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29〈黒木〉
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寝室まで来ると、野間はつないだ手を離し、思い切りよくベッドに入って背中を向けた。
「……野間?」
「は、早くベッド入れよ。……んで早く電気消して」
言われた通りにベッドに入り電気を消した。
野間の心から緊張が流れてくる。俺は野間の首元に腕をそっと差し入れて腕枕をしながら、後ろからぎゅっと抱きしめた。
『うわ……っ。やばいやばいっ恥ずいっ、心臓苦しいっ、めっちゃ緊張するっ、なんでっ』
「く、くく黒木」
「うん?」
「どどどうしよ、俺、なんで昨日平気だったんだろ……っ。で、電気消しても恥ずいんだけど……っ」
「昨日も充分頭パンクしてたぞ?」
「そ、そそそうだった?」
「それから、お前を落ち着かせる方法ならもう知ってる」
「んぇ……っ?」
『俺も知らねぇこと黒木が知ってるってすげぇっ!』
「野間、こっち向け」
「や……むむむ無理っ」
『ちょっと待って無理っ。恥ずくて黒木の顔見れねぇっ。顔から火出そうっ』
もう本当に可愛い。俺は野間の頭にそっとふれるキスをした。
『うわ……っ、やばい……っ。頭にキスやばい……っ。キュンってした……』
「こっち向けよ」
「ま、まま待って」
頭がパンクしてる野間に俺は言った。
「キスしたい」
すると野間は、おずおずとこっちに向き直り俺を見つめてきた。
「お、俺もしたい」
「本当に、お前はキスが好きだな」
「……うん。黒木のキス……好き」
「俺のキス以外知ってるのか?」
「は、そんなの知るわけねぇ……あ、そっか。俺、ただキスが好きなだけ……?」
「……お前は、俺のだけ知っていればいいよ」
『……え……いまのどういう意味……』
「……ん…………」
俺は野間の顔中にゆっくりとキスを降らせた。
『あ……これ好き。あ……やばい、頭撫でられながら……すげぇ気持ちい……』
そうか、野間は頭も気持ちいいのか。
じゃあこれは? と同時に耳をさわさわと撫でてみる。
「……ん、……んんっ……」
『……気持ちい……。けど……口……まだかな……』
野間の心の声に笑いがもれた。焦らしたわけではなかったが、そうなってしまったらしい。
野間の唇にキスをしようとして思いとどまる。俺は念入りに本を思い浮かべた。もう野間への思いが強すぎて、いつ心の声がもれるかずっと不安だ。
野間……もし俺の本当の気持ちがいつか聞こえても、離れていかないでくれ……。
俺は野間の唇に優しくキスをした。野間の口が期待したように開いたが、ふれるだけのキスだけで唇を離す。
「……黒、木?」
「ん?」
不思議そうに俺を見る野間にふくみ笑いをすると、とたんにむくれた顔をする。
「いじわる……すんなよ」
「なにがだ?」
気づかないフリをして、また顔中にキスを落とす。
「……ん……黒木……」
最後にまた唇にふれるだけのキスをした。
「……なんで……」
『ちゃんとキスしてぇのに……』
「してるだろ?」
「もっと……ちゃんとしろよ」
「お前が、トロンってするやつか?」
「は……はぁっ? な、なんだよ、トロン……てっ」
見せるのが早いな、と思い昨日のキスでとろけた野間を見せてやった。
するとボンッと音が聞こえてきそうなほど顔を赤面させて涙目になる。
「こ……これ、キスだけ……なのか? その先じゃなくて……?」
「キスだけだな」
「うそだ……っ」
「うそじゃない」
「絶対うそ……ん……っ、……ふ……」
唇を重ねると、もう自然と野間の口が開く。でも俺は何度も角度を変えてついばむだけのキスをした。
「ほら。まだ舌も入れてないのに、トロンとしてきた。さっき見せたのと同じ顔だ」
「…………も……わかった、から。……早く……もっとちゃんとキスしろよ……」
「……お前……月曜日までほんと、覚悟しろよ」
「……覚悟……って意味わかんねぇ」
『なに覚悟って。黒木に抱かれると幸せしかないのに覚悟ってなに?』
本当に俺を煽る天才だな、と深いため息が出た。
さっきまであんなにテンパっていたのに、キスをしただけで大人しくなった。そのくせ煽りは強烈だ。
野間にのせられると本当に壊してしまいそうで怖い。
大事にしたい。いや、大事にする。
ずっと……できれば永遠に……。
「……野間?」
「は、早くベッド入れよ。……んで早く電気消して」
言われた通りにベッドに入り電気を消した。
野間の心から緊張が流れてくる。俺は野間の首元に腕をそっと差し入れて腕枕をしながら、後ろからぎゅっと抱きしめた。
『うわ……っ。やばいやばいっ恥ずいっ、心臓苦しいっ、めっちゃ緊張するっ、なんでっ』
「く、くく黒木」
「うん?」
「どどどうしよ、俺、なんで昨日平気だったんだろ……っ。で、電気消しても恥ずいんだけど……っ」
「昨日も充分頭パンクしてたぞ?」
「そ、そそそうだった?」
「それから、お前を落ち着かせる方法ならもう知ってる」
「んぇ……っ?」
『俺も知らねぇこと黒木が知ってるってすげぇっ!』
「野間、こっち向け」
「や……むむむ無理っ」
『ちょっと待って無理っ。恥ずくて黒木の顔見れねぇっ。顔から火出そうっ』
もう本当に可愛い。俺は野間の頭にそっとふれるキスをした。
『うわ……っ、やばい……っ。頭にキスやばい……っ。キュンってした……』
「こっち向けよ」
「ま、まま待って」
頭がパンクしてる野間に俺は言った。
「キスしたい」
すると野間は、おずおずとこっちに向き直り俺を見つめてきた。
「お、俺もしたい」
「本当に、お前はキスが好きだな」
「……うん。黒木のキス……好き」
「俺のキス以外知ってるのか?」
「は、そんなの知るわけねぇ……あ、そっか。俺、ただキスが好きなだけ……?」
「……お前は、俺のだけ知っていればいいよ」
『……え……いまのどういう意味……』
「……ん…………」
俺は野間の顔中にゆっくりとキスを降らせた。
『あ……これ好き。あ……やばい、頭撫でられながら……すげぇ気持ちい……』
そうか、野間は頭も気持ちいいのか。
じゃあこれは? と同時に耳をさわさわと撫でてみる。
「……ん、……んんっ……」
『……気持ちい……。けど……口……まだかな……』
野間の心の声に笑いがもれた。焦らしたわけではなかったが、そうなってしまったらしい。
野間の唇にキスをしようとして思いとどまる。俺は念入りに本を思い浮かべた。もう野間への思いが強すぎて、いつ心の声がもれるかずっと不安だ。
野間……もし俺の本当の気持ちがいつか聞こえても、離れていかないでくれ……。
俺は野間の唇に優しくキスをした。野間の口が期待したように開いたが、ふれるだけのキスだけで唇を離す。
「……黒、木?」
「ん?」
不思議そうに俺を見る野間にふくみ笑いをすると、とたんにむくれた顔をする。
「いじわる……すんなよ」
「なにがだ?」
気づかないフリをして、また顔中にキスを落とす。
「……ん……黒木……」
最後にまた唇にふれるだけのキスをした。
「……なんで……」
『ちゃんとキスしてぇのに……』
「してるだろ?」
「もっと……ちゃんとしろよ」
「お前が、トロンってするやつか?」
「は……はぁっ? な、なんだよ、トロン……てっ」
見せるのが早いな、と思い昨日のキスでとろけた野間を見せてやった。
するとボンッと音が聞こえてきそうなほど顔を赤面させて涙目になる。
「こ……これ、キスだけ……なのか? その先じゃなくて……?」
「キスだけだな」
「うそだ……っ」
「うそじゃない」
「絶対うそ……ん……っ、……ふ……」
唇を重ねると、もう自然と野間の口が開く。でも俺は何度も角度を変えてついばむだけのキスをした。
「ほら。まだ舌も入れてないのに、トロンとしてきた。さっき見せたのと同じ顔だ」
「…………も……わかった、から。……早く……もっとちゃんとキスしろよ……」
「……お前……月曜日までほんと、覚悟しろよ」
「……覚悟……って意味わかんねぇ」
『なに覚悟って。黒木に抱かれると幸せしかないのに覚悟ってなに?』
本当に俺を煽る天才だな、と深いため息が出た。
さっきまであんなにテンパっていたのに、キスをしただけで大人しくなった。そのくせ煽りは強烈だ。
野間にのせられると本当に壊してしまいそうで怖い。
大事にしたい。いや、大事にする。
ずっと……できれば永遠に……。
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