3年2組の山田くん

ことのは

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日常、それは変わらない日々

好きって気持ちは、本当なんだ

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 しばらく自転車をこいでいるうちに、好きな人の話題になった。

鉢須はちす鉢須の好きな人って、千夏ちなつだろ」
「なっ‼ 山田言うなよなー」
「やっぱりー」
「なんだ、明里あかりも知ってたのか?」
「あったりまえじゃん。知らないのって、多分本人だけじゃない?」
「嘘だろー…」

 鉢須が項垂れるのも無理はない。千夏は自分が好意を向けられるとすら思っていないのだから。
 前途多難なのは言うまでもないが、保育園からの幼馴染。彼の恋が叶うことを祈っているよ。
 それに千夏も正直、まんざらでもなさそうだしな(笑)

「そういう明里は誰が好きなんだよ」
「ウチ? 好きな人とかいないよー。だって、今は芸能人の――」
「そういうのはいいから」
「えー、カッコいいよー。イケメンだし、スタイル良いし」
「あれ? でも明里って確か――」
「それはダメ! 内緒って言ったじゃん!」
「おいおい、オレだけ除け者かよ」
「あったりまえじゃん。女の子同士の話だもん」
「さっきオレの好きな人、暴露されたばかりなんですが…」
「だってハチだもん」
「オレのプライバシーって…」

 少し鉢須が残念そうに見えるが、明里が言うなら仕方がない。
 なんせ明里の好きな人は変わりやすいが、今度は本気らしい。だからあまり人に気づかれたくないのだそうだ。
 あの明里が…。ほんっと、成長したな。お兄ちゃん嬉しいよ。うん。だけど…。

「でも明里、鉢須が好きな人言ったんだから、明里もちゃんと言うべきだと思うぞ」
「えー」
「好きな人がいるのは別に恥ずかしい事じゃないだろ。な? 明里」
「うぅ…」

 少し色々考え込んでいから、明里は口を開けた。

「…青木」

 そのか細い声は、春の風に消えそうなくらい小さな声。だけど、ちゃんと聞こえる声。
 明里は青木が好き。それは俺も前から相談を受けてるから知っている。
 だけど本当はどうなんだろう? 明里は俺と同じで本心を言わない癖がある。だからそれが本当かどうかは…。

「なんだ中村ってユートかよ。てっきりカケかと思ってたー」
「うっ、うるさいなっ。自分でもよく分からないんだよ。青木か志村かって…」

 俺達はまだ発達途中にある。
 今抱いている気持ちが本当かどうか分からないんだ。本当に好きなのか、そうでもないのか。
 俺達は判断できずにいる。曖昧な答え。大人になれば分かるのだろうか?

「明里は可愛いから、青木も志村も明里のこと、好きになるさ」
「本当…?」
「あぁ、本当だ」

 泣きそうになる明里を宥めていると、隣で鉢須が「さすが山田…」と言っていた。
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