炎と雪

霜月美雨

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寒空に祈る

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お兄さんが来たあの日から程なくして



私は宗匠(そうしょう)に呼び出された。



客からの苦情でも入ったのだろうと、



部屋を訪ねる。



またあの心無い物言いと大きな図体で
何か調教されるに決まっている。




狭い座敷の襖を閉めて三つ指を付き

「なんざんしょう?」と口火を切ると

宗匠が口を開いた。




「鈴音。おまえに身請けの話が立った。」



「えッ?」



予期せぬ驚きが口をついて出てしまった。



「身請け先はおゆかりの商人だ。」



「………。」


よく見世に来る常連の客だ。覚えはあった。



「しからば……年季が開けたら……」



「それが、年季が開ける前に身請けすると申されている。
楼主(ろうしゅ)からも許しが出ている。
お前が こんなに出世するとは
俺も鼻が高い。」



あのおゆかり様が そこまでの大金持ちだとも知らず、そんなに好かれていたとも知らず。


他と変わらぬ仕事をしてきたというのに…



「それは ありがたいことでありんしょう。

ようざんす。ご心配にはおよびんせん。」



「ほぉ…。」


宗匠は私の様子をまじまじと見つめた。



「……そんなら…おさればえ…」



面倒な事を言われる前にこの威圧感から抜け出したい。


私は踵を返し 襖に手を掛ける。



「お前さん」


彼のニヤついた声に身の毛がよだった。


「何日か前に取った客、一見さんなのに
マブのようだったじゃないかい?」


「意地の悪いことをいいなすんな。」


見返りに振り向いて、畳に視線を落とす。

厚塗りのおしろいの下に、あぶら汗が浮かぶ。


「相変わらず強情な女だねぇ~…」


宗匠が私の肩に手をかけた。


「紺屋の旦那と、一体どういう関係なんだ?」


毅然として動かない私に

耳のそばで囁く

「同じ血を分けた相手と番うなんざ、
畜生がやることだぜ。 なぁ… 鈴音。」


ハッとして振り返ると


満足げに高笑いする宗匠。


「そんなコエー顔すんな。
楼主直々のお話だ。いくら俺とて破談にはしない。

でもなぁ…

お前にこの吉原の手練手管を一から教え込んだこの俺に、

礼のひとつも無しに行っちまうのかい?

悲しいねぇ~~…」



「………そのこと…誰にもいいなんすな」


私が身請けされたとて、バラされれば

兄が沙汰を受けるかもしれない。

親族との和姦は獄門(打ち首)のはずだ…


「……ふぅん。 

お前の得意な尺八。どれだけ上手くなったか 

見せてみろ。」


「………っ!」


そっと歯ぎしりした私を満足げに見下し


宗匠は 暴力的な動作で 私の頭を自分の股座に擦りよせた。


……こんなこと。。仕事と同じで造作もない。。


男の魔羅に手を添えると、舌先で亀頭を舐め回しながら、ゆっくりと口に含んでいく


ジュプっ…ぐじゅッ…じゅッ ぐぷッ…


舌を絡めて 裏筋を舐め上げ 手も使って責め立てる。


「はぁ…ッ。 なかなか上手くなったじゃないか… ハァ… 最初は イヤだイヤだと泣いてたってのに…… 俺の仕込みが当たったなぁ……っ…お前…ッ 水揚げ前の 幼いお前が目に浮かぶようだ……」


ーーーー意地悪な人。。


深く咥えて 強めにしごき上げる。


「クッぁっ…… なぁに… 怒ったのかい?

ハハっ… 流石に…売り物に入れ込むほど

俺も阿呆じゃないんでね…」


舌で舐め回しながら 喉奥を狭めて強く吸い上げる。


「……ッ… ハァっ… 出るッ!!」


荒ぶる息を乱しながら

男は精を吐き出した。


相変わらず 気狂いのように 血の気の多い男だ。


「ハァーっ はぁーッ……」


狭い座敷の空気が薄く感じた。


その後も 吐き捨てるように 褒め言葉とも
貶し言葉とも分からぬ 言葉を吐いて


最後には 達者でな。と 部屋から出された。



廓での日々は普通じゃない。


廓しか知らない私が、娑婆に出たら気が違えてしまうのではないだろうか…



「…………兄さま…」



最後にもう一度 会いたいと願った。
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