『定時後の偶然が多すぎる』

こさ

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定時後、隣にいる理由 …「定時後、席が空いている理由」

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定時を過ぎたフロアは、驚くほど静かだった。
 それでも、自分の席の隣だけは、いつも空いていない。

「まだ残るのか」

 声をかけてきたのは、隣の上司だった。

「キリのいいところまで」

「そうか」

 それ以上、会話は続かない。
 それなのに、同じ空間にいることだけは、もう自然だった。

 コーヒーを淹れに立ち、席に戻ると、カップが一つ増えている。

「……ありがとうございます」

「ついでだ」

 淡々とした声。
 けれど、そのタイミングだけは、いつも正確だった。

 誰にも説明していない。
 約束も、名前を呼ぶこともない。

 ただ、定時後になると、
 隣の席が空かなくなる理由を、自分だけが知っている。

 それで、十分だった。

(続)
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