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7.シンヤの進化(7)

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ズシンと地鳴りのような音を立て着地すると、シンヤは高笑いし始めた。

「あーはっはっはー。なんだよ、このすげぇ脚力。オーマ、進化ってすげえんだな。マジでびっくりしたよ!」

「進化のすばらしさにキミも気づいてくれたようで、僕も嬉しいよ。人間の身体には限界がある。どんなに訓練を積み成長を続けてもやがてその限界がくる。そして、人間のままではその限界を超えることはできない。進化はその限界を超えるための儀式なのさ」

「そんな難しい話されてもよく分からねぇよ、オレの頭じゃ」

「簡単に言えば、進化し続けることでキミは強くなれるということだ。そして、進化し続けるために、君は人間を喰らいつづけなきゃいけないのさ。」

「へぇー、要するに旨い人間を喰って強くなれってことか」

「そういうこと」

そう言い、ぴょんとシンヤの肩に飛び乗るオーマ。

「さて、それじゃあメインディッシュの時間だよ、シンヤ。最後に残しておいた国王を喰らって、僕らは次の段階に進むとしようか」

「いよいよ国王が喰える。やべぇ、よだれが止まらねぇよ」

口からボタボタとよだれを垂れ流すシンヤの姿は、もはや野生の獣というべきものだった。

「やべぇ、こっちの方角から旨そうな匂いがプンプンするぜ。分かる、分かっちまうよ。この匂い、国王のものだ。身体が燃えるように熱くなってきやがった。喰いたい、喰いたいって身体が叫んでいやがる」

「もう我慢する必要はないよ。さぁ、狩りを始めよう」
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