3年2組の山田くん

ことのは

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日常、それは変わらない日々

中学生は、まだ子供

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 好きな人の会話になり、ふと鉢須はちすが不思議そうに俺を見る。

「でも、そういう山田はいねーの? 女子とか選び放題じゃん」
「おいおい、なんでそうなる。第一、俺の家はそういうの禁止だから」
「はぁ? どゆこと?」
「俺の家、そういうことに厳しくてさ、大人になるまで恋人は一切禁止なんだ」
「マジかよ」
「でもユウの家ならあり得る。だってユウのお婆ちゃん厳しいもんねー」
「そう。だから好きな人は愚か、恋人はもっての外。勉強の妨げになるからな」
「うっわー。オレそんなの耐えらんねーわ。ムリムリ、そんな家。逃げ出すわ」
「逃げ出せるわけないだろ。まだ中学生こどもなのに」
「確かにそうだけどさー」
「ユウの家は厳しいからねー。お爺ちゃんが亡くなって、更に酷くなったでしょ」
「…まぁな。でも自分で招いた結果だし、しょうがねーじゃん」
「ユウ…」
「山田…」

 俺の家は他の家より厳しいと思う。古くから続く家の所為か、そういう考えの人ばかりだ。
 家督は長男、山田の名に泥を塗るなとか、誰よりも秀でていろとか、そんなことばかりで正直息が詰まる。
 だけどまだ中学生だから、逃げられない…。

「そんな顔するなよ。俺は大丈夫だから」

 笑って見せるものの、明里あかりも鉢須も口を噤んだまま。
 あぁ、そんな顔をして欲しくないのに。笑顔でいてほしいのに。笑っていてほしいのに。
 どうしてこんなことになってしまうんだろう? 俺は、何も出来ないんだろう?

「そう言えば俺も、将来の夢とか決まってないなー。早く決めないとな」
「山も決まってないの? 早くに見つけてそうだけど」
「まぁ、鉢須より早く見つけるだろうけど」
「言ったなー。絶対山田より早く将来の夢見つけてやるっ」
「上等だ。絶対俺の方が早いけど」
「腹立つーっ」
「まあまあ、2人とも落ち着いて」
「だって中村、こいつがーっ」

 こうしてみんなで笑い合える日も後少しなんだと思うと、少し寂しくなる。
 満月だからなのか、感傷的な気分に浸りたいだけなのかは分からない。だけど、少し、寂しい…。
 いつも一緒にいた仲間が突然離れ離れになるって、多分こんなことなんだと思う。
 そんな時、どうすれば寂しくなくなるのだろうか? どうすれば、その穴を埋めることが出来るのだろうか?

「あっと、それじゃあオレこっちだから」
「そうだったな。気を付けて帰れよ」
「こっちのセリフだ。お前らだって一応、女子なんだから、気をつけて帰れよ」
「一応って酷くない。ハチこそチビなんだから気を付けないと」
「うっせーな。オレはこれから伸びるんだよっ」
「そう言って早数年だけど、まだ低いじゃん。もう諦めた方が良いんじゃないの?」
「ぜってーん伸びんだから良いんだよ。まだ成長期だし」
「そうだぞ明里。鉢須はまだ成長期なんだから、小さいのは仕方ないだろう。これからだよ」
「そうそう」
「第一、人の身体的欠陥を指摘したらダメだろ。可愛そうじゃないか」
「おい!」
「アハハっ、さっすがユウ!」

 なぜだか俺を指さしながら大笑いする明里。
 何がそんなにおかしいのか分からず、俺は首を傾げた。
 そんな俺らを見て、鉢須が呆れたようにため息を吐いたのは言うまでもない。
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