働きアリの婚活

鶴山葵土

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4.働きアリの現実(2)

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またナオトの収入だが、決してよいと言えるものではなかった。
むしろ、労働時間を考慮すると最低労働賃金を割るような給与であった。
ナオトが就職したのは、吹けば吹き飛ぶような中小企業だった。
業績は常に悪く来年には倒産するとかもしれない、そんな噂を耳にするのは日常茶飯事であった。
転職を考えた時期もあったが、世の中は甘くないことを思い知らされた。
平均より少し下の学力だったナオトが入れた大学は偏差値の低い学校だった。
優れた能力があるわけでもなく、高度なキャリアを積んできたわけでもない、そんな人材が恵まれた環境に転職できるほど世の中は甘くはないのだ。
それ故、ナオトはこの厳しい現状にひたすら耐え、働き続けるしかなかった。
企業側は違法ギリギリの手法を用い、社員への給与を低くし続けていた。
そんな状況に呆れ退職するものも多く、退職者がでればその業務を誰かが引き継がなければならなかった。
ナオトも当然退職者の業務を引き継いでおり、4名から業務を引き継いでいた。
完全にオーバーワーク状態であり、長時間労働と休日出勤で何とか期限を守るギリギリの日々を送っていた。

ここでナオトの容姿にも触れておこう。
ナオトはブサイクだ。
弟を含め、ナオト以外の家族はみな平均的な容姿であった
しかし、ナオトだけがブサイクに生まれた。
高校時代、同級生の女子からは陰で「顔面偏差値四十二」と言われていたこともある。
だが、ナオトは青春や恋愛は自分には無縁だと考えていたナオトは深く傷つくこともなく、不登校になるようなこともなかった。
そしてこの考えを持つようになった結果、三十三歳という年齢に至るまで女性と無縁の人生を送ることになった。
ナオトがそんな考えを持つようになったのは、中学三年生の頃に経験したある出来事に起因していた。
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