黙っている現場から 放課後ディサービス

こさ

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人間関係――家族経営の現場で起きること

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この職場は、家族経営だ。
親族、昔からの知り合い、そして血縁も縁もない職員。
その三層で、現場は構成されている。

表向きは、全員フラットだ。
役職も肩書きもある。
会議もあるし、意見を言う場も、形式上は用意されている。

けれど、実際に流れている空気は、少し違う。

親族同士は、説明がいらない。
言葉を交わさなくても、判断が共有されている。
知り合い同士は、空気を読む。
昔の関係性を壊さないことが、最優先になる。

そして、
何の縁もない職員だけが、
言葉と手順と記録で、自分の立場を守る。

同じミスでも、扱いが違う。
同じ意見でも、通り方が違う。
評価の基準は、明文化されているようで、されていない。

注意される人は、決まっている。
守られる人も、だいたい決まっている。

誰かが悪意を持っているわけではない。
ただ、身内を守る構造が、自然に働いているだけだ。



現場で起きる、見えない分断

親族は、感情でぶつかっても関係が壊れない。
知り合いは、多少の無理を飲み込める。
でも、何の関係もない人間は、そうはいかない。

一度評価が下がれば、
それを覆す材料は、記録しかない。
だから、真面目な人ほど、仕事が増える。

フォローに回る。
調整役になる。
空気が荒れないよう、言葉を選ぶ。

その結果、
いちばん「組織的」に動いている人ほど、孤立する。

輪に入れないのではない。
最初から、輪の外に立っている。



それを見ていた「私」

私は、この構造を知っている。
前の職場でも、似たものを見てきた。

家族経営は、温かい。
決断が早い。
守られる人がいる。

でも同時に、
「線引きできない関係性」が、
現場の判断を曇らせる。

私は、誰の身内でもない。
だから、子どもたちと制度だけを見て働く。

それが、いちばん安全だからだ。

正義感を振りかざす気もない。
告発するつもりもない。

ただ、
この構造の中で、どう壊れずに立ち続けるかを、
毎日考えている。
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