次男は愛される

那野ユーリ

文字の大きさ
21 / 33

第21話

しおりを挟む
「あ……ごめん──」
「彼女なんていないし。っていうかいらない」
「いらないって……。じゃあ好きな子も……」
 またもや余計なことを口走ってしまったと佐奈は口をつぐむが、慎二郎は何故か不敵に口角を上げた。
「好きな人ならいるよ」
「そうなの!? それは良かったよ」
 佐奈は安心して、にっこりと微笑む。
「好きな人は、もちろん佐奈だよ」
 安心したのは束の間。佐奈の眉は落胆したようにハの字に下がる。
「もう慎二郎……真剣に答えてよ。はいはい、オレだって慎二郎は好きだよ」
「あーなにその適当な感じ。オレは──」
 意気込む慎二郎の言葉を消してしまうように、リビングのドアがガチャリと音を立てて開く。佐奈は咄嗟に立ち上がった。
「優作!」
「佐奈……早かったんだな」
 優作は佐奈と目が合うと、紺碧の目を柔らかく細める。そしてリビングの白い高級ソファに、荷物を置く。手ぶらで出掛けたわけではないようだ。
「なんだあれ。さっきはめちゃくちゃ不機嫌だったのに」
 慎二郎はボソリと言い、オムライスをかき込む。佐奈はそれが気になりつつも、優作の傍へと行く。
「ラインしたんだけど、返事がなかったから……」
「あれ? 返事してなかったか?」
「うん」
 優作はスマホで画面を確認すると、頭を抱えるように額を手で覆う。
「あー……マジで悪い。返したつもりだったのに、返せてないな」
「ううん、ちょっと心配になったから早めに帰って来たんだけどね」
 佐奈がそう言うと、優作は少し驚いたような顔をした。
「……抜けてきたのか?」
「うん」
「それは、本当に悪いことをしたな」
 心底に申し訳ないと思っているのがちゃんと伝わり、そんな優作に佐奈は微笑んだ。ただ返事を忘れるという事が今までなかったため、少し気になる佐奈がいた。

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

イケメンキングαなおじいさんと極上クィーンΩなおばあさん(男)の幸せをねたんで真似したゲスなじいさんとばあさん(男)がとんでもないことに

壱度木里乃(イッチー☆ドッキリーノ)
BL
誰もが知っている昔話の懐かしさあり、溺愛あり、禁断の主従関係ありの――BL大人の童話第2弾。 戸籍年齢と肉体年齢が見事に一致しないオメガ妻を愛するイケオジの桁外れな武勇伝です。 ※ですます調の優しい語り口でお送りしながら、容赦なくアダルトテイストです。 ※少し変わっています。 ※エンターテイメント型小説として楽しんで頂ける方向けです。 ※横書きの利点として英数字表記も併用しています。 ※美表紙はのんびり猫さん♡

【完結】俺はずっと、おまえのお嫁さんになりたかったんだ。

ペガサスサクラ
BL
※あらすじ、後半の内容にやや二章のネタバレを含みます。 幼なじみの悠也に、恋心を抱くことに罪悪感を持ち続ける楓。 逃げるように東京の大学に行き、田舎故郷に二度と帰るつもりもなかったが、大学三年の夏休みに母親からの電話をきっかけに帰省することになる。 見慣れた駅のホームには、悠也が待っていた。あの頃と変わらない無邪気な笑顔のままー。 何年もずっと連絡をとらずにいた自分を笑って許す悠也に、楓は戸惑いながらも、そばにいたい、という気持ちを抑えられず一緒に過ごすようになる。もう少し今だけ、この夏が終わったら今度こそ悠也のもとを去るのだと言い聞かせながら。 しかしある夜、悠也が、「ずっと親友だ」と自分に無邪気に伝えてくることに耐えきれなくなった楓は…。 お互いを大切に思いながらも、「すき」の色が違うこととうまく向き合えない、不器用な少年二人の物語。 主人公楓目線の、片思いBL。 プラトニックラブ。 いいね、感想大変励みになっています!読んでくださって本当にありがとうございます。 2024.11.27 無事本編完結しました。感謝。 最終章投稿後、第四章 3.5話を追記しています。 (この回は箸休めのようなものなので、読まなくても次の章に差し支えはないです。) 番外編は、2人の高校時代のお話。

春風のように君を包もう ~氷のアルファと健気なオメガ 二人の間に春風が吹いた~

大波小波
BL
 竜造寺 貴士(りゅうぞうじ たかし)は、名家の嫡男であるアルファ男性だ。  優秀な彼は、竜造寺グループのブライダルジュエリーを扱う企業を任されている。  申し分のないルックスと、品の良い立ち居振る舞いは彼を紳士に見せている。  しかし、冷静を過ぎた観察眼と、感情を表に出さない冷めた心に、社交界では『氷の貴公子』と呼ばれていた。  そんな貴士は、ある日父に見合いの席に座らされる。  相手は、九曜貴金属の子息・九曜 悠希(くよう ゆうき)だ。  しかしこの悠希、聞けば兄の代わりにここに来たと言う。  元々の見合い相手である兄は、貴士を恐れて恋人と駆け落ちしたのだ。  プライドを傷つけられた貴士だったが、その弟・悠希はこの縁談に乗り気だ。  傾きかけた御家を救うために、貴士との見合いを決意したためだった。  無邪気で無鉄砲な悠希を試す気もあり、貴士は彼を屋敷へ連れ帰る……。

【完結】「奥さまは旦那さまに恋をしました」〜紫瞠柳(♂)。学生と奥さまやってます

天白
BL
誰もが想像できるような典型的な日本庭園。 広大なそれを見渡せるどこか古めかしいお座敷内で、僕は誰もが想像できないような命令を、ある日突然下された。 「は?」 「嫁に行って来い」 そうして嫁いだ先は高級マンションの最上階だった。 現役高校生の僕と旦那さまとの、ちょっぴり不思議で、ちょっぴり甘く、時々はちゃめちゃな新婚生活が今始まる! ……って、言ったら大袈裟かな? ※他サイト(フジョッシーさん、ムーンライトノベルズさん他)にて公開中。

ひろいひろわれ こいこわれ【完結済み】

九條 連
BL
母を突然の事故で喪い、天涯孤独となった莉音は、ある夜、道端で暴漢に襲われかけたところをひとりの男に助けられる。 莉音を庇って頭を殴られ、救急搬送された男は青い瞳が印象的な外国人で、一時的な記憶喪失に陥っていた。 身元が判明するまでのあいだ、莉音がその身柄を引き受けることになったが、男の記憶はほどなく回復する。男は、不動産関連の事業を世界的に展開させる、やり手の実業家だった。 この出逢いをきっかけに、身のまわりで起こりはじめる不穏な出来事……。 道端で拾ったのは、超ハイスペックなイケメン社長でした――  ※2024.10 投稿時の内容に加筆・修正を加えたものと差し替え済みです。

デコボコな僕ら

天渡清華
BL
スター文具入社2年目の宮本樹は、小柄・顔に自信がない・交際経験なしでコンプレックスだらけ。高身長・イケメン・実家がセレブ(?)でその上優しい同期の大沼清文に内定式で一目惚れしたが、コンプレックスゆえに仲のいい同期以上になれずにいた。 そんな2人がグズグズしながらもくっつくまでのお話です。

鈴木さんちの家政夫

ユキヤナギ
BL
「もし家事全般を請け負ってくれるなら、家賃はいらないよ」そう言われて鈴木家の住み込み家政夫になった智樹は、雇い主の彩葉に心惹かれていく。だが彼には、一途に想い続けている相手がいた。彩葉の恋を見守るうちに、智樹は心に芽生えた大切な気持ちに気付いていく。

幸せな復讐

志生帆 海
BL
お前の結婚式前夜……僕たちは最後の儀式のように身体を重ねた。 明日から別々の人生を歩むことを受け入れたのは、僕の方だった。 だから最後に一生忘れない程、激しく深く抱き合ったことを後悔していない。 でも僕はこれからどうやって生きて行けばいい。 君に捨てられた僕の恋の行方は…… それぞれの新生活を意識して書きました。 よろしくお願いします。 fujossyさんの新生活コンテスト応募作品の転載です。

処理中です...