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日常、それは変わらない日々
少しの誤解は、友達との会話の中に
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突然教室の扉が開き、同じクラスの志村翔と中村明里が入ってきた。
2人は一瞬驚いた顔をしていたが、次第に間が悪かったと言わんばかりに苦笑いをする。
何を血迷っているのかは分からないが、2人が勘違いしていることは青木にも分かった。
「明里…。勘違いしているようだから言っておくが、別に何もないぞ」
「え? …でも神妙な顔で話してたようだけど」
「はっきり言っとくが、青木とは幼馴染で友人だ。それ以上でもそれ以下でもない」
「山田の言う通りだ。だから翔もその顔は止めろ」
「…良い雰囲気なのに邪魔して悪かった」
「話聞いてたか!?」
「友人から恋人に昇格したかったんだろ?」
「なんでそんな話になるんだよっ!」
「全く…。頭が痛い……」
馬鹿げた話に頭が痛くなる。ほんと、人の話を聞いてくれと切に言いたい。
2人は少し笑って志村は青木の隣に、明里は自分の隣の席に座った。
「じゃあ、一体何の話をしてたの?」
「あぁ、いや…」
「それは、なぁ…」
明里の言葉に、青木と顔を見合わせる。
「中村、こいつ等だって言えないことの1つや2つあるだろう?」
「まぁ、そうだけど…」
「…それより、何で2人は一緒だったんだ? 先生に呼ばれてたのか?」
「あたしはコレ、書いてもらってたんだ」
そう言って、明里はカバンの中から卒業アルバムを出してページをめくる。
止まったページを見ると、皆からの寄せ書きが目に飛び込んできた。その寄せ書きは仲の良い友人や後輩、先生方でページは埋め尽くされていた。
「卒業式前日までよくやるなぁ…。んで、ちゃんと貰ってこれたのか?」
「うん。バッチリ!」
「最後の最後まで先生に迷惑かけてるなぁ、明里は」
「なにそれー。ユウ酷い」
「卒業式前は先生たち忙しんだから、少しは遠慮しないとダメだろ」
「あーあー、全然聞こえなーい」
「全く…」
明里は両手で、拒むように両耳を塞いだ。
呆れる気持ちを抑え、再度寄せ書きを見ればそこには優しい言葉で溢れていた。
卒業式前で忙しいはずなのにだ。本当に優しい先生達で、そんな先生の教え子であることは誇りだ。
でも、そんな恩師に泥を塗るような真似をする自分は――
「ユウ? どうしたの? 具合でも悪い?」
その言葉にはっとして明里を見れば、心配そうな顔が飛び込んできた。
大丈夫、気付かれてはいない。彼らが知ってるはずがない。大丈夫、そう言い聞かせた。
そしていつも通りの口調で、いつも通りの顔で笑って見せる。
「大丈夫。少し考え事をしていただけだから」
「考え事って、何考えてたんだ?」
「…いや。そういえば、明里みたいに寄せ書きして貰わなかったなと思ってな…」
「は? 山田お前あんなに言い寄られてたのに、貰わなかったのかよ?」
「別に言い寄られてないんだが…。それに寄せ書きは誰にも書いてないぞ」
「マジかよ!?」
「意外だ…」
「だってユウ、卒業式当日に書くからそれまで待ってほしいって言うんだもん…」
「あー、なるほどな。でも、何で卒業式なんだ?」
「いや…、特に深い意味はないんだが…」
言い淀んでいると、3人の好奇な視線が痛いほど刺さった。
「なんで卒業式当日じゃないと書かないんだよ。それだと時間ないだろ?」
「どうせ卒業式が終わったらすぐ帰るつもりだろ? いつ書く気なんだ?」
「えー、書いてくれないとかないよね? あたし、当日もちゃんと持ってくるからねっ」
そうまでして寄せ書きが欲しいのかと、笑ってしまった。
そんな態度に明里はムッとし、「ちゃんと書いてよねー」と頬を膨らました。
「分かってる。ちゃんと書くよ」
「約束だからね」
「はいはい」
「ほんとかなー?」
疑いの目で見てくる明里の頭をポンポンと軽く叩く。
「明里に嘘言ったことないだろ?」
「まぁ、そうだけど…」
「信じられない?」
「そうじゃないけど…」
「なら、信じてくれる?」
「…うん」
「それなら良かった」
明里は顔を少し紅くして、嬉しそうに笑った。
ソレを見ていた2人は口を揃えて「タラシだなぁ…」と言うが、気にしないでおこう。
2人は一瞬驚いた顔をしていたが、次第に間が悪かったと言わんばかりに苦笑いをする。
何を血迷っているのかは分からないが、2人が勘違いしていることは青木にも分かった。
「明里…。勘違いしているようだから言っておくが、別に何もないぞ」
「え? …でも神妙な顔で話してたようだけど」
「はっきり言っとくが、青木とは幼馴染で友人だ。それ以上でもそれ以下でもない」
「山田の言う通りだ。だから翔もその顔は止めろ」
「…良い雰囲気なのに邪魔して悪かった」
「話聞いてたか!?」
「友人から恋人に昇格したかったんだろ?」
「なんでそんな話になるんだよっ!」
「全く…。頭が痛い……」
馬鹿げた話に頭が痛くなる。ほんと、人の話を聞いてくれと切に言いたい。
2人は少し笑って志村は青木の隣に、明里は自分の隣の席に座った。
「じゃあ、一体何の話をしてたの?」
「あぁ、いや…」
「それは、なぁ…」
明里の言葉に、青木と顔を見合わせる。
「中村、こいつ等だって言えないことの1つや2つあるだろう?」
「まぁ、そうだけど…」
「…それより、何で2人は一緒だったんだ? 先生に呼ばれてたのか?」
「あたしはコレ、書いてもらってたんだ」
そう言って、明里はカバンの中から卒業アルバムを出してページをめくる。
止まったページを見ると、皆からの寄せ書きが目に飛び込んできた。その寄せ書きは仲の良い友人や後輩、先生方でページは埋め尽くされていた。
「卒業式前日までよくやるなぁ…。んで、ちゃんと貰ってこれたのか?」
「うん。バッチリ!」
「最後の最後まで先生に迷惑かけてるなぁ、明里は」
「なにそれー。ユウ酷い」
「卒業式前は先生たち忙しんだから、少しは遠慮しないとダメだろ」
「あーあー、全然聞こえなーい」
「全く…」
明里は両手で、拒むように両耳を塞いだ。
呆れる気持ちを抑え、再度寄せ書きを見ればそこには優しい言葉で溢れていた。
卒業式前で忙しいはずなのにだ。本当に優しい先生達で、そんな先生の教え子であることは誇りだ。
でも、そんな恩師に泥を塗るような真似をする自分は――
「ユウ? どうしたの? 具合でも悪い?」
その言葉にはっとして明里を見れば、心配そうな顔が飛び込んできた。
大丈夫、気付かれてはいない。彼らが知ってるはずがない。大丈夫、そう言い聞かせた。
そしていつも通りの口調で、いつも通りの顔で笑って見せる。
「大丈夫。少し考え事をしていただけだから」
「考え事って、何考えてたんだ?」
「…いや。そういえば、明里みたいに寄せ書きして貰わなかったなと思ってな…」
「は? 山田お前あんなに言い寄られてたのに、貰わなかったのかよ?」
「別に言い寄られてないんだが…。それに寄せ書きは誰にも書いてないぞ」
「マジかよ!?」
「意外だ…」
「だってユウ、卒業式当日に書くからそれまで待ってほしいって言うんだもん…」
「あー、なるほどな。でも、何で卒業式なんだ?」
「いや…、特に深い意味はないんだが…」
言い淀んでいると、3人の好奇な視線が痛いほど刺さった。
「なんで卒業式当日じゃないと書かないんだよ。それだと時間ないだろ?」
「どうせ卒業式が終わったらすぐ帰るつもりだろ? いつ書く気なんだ?」
「えー、書いてくれないとかないよね? あたし、当日もちゃんと持ってくるからねっ」
そうまでして寄せ書きが欲しいのかと、笑ってしまった。
そんな態度に明里はムッとし、「ちゃんと書いてよねー」と頬を膨らました。
「分かってる。ちゃんと書くよ」
「約束だからね」
「はいはい」
「ほんとかなー?」
疑いの目で見てくる明里の頭をポンポンと軽く叩く。
「明里に嘘言ったことないだろ?」
「まぁ、そうだけど…」
「信じられない?」
「そうじゃないけど…」
「なら、信じてくれる?」
「…うん」
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