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目が覚めたら異世界11
しおりを挟む「ハク様は戦闘を経験した事があるのですか? 私はホルス学園内では一応、 序列3位のランカーなんです…… 」
確かにリムがササラはランカーだと言ってたな、 ランカーの定義は分からないが、 恐らく学園内での強さで決まるのではないだろうか。
「いや。戦闘経験はないな…… 俺の世界での基礎能力がもしかすればこの世界より少し高い可能性も考えられるかもしれない。
俺はどっちかと言うと、 あまり体を動かすのは好きじゃないしな。 」
実際俺は日本にいた頃に、 運動と言う運動をあまりしないで生活をしていた。
「ハク様が戦闘経験を積めば、 私なんか相手にもならないと思います……
私もこれからはもっと、 ハク様の為に強くならないといけませんね…… 」
ササラはそう言うと、 両手を胸の前で握りしめるのだった。
あ、 可愛い……抱きしめたい……
俺は湧き上がる気持ちを抑えて、 ササラの頭を優しく撫でていく。
「ハ、 ハク様……? 急にどうされましたか…… 」
ササラは仔猫の様な瞳で俺を見つめてくるが、 構わずササラの頭を撫でるのを続けてしまう。
「いや…… 可愛いなぁ~って…… あ、 それとササラは序列3位のランカーなんだろ?
ランカーってのはイマイチ俺は良くわかってないんだが、 順位があるくらいだからスゲー事なんだよな?
だからさ…… ササラは頑張ってるなと思って頭を撫でてるんだ」
ササラは俯き俺の行動を素直に受け入れていた、 きっとスゲー頑張ってたんだな。
「ありがとうございます…… 私はもっともっと強くなりますからっ!
ずっとハク様のお側にいさせて下さい…… 」
俺はササラの顔を覗きこみ、 ニッコリとササラに微笑んでいた。
「当たり前だろ。ずっと一緒だ! 」
ササラは涙を浮かべて頷いた。
「……はいっ! 」
その後も俺達は、 時間いっぱいまで訓練を続けて行くのだった。
…………
……
今日はササラに加え、 アリスとリムも訓練に参加してもらった。これだ…… この感覚。
3人は俺へと連携を取り合い攻撃を繰り出してくる、 昨日ササラとの訓練で発現したスローモーションの世界……
俺は迫る斬撃の軌道上を縫う様に身を捻りながら、 それぞれの武器を薙ぎ払って行く。
アリスとリムは武器を跳ね上げられると同時に体勢を崩してしまうが、 ササラは上手く俺の攻撃を受け流していた。やはりランカーは違うか……
ササラは咄嗟に2人を守るように俺へと追撃をして来るのだった。
アリスとリムより1枚上手だな、 流石ササラと言った所だな。
「まだです……! 」
輝くセラフィムを振るったと同時に発生する光の斬撃……!?
「く…… ヤバッ! 」
俺はアポカリプスを咄嗟に地面へと突き立てると、 同時に剣を握りしめている手に伝わる衝撃に、 声を上げてしまう……
「くそ…… なんて威力だよっ! 」
痺れて震えている腕が、強力な攻撃だと物語っていた。
額には自然と冷や汗が流れて行くのがわかる……
俺は直ぐに地面からアポカリプスを引き抜くと、 ササラへと追撃を開始するのだった。
アポカリプスから繰り出される猛攻を、 器用に受け流して行くササラに徐々に焦りを感じてしまうと、 俺の攻撃が次第に大振りになっていた。
ササラに全意識を集中させていた俺は、 背後から迫る攻撃に気がつくのが遅れてしまう……
リムとアリスによる攻撃が俺の肩と脇腹に見事にヒットしていた。
例えスローモーションに見えていたとしても攻撃に気がつかなければ意味がないと言う事だよな……
地面に片膝を落とした俺は、 両手を上げて降参のポーズを取っていた。
「参った…… 降参だ! 」
流石に3人相手に戦うにはまだ早かったか、 攻撃された脇腹を摩りつつも立ち上がっていく。
「ハク様…… 強い…… 3人がかりでやっと。 疲れた…… 」
「本当強すぎだよっ! こんなに動いたのは久しぶりだなぁ」
アリスとリムは呆れる様にボヤいていた、 2人の言葉にササラは頷くと、 まるで自分の事のように嬉しそうに笑っている。
「2人はまだまだ鍛錬が必要みたいですね…… フフ…… 」
「サ、 ササラ先輩はスパルタだぁ~!? 」
「綺麗な…… 鬼……? 」
3人のやり取りを尻目に、 思わず苦笑いを浮かべてしまう。
「ハク様!今笑いましたよね…… 」
ササラの冷たい笑みが怖いんですけど……
「な、 なに言ってるんだ!? こ、 こんな可愛い鬼がいるわけないだろ…… 」
俺はササラの頭をポンポンと叩くと、 少し赤ら顔のササラは嬉しそうに目を閉じる。
「もぉ~! ハク様はそうやってごまかすんですから…… もういいですよ…… 」
「はは、 拗ねないでくれよ…… 帰ったらもっとナデナデしてやるから…… な? 」
俺の言葉に3人の顔は見る見ると赤く染まっていく。
「ササラ先輩…… ナデナデって?
わ、 私もしてほ…… じゃなくて……うぅ、 いいなぁ…… 」
「ナデナデ~…… 」
「ハ、 ハク様!? 私はそ、 そんな事は…… うぅ…… して欲しい…… 」
ササラの後半は聞こえない程小さかったが、 嫌がってはいない様だし大丈夫だろう。
「さてと。 だいぶ痛みはマシになった!
3人にはまだまだ俺の訓練に付き合ってもらうぞ! 」
俺はニヤリと不敵な笑みを浮かべると、 アリスとリムはここに本当の鬼がいる事に初めて気がつくのだった。
「「お、 鬼ッ~……!! 」」
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