ドラゴンに殺られそうになって(電車にはねられそうになって)気が付いたらOLになっていた(気が付いたら魔術師になっていた)件

ミドリ

文字の大きさ
161 / 731
第二章 中級編開始

第160話 OLサツキの中級編初日の予定はもしかして

しおりを挟む
 ウルスラがジュリアンとまだああだこうだやっているのを横目に、ユラは欠伸をしながらこちらに向かってきた。軽く手を上げ挨拶をする。

「よお」
「遅いぞユラ」
「おはようユラ」

 サツキは手を振り返した。いつもサラサラと肩で揺れているユラの金髪は、今日は後頭部の部分がぴょんと跳ねている。何だか急に幼く見えて、可愛いな、と笑ってしまった。ユラが、ん? という顔をする。今日は昨日ほど機嫌は悪くないらしい。

 サツキが自分の髪の毛の後ろを指でちょいちょいと差して教えると、ユラが自分の頭を触って、跳ねた髪に気付くと笑った。おお、クールビューティー系イケメンの意外な笑顔。昨日のあれがなければキュンときてしまいそうなレベルの可愛さだ。

「死んだ様に寝てた」

 そう言うと、アールとサツキの間の席に座る。また「はあーっ」とわざとらしい溜息をついてテーブルに突っ伏したアールを見て、一瞬とても面倒臭そうな顔になった。あれ? ユラのアール実は大好き説、もしかして違う? いやでも、好きな相手でもユラならこういう顔をしそうではある。

「何この面倒臭いの」

 言い切った。アールを見るが、起き上がる気はない様だ。確かに面倒臭い。サツキだって面倒臭い。

「なんかね、今日から三日間ある春祭りに家族が来るんだって」
「ふーん」

 全く興味がなさそうだ。これは言っても大丈夫だろうか。嫉妬とかしたりされてもそれはそれで面倒臭い。

「でね、また今年も出会いがなくなるって言って落ち込んでるみたい」
「出会ったってどうせ頭が馬鹿なのばれたら逃げられるじゃねえか」

 身も蓋もない。事実であればこそ、アールが憐れだった。

「ユラも冷たい……だってさ、お前もあのジンクス知ってるだろー?」

 ようやく顔を上げたアールの顔は半泣きだ。イケメンだけに可愛らしいが、泣いている理由があまりにも馬鹿らしい。

「あれだろ? 春祭りで出会った男女は幸せになるってやつだろ? 馬鹿らしい」

 ユラも同意見の様だ。

「うっわーユラ、夢ないなあ!」
「俺は目に見えるものしか信じない主義なの」
「え、じゃあお前祭り参加しないの?」

 ユラが、腕を組んで天井を仰ぐ。

「今日は鑑定士の所に行きたいんだよなー。ていうか祭りのことすっかり忘れてた。何処行っても混んでるだろ? 俺人混み嫌いだし、ひとりでのんびり家でゴロゴロしてるよ」
「色気ないなー」

 やっぱりユラも祭りのことは忘れていたらしい。でもよし、これで後はウルスラを誘えば、無事女子三人でエンジョイフェスティバルが出来る。リアムには申し訳ないが、やっぱり一度は着てみたいドレス。だって、女の子だもの。

 み○をの様な台詞を心の中で吐きつつ拳を小さく握り締めたサツキは、ウルスラが戻ってくるのを待った。どれだけ交渉してるんだろう。ドラゴンを倒して報酬はたんまりもらっている筈なのに。

「ウルスラ何やってんの?」
「価格交渉。少しでも釣り上げるって」
「出たよ守銭奴」

 ははは、と男二人が笑うと、遠くからウルスラが睨んでくるのが分かった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は世界に1人のトリプルジョブに至る~

ぐうのすけ
ファンタジー
赤目達也(アカメタツヤ)は少女を育てる為に冒険者を辞めた。 そして時が流れ少女が高校の寮に住む事になり冒険者に復帰した。 30代になった達也は更なる力を手に入れておりバズり散らかす。 カクヨムで先行投稿中 タイトル名が少し違います。 魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は黒魔法と白魔法を覚え世界にただ1人のトリプルジョブに至る~ https://kakuyomu.jp/works/16818093076031328255

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

処理中です...