高校を退学させられた後、異世界へ留学することになりました。

青空鰹

文字の大きさ
85 / 111

チョロいヤツら

しおりを挟む
 イレイラ王女は俺のところにやって来ると、アンリネットさんとセリアを見つめる。

 「風紀が乱れるから、早く降りるんだ。それにオルコスさんも腕を解く」

 「やだ」

 離れたくないと言わんばかりに俺の身体に密着させ、セリアはアンリネットさんに対抗するようにギュッと抱き締める。

 「やだ。じゃない。アンリネット、お前は貴族なのだから周囲の目を気にするべきだ」

 凛とした声で言うイレイラ王女とは対象的に、アンリネットさんは嫌だと言いたそうな顔でそっぽを向いてしまった。

 「皆さま、あちらのお席に座りましょうか」

 カーシャさん、ナイス!

 「・・・・・・そうですね。そうしましょう」

 緊張気味のルノアを連れて、席に座ったのだが・・・・・・。

 「ムゥ~・・・・・・」

 「・・・・・・」

 セリアとルノアが俺の腕を組みながら睨み合いを繰り広げている。

 「もぉ~、2人共ケンカはその辺にしてよぉ! ご飯が食べられないからさ!」

 「そ、そうだな。妖精の言う通りだ」

 「・・・・・・わかった」

 「リタさんの言う通りですね」

 2人はそう返事をすると俺から離れてくれた。

 「ルノア、食券取りに行こう」

 「あい」

 セリアは若干壊れ気味のルノアを連れて列に並ぶと、何故かイレイラ王女が俺の隣に座って来たのだ。

 「・・・・・・何でコウヤの隣に座ってるの?」

 「もしや!? セリアに新たなライバルがっ!!」

 「いやなに、私もキミとリタに興味があってね。話し合う為に隣に来たんだ。ところで、キミは何で弁当箱を持っているんだ?」

 ストレートに 母親が作ってくれたんです。 と言ったらバレかねないよな。

 「自炊をしているんです」

 「ふ~ん、そうなのか」

 取り出した弁当を見つめるので、内心ヒヤヒヤしている。

 「コウヤ、早く開けてよ!」

 「あ、ああ。でも食べるのはセリア達が戻って来てからだぞ」

 「わかってるって!」

 ウキウキしているリタを微笑ましく思いつつ、弁当の蓋を開いた。

 「今日はシュウマイお弁当かぁ~!」

 今回は手抜きか。

 「何だ?ヒラヒラした皮の中に肉が入っているぞ」

 「緑の木の実が乗っかっていて、キレイ」

 残念、それはグリンピースと言って植物の種なんだよ。

 そう思っていると隣からそぉ~っと手が伸びて来て、カーシャさんに手を叩かれた。

 「・・・・・・カーシャ、痛い」

 「はしたない事をなさるからですよ。お嬢様」

 アンリネットはカーシャさんに恐れを感じたのか、大人しくなった。

 「しかし、この食べ物には興味をそそられるな。これもミヤマくんが作ったのかい?」

 「え、ええ。まぁそうですね・・・・・・」

 違います母親が作りました。しかも冷凍食品なので、電子レンジでチンしただけだと思います。

 「・・・・・・コウヤくん」

 セリア達が食器を持って戻って来たのだが、何故か彼女は笑顔まま向かい側に座った。

 「セリア、どうしたんだ?」

 「別に、何でもないよ」

 いやいや、何でもない訳がないだろう。だって笑顔が恐いぞ。

 「それよりもお昼にしましょう。ねぇルノア?」

 「う、うん・・・・・ソウヨネ」

 お、おう。ルノアさんが壊れ気味ですよ。そんな事よりも、セリアの機嫌取りをしないとダメだよな。

 「セリア、シュウマイ1つ食べてみる?」

 リタの分を分けた後にシュウマイを箸で摘んでセリアに差し出したら、ちょっと驚いた顔をしていた。

 「い、いいのコウヤくん?」

 「ああ、うん・・・・・・別に1つぐらいなら平気だぞ」

 「そ、そう? ならお言葉に甘えしゃせて・・・・・・・貰います」

 今、噛まなかった?

 俺がそんな事を思っている中、セリアは頬を赤く染めながら口を開けてシュウマイをパクリと食べた。

 「味はどう?」

 「ん・・・・・・おいひいれす」

 満足そうな顔でそう言うセリアに対して、アンリネットはとても不満なのか頬を膨らませていた。

 「・・・・・・コウヤ」

 「ん?」

 「あ~ん」

 いやいや、何をやっているんだキミは?

 「流石に2個目は無理だって」

 「ムゥ~・・・・・・コウヤのケチ」

 いや、ケチじゃないだろう。

 「お嬢様、今回は諦めましょう」

 「イヤ」

 「イヤじゃないですよ。これ以上ミヤマ様のお弁当から食べ物を取ってしまったらミヤマ様のお腹が空いてしまいますし、何よりも嫌われてしまいますよ。
 それでもいいと仰るのでしたら、強請ってみて下さい」

 「嫌われるのはイヤ」

 アンリネットはそう言うと、残念そうな瞳で口を閉じたので罪悪感を感じてしまう。

 「ふむ、アンリネットがこんなにも人に執着するとは珍しいな」

 「え? そうなんですか?」

 「ああ、アンリネットは昔から人に興味がなく婚約者候補でも素っ気無い態度ばかり取っていたし、何よりも魔法にしか興味のない子だからな」

 そうなのか・・・・・・ん?

 「それじゃあ、どうして俺のところに来るんだ?」

 「コウヤって、ホント鈍いよねぇ~」

 何でそう言うんだよ。

 「とにかく、彼女が特別な思いを感じているのは確かだ。なるべく彼女に構ってあげてくれ」

 「あ、はい」

 「さぁ、時間も押しているから食事を済まそう」

 「そうですね」

 こうして食事を始めるのだが洸夜が見ていないところで、カーシャさんがイレイラ王女にサムズアップをしていたのであった。
 そして食事を終えて帰ろうとしたときのこと、また事件が起こってしまったのだった。

 「コウヤ、おんぶ」

 「ええ~・・・・・・」

 そう、アンリネットさんがおんぶを要求して来たのだった。

 流石に2回目はちょっとぉ~。

 「お嬢様、ミヤマ様とは教室が違うのですから、いけませんよ」

 「ムゥ~・・・・・・」

 不満そうにカーシャさんを見つめるが毅然とした態度で話をする。

 「そんな顔をしてもダメです。行きますよ」

 「わかった」

 「それでは皆さん、我々はお暇させて頂きます」

 カーシャさんはペコリと頭を下げると、アンリネットさんを連れて廊下っを歩き出したのであった。

 「それじゃあ私もこれで」

 「あ、どうも」

 「ありがとうございました」

 「ドウモ、アリガトウゴザイマシタ」

 イレイラ王女は俺達に手を振りながら廊下を歩き出したら、何と突然セリアが俺の腕に抱き付いて来たのだ。

 「ど、どうしたんだセリア?」

 「・・・・・・何でもないよ」

 そう言うけど不満そうじゃん。

 「とにかく教室に戻ろうか」

 「うん」

 これはこれで何だか可愛いなぁ。と思ってしまいながら歩く洸夜だったが。

 「ハッ!? アタシは一体何をしていたの? って、あれ? お昼休憩は?」

 「もう食べて終わったよ」

 「ええ嘘ぉ!? アタシ食事を取った記憶がないんですけどぉ!!」

 ずっと壊れたロボットのように食べていたからなぁ。お腹を満たせても味は覚えてないだろう。

 そんなことを思いつつも教室へと戻って来ると、1人のクラスメイトが俺のところにやって来た。

 「おい、どういうことだよミヤマ?」

 「どういうことって、何がだ?」

 「惚けんなよ。どうしてお前がイレイラ王女と親しいんだよ? 俺は食堂で話をしていたから言い逃れなんてさせないぜ!」

 いや、親しい仲なのか?

 「親しい仲じゃないぞ。現にイレイラ王女もアンリネットさん目当てに・・・・・・」

 「ぜってぇちげぇ。お前目当てに来ていた感じがプンプンするぅ!」

 そう言いながら自担だ踏むクラスメイト。

 「なぁなぁ、俺のことを紹介してくれよ!」

 「どうして? 王女だから家柄とか家族構成とか、大体のことは把握しているだろう?」

 「まぁ確かにそうだけど、顔までは知られてないって!」

 ああ、なるほど。自分の売り込みの為か。

 「まぁ、機会があれば紹介をするが、イレイラ王女が顔と名前を覚えるのはお前次第だからな。そこんところは覚えておくように」

 「ああ、サンキュー! ミヤマ!」

 そう言って嬉しそうな顔で席に戻るクラスメイトを見て、 コイツチョロいなぁ。 と思う洸夜であった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

処理中です...