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冷蔵庫を見ながら作れそうなものを想像したけど、結局わかんなくてクックポットを見ながら作った。
鶏肉って黒胡椒でこんなつまみになるんだ。黒木好きそうだな。だし巻き卵ってこんな簡単なんだ。今度黒木にも作ってやろう。
もう品数充分かなと思ったとき、急にコーンバターが食べたくなって、でっかいコーン缶を開けた。ちょっと多いかな……まあいっか、とフライパンにコーンとバターを突っ込んだ。
作った物をつまみながら、黒木なに食べたかな……と考える。
きっとまたカップ麺とかふりかけご飯とか食ってんだろな……。せめてコンビニ弁当とか買えばいいのに……。
黒木はお金はもらってるくせに、食べ物に執着がなさすぎる。俺がいなかったら、ご飯だけ炊いて納豆か卵かふりかけで適当に食べて終わっちゃう。本当に心配になる。
「あれ、あんたまだ制服着てるの?」
配達の終わった父さんと店番を交代する時間になって、母さんがリビングにやって来た。
「んー。脱ぐの面倒で。いま、できたの並べるから待ってて」
「わーありがとー」
食卓テーブルの椅子に座って「あー疲れたー」と伸びをする。
キッチンで作業する俺をじっと見て、母さんが言った。
「……ねえ、さっきから気になってたんだけど、なにそのぶかぶかのカーディガン」
「黒木に借りたー」
「へえ、黒木くんってそんなに大きい子なの?」
「うん、でけぇよ。俺と頭一個分は違う」
「そんなに? そっか、世の男子高校生はそんな感じ? あんたがチビだから感覚が麻痺しちゃってるわ」
「チビって言うなって。チビに産んだの誰だよ」
あ、私か、と可笑しそうに笑って「ごめんごめん」と謝る。
俺は皿に盛ったおかずをテーブルに並べていった。
「わっ! すごいちゃんとできてるっ。美味しそうっ。徹平もやればできるのねぇ。まさかあんたが夕飯作ってくれる日が来るなんて……」
『でもせっかく徹平が作ってくれたのに、お姉ちゃん飲み会だって言うし……食べきれないわね……』
姉ちゃん飲み会なんだ。じゃあ作りすぎだよな。あまるよな。……あまったら……もったいねぇよな。
…………黒木、……食べるかな……。
「……そういえば姉ちゃんは? 遅いの?」
「あ……それが飲み会だって言うのよ。ごめんね、せっかく作ってくれたのに」
「あー、そうなんだ。……あ……のさ。無駄になったらもったいねぇし……黒木んとこ持ってったらダメ?」
「ああ、そうね、もったいないしそうしなさいな」
『あまるんだからそれもいいわね。今日も黒木くんはふりかけご飯なのかしら? 徹平じゃなくても心配になるわ……』
やったっ。黒木ん家に行けるっ。
俺は嬉しくなって飛び跳ねたくなった。
「今日はもう泊まってきていいよなっ?」
「こんな時間から行くのに帰ってこいなんて言わないわよ」
「じゃあ俺の分も持ってって二人で食べるわっ!」
俺はウキウキしながら棚からタッパを取り出して、おかずを詰める。
「徹平、本当に黒木くんが好きよねぇ」
「うん、大好きっ。すげぇいいヤツっ。すげぇ優しいしっ」
「へぇ。私も会ってみたいなぁ」
『こんな徹平初めて見るわね。友達とはずっと壁を作る子だったのに……。いい友達ができて本当に良かったわ』
壁作ってるの……やっぱバレてたんだな……。
そりゃそうか。友達連れてきたこともねぇし……。
友達の話も聞かれたら答えるくらいで、自分からはほとんどしなかった。
今は自分から黒木のこといっぱい話してる。
「あのさ……。明日も泊まっていい? あ……てか日曜も泊まってそのまま学校行ったらダメ?」
「あんた……そんなに黒木くんと一緒にいたいの?」
母さんがあきれた顔で俺を見る。
『この間の単元テストもびっくりするくらい良かったから、勉強は嘘じゃないみたいだし……。黒木くんって本当にどんな子なのかしら……。徹平がこんなに誰かに執着するなんて。きっとよっぽど良い子なんだわ』
母さんが黒木を信用してくれてるのが嬉しかった。
もっと黒木の良さを伝えたくなった。知ってほしかった。
「黒木ほんっとすげぇ良いヤツなんだよっ。俺あんな良いヤツに初めて会ったっ! すげぇ優しいし俺のことめっちゃ考えてくれるし、すっげぇあったかいヤツなんだっ!」
部屋がシンとなる。
母さんが目を丸くして俺を見てることに気づいて、ハッとした。
やべ。めっちゃ熱弁しちゃった……。
「……ほんっとに大好きなのね」
「……うん。めっちゃ大好き」
『友達として……好きってことよね? 変な方向にいっちゃわないか心配になってきたわ……』
ドキッとした。
俺の好きは……たぶん友達としてだ。でももう黒木とは……やっちゃったし……。母さんのいう変な方向って、そういうことだよな。
でも俺は後悔なんてしてないし、これからも黒木に抱かれたい。ずっとこのままの関係でいたい。だって黒木に抱かれるとすげぇ幸せになれるから……。
「初めての親友だからさ。すげぇ大好きだしすっげぇ大事なんだっ」
『親友だから……そっか、そうよね、考えすぎか……』
「そっかそっか。黒木くんにお世話になりますって伝えてね。あと食事代ちゃんと持って行ってね」
「はーい」
……言った言葉は嘘じゃないのに……なんか嘘ついてる気分だ。
胸がモヤモヤする。やっぱり嘘とか隠しごとは嫌いだ……。
でもこれは隠さなくちゃ……ごめん、母さん……。
鶏肉って黒胡椒でこんなつまみになるんだ。黒木好きそうだな。だし巻き卵ってこんな簡単なんだ。今度黒木にも作ってやろう。
もう品数充分かなと思ったとき、急にコーンバターが食べたくなって、でっかいコーン缶を開けた。ちょっと多いかな……まあいっか、とフライパンにコーンとバターを突っ込んだ。
作った物をつまみながら、黒木なに食べたかな……と考える。
きっとまたカップ麺とかふりかけご飯とか食ってんだろな……。せめてコンビニ弁当とか買えばいいのに……。
黒木はお金はもらってるくせに、食べ物に執着がなさすぎる。俺がいなかったら、ご飯だけ炊いて納豆か卵かふりかけで適当に食べて終わっちゃう。本当に心配になる。
「あれ、あんたまだ制服着てるの?」
配達の終わった父さんと店番を交代する時間になって、母さんがリビングにやって来た。
「んー。脱ぐの面倒で。いま、できたの並べるから待ってて」
「わーありがとー」
食卓テーブルの椅子に座って「あー疲れたー」と伸びをする。
キッチンで作業する俺をじっと見て、母さんが言った。
「……ねえ、さっきから気になってたんだけど、なにそのぶかぶかのカーディガン」
「黒木に借りたー」
「へえ、黒木くんってそんなに大きい子なの?」
「うん、でけぇよ。俺と頭一個分は違う」
「そんなに? そっか、世の男子高校生はそんな感じ? あんたがチビだから感覚が麻痺しちゃってるわ」
「チビって言うなって。チビに産んだの誰だよ」
あ、私か、と可笑しそうに笑って「ごめんごめん」と謝る。
俺は皿に盛ったおかずをテーブルに並べていった。
「わっ! すごいちゃんとできてるっ。美味しそうっ。徹平もやればできるのねぇ。まさかあんたが夕飯作ってくれる日が来るなんて……」
『でもせっかく徹平が作ってくれたのに、お姉ちゃん飲み会だって言うし……食べきれないわね……』
姉ちゃん飲み会なんだ。じゃあ作りすぎだよな。あまるよな。……あまったら……もったいねぇよな。
…………黒木、……食べるかな……。
「……そういえば姉ちゃんは? 遅いの?」
「あ……それが飲み会だって言うのよ。ごめんね、せっかく作ってくれたのに」
「あー、そうなんだ。……あ……のさ。無駄になったらもったいねぇし……黒木んとこ持ってったらダメ?」
「ああ、そうね、もったいないしそうしなさいな」
『あまるんだからそれもいいわね。今日も黒木くんはふりかけご飯なのかしら? 徹平じゃなくても心配になるわ……』
やったっ。黒木ん家に行けるっ。
俺は嬉しくなって飛び跳ねたくなった。
「今日はもう泊まってきていいよなっ?」
「こんな時間から行くのに帰ってこいなんて言わないわよ」
「じゃあ俺の分も持ってって二人で食べるわっ!」
俺はウキウキしながら棚からタッパを取り出して、おかずを詰める。
「徹平、本当に黒木くんが好きよねぇ」
「うん、大好きっ。すげぇいいヤツっ。すげぇ優しいしっ」
「へぇ。私も会ってみたいなぁ」
『こんな徹平初めて見るわね。友達とはずっと壁を作る子だったのに……。いい友達ができて本当に良かったわ』
壁作ってるの……やっぱバレてたんだな……。
そりゃそうか。友達連れてきたこともねぇし……。
友達の話も聞かれたら答えるくらいで、自分からはほとんどしなかった。
今は自分から黒木のこといっぱい話してる。
「あのさ……。明日も泊まっていい? あ……てか日曜も泊まってそのまま学校行ったらダメ?」
「あんた……そんなに黒木くんと一緒にいたいの?」
母さんがあきれた顔で俺を見る。
『この間の単元テストもびっくりするくらい良かったから、勉強は嘘じゃないみたいだし……。黒木くんって本当にどんな子なのかしら……。徹平がこんなに誰かに執着するなんて。きっとよっぽど良い子なんだわ』
母さんが黒木を信用してくれてるのが嬉しかった。
もっと黒木の良さを伝えたくなった。知ってほしかった。
「黒木ほんっとすげぇ良いヤツなんだよっ。俺あんな良いヤツに初めて会ったっ! すげぇ優しいし俺のことめっちゃ考えてくれるし、すっげぇあったかいヤツなんだっ!」
部屋がシンとなる。
母さんが目を丸くして俺を見てることに気づいて、ハッとした。
やべ。めっちゃ熱弁しちゃった……。
「……ほんっとに大好きなのね」
「……うん。めっちゃ大好き」
『友達として……好きってことよね? 変な方向にいっちゃわないか心配になってきたわ……』
ドキッとした。
俺の好きは……たぶん友達としてだ。でももう黒木とは……やっちゃったし……。母さんのいう変な方向って、そういうことだよな。
でも俺は後悔なんてしてないし、これからも黒木に抱かれたい。ずっとこのままの関係でいたい。だって黒木に抱かれるとすげぇ幸せになれるから……。
「初めての親友だからさ。すげぇ大好きだしすっげぇ大事なんだっ」
『親友だから……そっか、そうよね、考えすぎか……』
「そっかそっか。黒木くんにお世話になりますって伝えてね。あと食事代ちゃんと持って行ってね」
「はーい」
……言った言葉は嘘じゃないのに……なんか嘘ついてる気分だ。
胸がモヤモヤする。やっぱり嘘とか隠しごとは嫌いだ……。
でもこれは隠さなくちゃ……ごめん、母さん……。
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