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18.召喚の技法
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一人で戻ってきて、一人で対峙するのだと思っていた。
だから、転移陣から降り立って、双子を傍らに召喚したとき、仲間が出来たみたいで嬉しかった。付け焼き刃の協力関係だけれど、一人じゃない。
でも、それを見たとき、本当に、心の底から、一人じゃないことに感謝した。
一人だったら、この状況をきちんと理解して、飲み込めていただろうか? 分からない。
「何、あれ」
「あんな結界、見たことがないわ」
「師匠も無茶をするな……やっぱり素が人間じゃないだろ、あの人」
口々に感想を述べてから、一様に押し黙る。それほど、異様な光景だった。
日は落ちたというのに、砂漠を包む空気は妙に生温かい。どこか、焼け焦げたような匂いも漂っている。
砂漠に棲む生き物は無事に全て逃げおおせたようで、国王陛下が派遣した援軍はまだ到着していない。今、この光景を見ているのは、私たちだけだ。
広大な砂漠に、巨人を閉じ込めたかのような黒い繭が出来ていた。
内部から照り輝く光が、黒髪のような、ぬめりのある繊維質のもので構成された繭の隙間をところどころ貫通し、その闇色の糸を輝かせる。そのたびに、粉砕されて乱れた闇は、ずずり……と寄り集まり、ふたたび檻を形づくる。
「殿下が……周りに被害を出さないよう、魔力で覆ってるんだ」
呟いてから、ぞっとした。こんな量の魔力を消費していたら、普通の人間では保たない。すでに、ゼグシュノクに乗っ取られているのでは?
「あの中で戦ってるのか……そもそも、光と闇じゃ、相性悪すぎて、ダメージもでかいのに」
「……クロエ? どこへ行くの?」
繭に向かって歩き始めた私に気付いて、エウィリナが慌てて後ろについてくる。
「とにかく、近くで見てみないと」
内部に魔力を閉じ込めているだけあって、近付いても、こちらに衝撃めいたものは伝わってこない。そっと触れると、押し戻される感触だけがあった。
「クロエ?」
「何か、光ってるものが」
目を凝らす。魔力で出来た、細かな糸の寄り集まりに、小さな赤い光が点々と連なり、その下の地面に繋がっている。屈み込んで、砂の上を見つめると、
「あ、これ、アンカラドだ」
「えっ?」
「アンカラドを砕いて、撒き散らして、魔獣の魔力を流して結界を作ってる」
「え、封印の剣って、そんなにしょっちゅう砕いていいものなの?」
「以前、俺が砕いたから、変な癖になってるとかじゃないよな?」
双子はぎょっとしている。私は首を振った。
「ないない」
「そうか……」
「殿下だって癖はあるだろうけど、変な癖なんてないから」
「妙なところにこだわってるな?!」
混乱した様子で顔を押さえた後、リオルは恐る恐るといった様子で、目を見開いた。
「封印はもう破られてるってことか? じゃあ、師匠は魔獣化して……」
「……まだ、大丈夫だと思う」
アンカラドとゼグシュノクの力を使っているということは、殿下はまだ、使役する側だということだ。今は、まだ。
(でも、殿下は、もう半日以上戦い続けてる)
どれだけ保つか分からないが、時間の問題ではあるだろう。
「なんとかして、結界の中に入らなきゃ」
結界を破壊せず、自分が入るだけの穴を開けられないだろうか。最初は慎重に、押したり引いたり、魔力を流し込んでみたり、いろんな試行錯誤をしていたのだが、無駄に終わった。自棄になって、攻撃魔法を撃ち込んでもみた。それでも歯が立たない。魔力の無駄遣いだ。
焦りばかりが募った。
「待て、俺が開けてやる」
背後から、どこかで聞いたことがある声が響いた。
振り向くと、
「ダーシェンさん」
それに、魔封じ一族の偉そうな人が何人か。貴族らしい礼服ではなく、魔術師らしい地味なローブを身に纏って、その場に群れなしている。
身長も大きさもまちまちだが、特徴的な吊り上がった三白眼が共通していた。
「アンカラドは、かつて、闇の魔獣が封じられたとき、我々の一族が魔力と命を捧げて作り上げた石なんだ」
一番偉そうな人が言う。名前はやっぱり覚えていない。
「我々の血肉と等しい。だから、アンカラドであれば操作できる。我々の魔力を注ぎ込んで強化しよう」
「……お願いします」
私が言うより早く、一族の人たちは結界の周りに散らばって、それぞれの箇所で魔力を篭め始めた。目の前で、ダーシェンも結界に手をつき、両手で何かを掴むような仕草をした。赤い光の筋が、何本も闇の糸を伝わって走り抜ける。
「ちょっとだけ待て。ここをこじ開ける」
少し息を切らしながら、ダーシェンが言う。
「はい」
私は頷き、身構えた。
少しずつ、闇の繭が押し開かれ、眩い光が私の顔を照らし出した。視力を奪われないよう、目を細める。私の背後で、リオルとエウィリナが低い声で詠唱を始めた。揺らぎもなく、完璧に調和した声。ほどなく、私の身体を囲むように、光属性の守護陣が張り巡らされるのを感じた。
(二人分の魔力で出来た守護陣って、すごいな)
もともと光の勇者だっただけあって、光魔法であればどんなものでも防げそうだ。お礼を言おうとしたとき、二人にそっと背中を押された。頷いて、結界の中に飛び込む。
光。光。光。光。さらに光。
守護陣を張ってもらっていて良かった。でなければ、すぐに失明していたのではないだろうか。そのくらい、人には耐え難い、暴力的な光だった。
もちろん、闇も存在する。殿下がここにいるのだから。遥か上空、黒くうねる竜のような形が、無数の首をもたげている。空気を引き裂くような音を立てながら、──そこにいる殿下に、齧り付いたところだった。
(ゼグシュノク!)
殿下を、飲み込もうとしている。
その瞬間、私は何も考えなかった。鞄の中に入っていた召喚石を全て地面にぶち撒け、手を伸ばし、呼ばわった。
「我が呼びかけに応えて出よ! 神獣ゼグシュノク!」
その瞬間、足元に描き出された召喚陣から、ごうごうと魔風が吹き出す。
だが、まだ引っ張り出せない。間に合わない。間に合わせる。絶対に。どうあっても。
「召喚士クロエの名において、呼びかけに応えて出よ! 神獣ゼグシュノク! 神獣! ゼグシュノク!」
呼びかけを重ねる。より深く、召喚の強制力を強める。
召喚士の名を告げるのは、強力な束縛となるが、諸刃の剣だ。現れても従うとは限らない。未知の召喚獣に対して、普通は名を告げることはしない。
しかも、相手は神獣だ。私如きの力で従わせられるはずがない。でも、従わせなくちゃいけない。食われるかもしれない。でも、勝たなくちゃいけない。どうしても。できないと言われても、本当にできないのかどうか、私は知らないから。
(リオル、エウィリナ、力を貸して!)
夢中で呼びかけると、彼らの魔力が流れ込んでくるのを感じた。それでも足りない。あと一歩。意識の端っこで、何かがパアン! と炸裂する音を立てて弾ける。それが何だか理解するより早く、足元から凶暴な闇が噴出した。私を呑み込み、一面に闇を広げ、私の視界を閉ざした。
何も見えない。闇だけ。
(この闇には、覚えがある)
(──お前の魔力には、覚えがある)
妙に明晰な声が響く。
ゼグシュノク。ここにいる。
(ずっと殿下の中に封印されていたから、声が似ている?)
切羽詰まっているのに、どうしても気付いてしまった。
一瞬、気が緩む。悪意がある魔物相手であれば、その隙に食われていたかもしれない。
しかし、闇は私を包み込んだまま、緩やかに安定した。
(……召喚の契約を、交わすか?)
(交わす! 交わします!)
(では、あの忌々しい眩しいだけの神の装置を、打ち破ってみせよ)
なぜだか、ゼグシュノクがクックッと笑う声が聞こえたような気がした。
手のひらがかっと熱を帯び、あまりの熱さに、引き攣れるような痛みが走った。思わず顔を歪めた私の目の端で、黒光りする召喚の紋章が浮かび上がる。契約は、結ばれた。私は、ゼグシュノクに命令を下せる。
そのことに気付いた瞬間、私は叫んでいた。
「殿下を、守って! ゼグシュノク!」
凄まじい力の渦が、空に向かって放たれた。同時に私を巻き込んでいた闇がほどけ、私はぺたりと砂の上に座り込んだ。大きく息を吸い込む。
「……はぁ」
掠れた声が洩れる。
力なく下ろした手が、何かに触れる。砂の上に転がっているもの。砕けて、尖った、石の破片のようなもの。白くて、何かの模様がある──
(ああ、鞄の留め金……お姉ちゃんたちが用意してくれた、鳥の模様がついたやつ……魔石)
ずしん、ずしん、と地面を穿つような音が響いていて、なかなか思考がまとまらなかった。なんだろう、これは、うるさい……と思ってからようやく、それが自分の心臓の音だと気付いた。
(……本当に、上手くいったの?)
飛び跳ねるような鼓動で痛む胸に手を押し当てて、鎮めようとする。
上手くいったとして、理由が分からない。私が強いから、ではないと思う。奇蹟? そうかもしれない。私は弱い。自分の強さを客観的に測ることができないぐらい弱く、奇蹟に頼らなくてはならないほどに弱い。
でも、どうしても、成功させなければならなかった。そして、成功した。
(……ああ、私がもっと強ければいいのに)
そうしたら、後になって込み上げて来る緊張と恐怖にカタカタ震えて、立ち上がれないなんてことにもならないのに。
だから、転移陣から降り立って、双子を傍らに召喚したとき、仲間が出来たみたいで嬉しかった。付け焼き刃の協力関係だけれど、一人じゃない。
でも、それを見たとき、本当に、心の底から、一人じゃないことに感謝した。
一人だったら、この状況をきちんと理解して、飲み込めていただろうか? 分からない。
「何、あれ」
「あんな結界、見たことがないわ」
「師匠も無茶をするな……やっぱり素が人間じゃないだろ、あの人」
口々に感想を述べてから、一様に押し黙る。それほど、異様な光景だった。
日は落ちたというのに、砂漠を包む空気は妙に生温かい。どこか、焼け焦げたような匂いも漂っている。
砂漠に棲む生き物は無事に全て逃げおおせたようで、国王陛下が派遣した援軍はまだ到着していない。今、この光景を見ているのは、私たちだけだ。
広大な砂漠に、巨人を閉じ込めたかのような黒い繭が出来ていた。
内部から照り輝く光が、黒髪のような、ぬめりのある繊維質のもので構成された繭の隙間をところどころ貫通し、その闇色の糸を輝かせる。そのたびに、粉砕されて乱れた闇は、ずずり……と寄り集まり、ふたたび檻を形づくる。
「殿下が……周りに被害を出さないよう、魔力で覆ってるんだ」
呟いてから、ぞっとした。こんな量の魔力を消費していたら、普通の人間では保たない。すでに、ゼグシュノクに乗っ取られているのでは?
「あの中で戦ってるのか……そもそも、光と闇じゃ、相性悪すぎて、ダメージもでかいのに」
「……クロエ? どこへ行くの?」
繭に向かって歩き始めた私に気付いて、エウィリナが慌てて後ろについてくる。
「とにかく、近くで見てみないと」
内部に魔力を閉じ込めているだけあって、近付いても、こちらに衝撃めいたものは伝わってこない。そっと触れると、押し戻される感触だけがあった。
「クロエ?」
「何か、光ってるものが」
目を凝らす。魔力で出来た、細かな糸の寄り集まりに、小さな赤い光が点々と連なり、その下の地面に繋がっている。屈み込んで、砂の上を見つめると、
「あ、これ、アンカラドだ」
「えっ?」
「アンカラドを砕いて、撒き散らして、魔獣の魔力を流して結界を作ってる」
「え、封印の剣って、そんなにしょっちゅう砕いていいものなの?」
「以前、俺が砕いたから、変な癖になってるとかじゃないよな?」
双子はぎょっとしている。私は首を振った。
「ないない」
「そうか……」
「殿下だって癖はあるだろうけど、変な癖なんてないから」
「妙なところにこだわってるな?!」
混乱した様子で顔を押さえた後、リオルは恐る恐るといった様子で、目を見開いた。
「封印はもう破られてるってことか? じゃあ、師匠は魔獣化して……」
「……まだ、大丈夫だと思う」
アンカラドとゼグシュノクの力を使っているということは、殿下はまだ、使役する側だということだ。今は、まだ。
(でも、殿下は、もう半日以上戦い続けてる)
どれだけ保つか分からないが、時間の問題ではあるだろう。
「なんとかして、結界の中に入らなきゃ」
結界を破壊せず、自分が入るだけの穴を開けられないだろうか。最初は慎重に、押したり引いたり、魔力を流し込んでみたり、いろんな試行錯誤をしていたのだが、無駄に終わった。自棄になって、攻撃魔法を撃ち込んでもみた。それでも歯が立たない。魔力の無駄遣いだ。
焦りばかりが募った。
「待て、俺が開けてやる」
背後から、どこかで聞いたことがある声が響いた。
振り向くと、
「ダーシェンさん」
それに、魔封じ一族の偉そうな人が何人か。貴族らしい礼服ではなく、魔術師らしい地味なローブを身に纏って、その場に群れなしている。
身長も大きさもまちまちだが、特徴的な吊り上がった三白眼が共通していた。
「アンカラドは、かつて、闇の魔獣が封じられたとき、我々の一族が魔力と命を捧げて作り上げた石なんだ」
一番偉そうな人が言う。名前はやっぱり覚えていない。
「我々の血肉と等しい。だから、アンカラドであれば操作できる。我々の魔力を注ぎ込んで強化しよう」
「……お願いします」
私が言うより早く、一族の人たちは結界の周りに散らばって、それぞれの箇所で魔力を篭め始めた。目の前で、ダーシェンも結界に手をつき、両手で何かを掴むような仕草をした。赤い光の筋が、何本も闇の糸を伝わって走り抜ける。
「ちょっとだけ待て。ここをこじ開ける」
少し息を切らしながら、ダーシェンが言う。
「はい」
私は頷き、身構えた。
少しずつ、闇の繭が押し開かれ、眩い光が私の顔を照らし出した。視力を奪われないよう、目を細める。私の背後で、リオルとエウィリナが低い声で詠唱を始めた。揺らぎもなく、完璧に調和した声。ほどなく、私の身体を囲むように、光属性の守護陣が張り巡らされるのを感じた。
(二人分の魔力で出来た守護陣って、すごいな)
もともと光の勇者だっただけあって、光魔法であればどんなものでも防げそうだ。お礼を言おうとしたとき、二人にそっと背中を押された。頷いて、結界の中に飛び込む。
光。光。光。光。さらに光。
守護陣を張ってもらっていて良かった。でなければ、すぐに失明していたのではないだろうか。そのくらい、人には耐え難い、暴力的な光だった。
もちろん、闇も存在する。殿下がここにいるのだから。遥か上空、黒くうねる竜のような形が、無数の首をもたげている。空気を引き裂くような音を立てながら、──そこにいる殿下に、齧り付いたところだった。
(ゼグシュノク!)
殿下を、飲み込もうとしている。
その瞬間、私は何も考えなかった。鞄の中に入っていた召喚石を全て地面にぶち撒け、手を伸ばし、呼ばわった。
「我が呼びかけに応えて出よ! 神獣ゼグシュノク!」
その瞬間、足元に描き出された召喚陣から、ごうごうと魔風が吹き出す。
だが、まだ引っ張り出せない。間に合わない。間に合わせる。絶対に。どうあっても。
「召喚士クロエの名において、呼びかけに応えて出よ! 神獣ゼグシュノク! 神獣! ゼグシュノク!」
呼びかけを重ねる。より深く、召喚の強制力を強める。
召喚士の名を告げるのは、強力な束縛となるが、諸刃の剣だ。現れても従うとは限らない。未知の召喚獣に対して、普通は名を告げることはしない。
しかも、相手は神獣だ。私如きの力で従わせられるはずがない。でも、従わせなくちゃいけない。食われるかもしれない。でも、勝たなくちゃいけない。どうしても。できないと言われても、本当にできないのかどうか、私は知らないから。
(リオル、エウィリナ、力を貸して!)
夢中で呼びかけると、彼らの魔力が流れ込んでくるのを感じた。それでも足りない。あと一歩。意識の端っこで、何かがパアン! と炸裂する音を立てて弾ける。それが何だか理解するより早く、足元から凶暴な闇が噴出した。私を呑み込み、一面に闇を広げ、私の視界を閉ざした。
何も見えない。闇だけ。
(この闇には、覚えがある)
(──お前の魔力には、覚えがある)
妙に明晰な声が響く。
ゼグシュノク。ここにいる。
(ずっと殿下の中に封印されていたから、声が似ている?)
切羽詰まっているのに、どうしても気付いてしまった。
一瞬、気が緩む。悪意がある魔物相手であれば、その隙に食われていたかもしれない。
しかし、闇は私を包み込んだまま、緩やかに安定した。
(……召喚の契約を、交わすか?)
(交わす! 交わします!)
(では、あの忌々しい眩しいだけの神の装置を、打ち破ってみせよ)
なぜだか、ゼグシュノクがクックッと笑う声が聞こえたような気がした。
手のひらがかっと熱を帯び、あまりの熱さに、引き攣れるような痛みが走った。思わず顔を歪めた私の目の端で、黒光りする召喚の紋章が浮かび上がる。契約は、結ばれた。私は、ゼグシュノクに命令を下せる。
そのことに気付いた瞬間、私は叫んでいた。
「殿下を、守って! ゼグシュノク!」
凄まじい力の渦が、空に向かって放たれた。同時に私を巻き込んでいた闇がほどけ、私はぺたりと砂の上に座り込んだ。大きく息を吸い込む。
「……はぁ」
掠れた声が洩れる。
力なく下ろした手が、何かに触れる。砂の上に転がっているもの。砕けて、尖った、石の破片のようなもの。白くて、何かの模様がある──
(ああ、鞄の留め金……お姉ちゃんたちが用意してくれた、鳥の模様がついたやつ……魔石)
ずしん、ずしん、と地面を穿つような音が響いていて、なかなか思考がまとまらなかった。なんだろう、これは、うるさい……と思ってからようやく、それが自分の心臓の音だと気付いた。
(……本当に、上手くいったの?)
飛び跳ねるような鼓動で痛む胸に手を押し当てて、鎮めようとする。
上手くいったとして、理由が分からない。私が強いから、ではないと思う。奇蹟? そうかもしれない。私は弱い。自分の強さを客観的に測ることができないぐらい弱く、奇蹟に頼らなくてはならないほどに弱い。
でも、どうしても、成功させなければならなかった。そして、成功した。
(……ああ、私がもっと強ければいいのに)
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