ドラゴンに殺られそうになって(電車にはねられそうになって)気が付いたらOLになっていた(気が付いたら魔術師になっていた)件

ミドリ

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序章 転移

第26話 OLサツキ、説明をする

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 サツキが男性恐怖症に近いものがあることを告白すると、ウルスラは真剣な眼差しで暫く無言でサツキを見ていたが、やがて少し身を乗り出すと尋ねた。

「分かった。で、私は何をしたらいい?」

 サツキは心底ホッとした。面倒くさいとか言われたらどうしようかと思っていたのだ。やはりウルスラはいい人だった。

「この世界と私のいた世界があまりにも違うから、何をどうしたらいいかさっぱり分からないの」
「あ……そういうことか」
「え?」
「いえ、何でもないわ」

 あはは、とウルスラが笑って誤魔化したが、サツキは何を誤魔化されたのかすら分からなかった。

「本当に、右も左も分からないの」
「呪文も覚えてないものねえ」

 うんうん、とウルスラが頷いた。

「ねえ、ウルスラは家族は?」
「私? 私は天涯孤独の身。だから気兼ねなくダンジョンなんかにも入って行けちゃうのよ、あはは」
「そうなんだ……ごめん」

 いきなり不躾な質問だったかもしれない。サツキがしょんぼりとすると、ウルスラがおばちゃんの様に手をひらひらさせて言った。

「別にいいわよ、いちいち気にしすぎ! で? それがどうしたの?」
「その、ひとりになるのが怖くて」
「へ?」

 もじもじとしてしまい、次の言いたい言葉がどうしても出てこない。

「サツキ、言って」

 心なしかウルスラの声が弾んでいる様に聞こえるのは気の所為だろうか。

「あ、あの! 私が慣れるまででいいからっここに一緒に住んでもらえないかな!」
「くおおおおっ」

 ウルスラが変な声を出した。胸の前で拳を小さく握り締めている。やはり変なことを言ったのだ。どうしよう。

「あっそのっ嫌なら私あのっ」
「嫌じゃない嫌じゃない全然嫌じゃない!!」

 食い気味で言ってきてくれた。なんていい人だろう。サツキはウルスラの優しさにジン、と感動を覚えた。

「ありがとう、ウルスラ!」
「そうと分かれば、早速あれこれ持って来る!」

 ウルスラが勢いよく立ち上がった。はた、と気付いた様にサツキを見下ろす。

「そうだ……今外に出ると面倒臭いんだった」
「あー」

 ドラゴン討伐をした英雄一行、その中心人物で且つ紅一点。狙う者も多いだろう。実際、先程ギルドでもやたらと男達がウルスラの周りを彷徨いていた。

 かといって、着替えもなしにこの家に住めというのもあんまりだ。サツキだってそんなことを言われたら困る。

「あ!」
「ん? どうしたの?」
「さっきの転移魔法、あれで行けないかな!?」
「そうか! サツキと一緒なら飛べるんだ! あ、でもあそこ男子禁制なのよね……」
「駄目かあ」

 いいアイデアだと思ったが。サツキがしょんぼりとすると。

「サツキ、魔法をかければいいのよ!」
「え?」
「イルミナの魔法で、サツキの元々の姿を纏えばいい!」

 ウルスラが目を輝かせながら言った。
 
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