やったぁ~⁉︎」と言う声が聞こえて来た。うん。やっぱりコイツチョロいな。

 「カイリ、ボーッとしてどうしたの?」

 「あ、いや……考えごとしてただけだから、気にしないで」

 「そう? みんなカイリのことを待ってるから先に進もう」

 「……そうだね」

 エイリィンが俺に対して何か言ってる気がするけど、気にせず進んで行くのであった。
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