伝説の勇者が二人も現れるなんて聞いてません!

鶴山葵土

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7.シンヤの進化(8)

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オーマの許しが下りた今、シンヤの食欲を止める者はだれもいなかった。

「今すぐ喰ってやるぞ。国王ぉおおー!」

シンヤは吠えると、腰を落として脚に力を込める。
足にとんでもない力が集中していくのを感じる。
そして、溜められた力を爆発させるように両足で地面を蹴る。
シンヤが立っていた辺りはまるで隕石でも落ちてきたように地面がえぐり取られ、シンヤの姿はふっと消える。

国王は走り続けていた。

「はぁ、はぁっ、はぁっ、はぁぁっ」

移動手段は基本的に馬車で、走ることなどここ最近なかった。
高齢なうえ、体力も衰えた国王に長距離を走ることは過酷なものだった。
しかし、逃げなければという本能が、シンヤに対する恐怖心が国王の身体を突き動かしていた。
町の出口が見え始める。
街を出た先にはドンヘルの森がある。
ドンヘルの森に入ってしまえば、シンヤも簡単には追いつけないはず。
あともう少し、という瞬間であった。

何かに隣から追い抜いかれた。
その何かはものすごい砂埃をあげ、速度を落としていく。

「げほっ、はぁっ、はぁっ、うぉほっ、げほっ」

足を止め、呼吸を整えようとする国王。
やがて、その何かは国王の肉眼でも姿が確認できるようになっていく。
そこには毛むくじゃらのバニーガールがいた。

「いててっ。ちっ、ケツに食い込む。マジいてぇ。ほんと最悪だな、この格好」

この声には聞き覚えがあった。

「仕方ないだろう。君が僕の言うことを聞かないからそういう目にあるのさ」

「いつまでも俺を責めるなよ、オーマ。」

「君がいつまでも愚痴をいうからさ」

「わりぃ、わりぃ。次はちゃんと言うこと聞くからよ。それに今はメインディッシュを美味しく頂くとするよ」

毛むくじゃらのバニーガールがこちらを振り向く。
悪魔のような笑みを浮かべたシンヤがそこにはいた。
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