【完結】本気だと相手にされないのでビッチを演じることにした

たっこ

文字の大きさ
9 / 154

9 次ってなんですか? ※

「天音、俺もう余裕ねぇ……。こんなん初めてだわ……。もう入れていい?」

 冬磨の言葉を聞いて、こらえていた涙があふれ出た。
 でも、涙の種類が変わった。絶望の涙から、幸せの涙に……。

「……い……れて。……きて……とぉま」
「天音」

 後ろから優しく包まれて、頬に柔らかなキスをされた。
 初めてだけど少しも怖くない。いまから冬磨と一つになれると思うと、叫びたくなるほど幸せだ。
 冬磨がゴムを手に取ったのは音と気配でわかった。ローションを孔に塗られ、そこに冬磨の熱いものを感じた。

「天音、いい?」
「うん……」
「……やっぱ前からじゃだめ?」
「……うしろがいい…………っつってんだろ……」
「ふはっ。お前のそのギャップ、最高」

 笑い声と一緒に、冬磨のものが孔に押し当てられる。
 俺がディルドで広げるときよりも、もっとずっとゆっくり優しく、冬磨が俺の中に入ってきた。そっといたわるように、少しづつゆっくりと。俺の中が冬磨でいっぱいになっていく。

「あぁ……、ぁ…………っ」
「天音……っ、もっと力抜いて」

 力を抜くってどうやって?
 わかんない。でも、ビッチがわからないなんてありえない。言えるわけない。

「……っおい、締め付けんなって……っ、はぁっ……」

 わからないなりにやってみたら、間違ったらしい。

「お前、こんな震えてんのにからかうとか……心配した俺笑えるな」
「しんぱ……?」

 冬磨は俺を心配してた?
 何度も震えを指摘したのは、心配してたの?
 俺は「もしかして初めてか?」という言葉が続くんじゃないかと怯えていたのに、冬磨は心配してくれていたんだ、と嬉しくて心が震えた。

「んっ、あぁ……っ……」

 冬磨が俺の中でいっぱいになる。深く奥まで冬磨が……。本当に冬磨と一つになれた……。全身が幸福感に包まれる。
 後ろからでよかった。こんな顔、冬磨に見せられない。次から次へとあふれ出る涙が、枕に染み込んでいった。
 冬磨が俺の背中に倒れ込んで深く息を吐き出した。

「天音……頼むから、もうちょい力抜いて……」

 ごめん、冬磨……。どうすればいいのか俺にはわからない。

「……締まってる……っほうが、きもちぃだろ……」

 わからないから、誤魔化すしかなかった。

「……っとにお前、よくわかんねぇ」

 冬磨の声が怒ってるように聞こえてビクッとする。
 でも、すぐにクスクスと笑い声が聞こえて安堵した。

「マジでもたないかも。……動くよ」

 冬磨はチュッと背中にキスをして身体を起こし、ゆっくりと優しく動き始めた。

「あっ、……んっ、……と……ま……」

 気持ちいい演技をするつもりだったのに、そんな必要はなかった。
 冬磨が中にいるという幸せと、後ろから聞こえる冬磨の切なげな吐息が、俺をゾクゾクと震わせた。俺の腰を支えるその手すら優しくて、ときどき背中に落ちるキスがあたたかくて、幸せの涙がまたあふれる。

「……きっつ。……ははっ、やば……っ。えー……マジか」

 余裕のなさそうな声で冬磨が笑う。
 優しく中を出入りしていた冬磨のものが、グッと奥まで突き入れられた。

「あぁっ…………!」

 冬磨が突然後ろから俺をぎゅっと抱きしめた。

「天音、マジ……ごめん。…………ぅっ……っ」

 グッと数回深く突かれ、耳に熱い吐息がかかり、中で冬磨がビクビクと震えた。
 冬磨が俺の中で果てたとわかって、ゴム越しだとわかっていても冬磨の分身が俺の中に入ってきたような気がした。急に自分のお腹が愛おしく感じてそっと手を添える。ゴムがなければもっとよかったのに……。

「……ん……っ……」

 冬磨が中から出ていった。
 終わっちゃった……。
 初めてだとバレたかな……。嘘つきだと怒られるかな……。
 俺は脱力して上げていた腰を落とし、完全にベッドにうつ伏せる。
 このあとの展開が怖い。
 ……でも、なにを言われてもビッチ天音をつらぬこう。ボロは出さない。俺はビッチ天音、ビッチ天音……。
 
「なに、天音。次は寝バックがいいの?」
「…………え……次?」

 冬磨の質問の意味がわからない。次ってなに?
 だってもう終わったんじゃないの?
 寝バックって……あ、寝たままバック……?

「……天音。もしかしてさ……」

 冬磨がなにかを言いかけたけれど「いや……なんでもない」と濁された。
 もしかしてのあとは、なにを言おうとしたの……?

「天音まだ出してないじゃん。まだ終わんないよ? ……ちょっと情けないけど持ちそうになくてさ。わざと一回出した。次はもっと長く楽しもうぜ」

 次はもっと長く……。

「……ふ……っ…………」

 もう一度冬磨と繋がれるんだと思ったら、思わず涙があふれて嗚咽が漏れた。慌てて枕に顔を押し付ける。

「天音?」

 どうしよう……幸せすぎてめまいがしてきた……。
 俺、これが終わったら天に召されてるかも……。

「おい、どうした?」

 冬磨に変に思われる。なにか言わなきゃ……。
 声が震えないよう必死に喉に力を入れた。

「このまま……寝バックでやって。冬磨」
「……んだよ、泣いてんのかと思った。ビビらせんなよ」

 冬磨が心底ホッとしたというように息をつき、後ろから覆いかぶさってくる。
 よかった……誤魔化せたみたいだ……。

「天音、マジでなんかちょいちょいハラハラさせるな? わざとか?」
「ハラハラ……? なんで……」
「…………ま、いっか。じゃあこのままいくよ?」

 冬磨がゴムを手に取った。

「え……もう?」

 だって冬磨、いま出したばっかり……そう思っていたら後ろに冬磨の熱いものが再びあてがわれた。
 嘘……っ。冬磨、もう硬い……っ。
 
感想 172

あなたにおすすめの小説

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とスタッフ達とBL営業をして腐女子や腐男子たまに普通のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

【完結】それ以上近づかないでください。

ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」 地味で冴えない小鳥遊凪は、ずっと憧れていた蓮見馨に勢いで告白してしまう。 するとまさかのOK。夢みたいな日々が始まった……はずだった。 だけど、ある出来事をきっかけに二人の関係はあっけなく終わる。 過去を忘れるために転校した凪は、もう二度と馨と会うことはないと思っていた。 ところが、ひょんなことから再会してしまう。 しかも、久しぶりに会った馨はどこか様子が違っていた。 「今度は、もう離さないから」 「お願いだから、僕にもう近づかないで…」

運命の番は僕に振り向かない

ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。 それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。 オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。 ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。 ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。 ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。 ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。 完結しました!ありがとうございました。

借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます

なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。 そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。 「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」 脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……! 高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!? 借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。 冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!? 短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。

【完結】恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……

幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに... 「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」 「はっ...ぁ??」 好きな奴って俺じゃないの___!? ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子 ーーーーーー 主人公 いじめられっ子 小鳥遊洸人 タカナシ ヒロト 小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。 姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。 高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、 脳破壊。 千透星への恋心を自覚する。 幼馴染 いじめっ子 神宮寺 千透星 ジングウジ チトセ 小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。 美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている) 転校生の須藤千尋が初恋である