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第二章 中級編開始
第168話 OLサツキの中級編初日、念願のドレスを着ていざ祭りへ
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ラムも着たがっていたピンクの可愛らしいドレスを着ると、こちらは髪の毛のアレンジも化粧も必要ない為、準備完了だ。
すると、ドン! ドン! と外から何やら懐かしい音が響いてきた。サツキが店の少し開いた窓から空を見上げると、大分暗くなった空に浮かぶ大輪の花があった。
魔法の物なのか、弾けた後の動きがゆっくりだ。キラキラと光り、地上へと降り注いでいる。
「綺麗……」
花火大会は友人や恋人と行くものだと思い、それがいない自分はテレビ中継で充分、そう思う様にしていた。
着飾ったラムが横に来ると、空を見上げて嬉しそうに指を差して笑う。これが幸せでなくて何だろうか。
「春祭り開催の合図の花火よ。まずは中央広場に行くといいわよ。花がとても綺麗なのよ」
女性店員が教えてくれた。そして言った。
「その服は汚れない様魔法が掛けてあるから、いい人と会っても多少はめを外そうが大丈夫よ」
「あ、は、あはは」
出来ればそんな機会は来ないで欲しい。だが若い男女にとってこの祭りは出会いの場でもある。あまり気を緩め過ぎない方がいいだろう。
いざとなったらリアムに戻ってしまえばいいが、その場合ドレスを脱がないと破いてしまいそうだ。リアムの姿で素っ裸で街中を歩き回りたくはない。とにかく用心だ。
「楽しもうね、ラムちゃん」
ラムがうんうんと頷いた。買っておいた仮面を着用し、財布と杖をラムの身体の中に預け、いざ出発だ。
「あの、色々ありがとうございました」
「ううん、こちらこそ楽しかったわ。また返却時にお待ちしてます。さ、楽しんでいってらっしゃい」
「はい!」
女性に見送られ、サツキとラムは店の外に出た。
中央広場。どこだろうか? サツキはキョロキョロと周りの様子を伺うと、流れの大半が一つの方向に向かっている。
「流れについて行ってみようか」
サツキは辺りをキョロキョロしながら歩を進める。これも魔法の産物なのか、提灯とは違うが、赤っぽい明かりを仄かに発する光の玉が規則的に宙に並んで浮いている。
何とも幻想的で、まるで神社の祭りに迷い込んだ様な感覚を、一瞬だけ覚えた。着ている服はドレスだというのに、周りを歩く人達も浴衣なんて着ていないのに。
母に着付けてもらった浴衣。ヨーヨーが釣れなくて、おまけで貰った一個を大事に大事に取っておいた。母がいなくなってからは、浴衣は着ていない。祭りに洋服で行きたくないな、そう思って行かなくなった小学校の高学年。思えばあの頃から、全てが少しずつ噛み合わなくなっていった。
今自分は一体どこにいるんだろう。何をしてるんだろう。
赤い様な橙の様な明かりの所為か、一瞬見失い。
ぐい! と手が引っ張られた。
ラムが、泣きそうな顔で必死にしがみついて首を横に振り続けていた。
すると、ドン! ドン! と外から何やら懐かしい音が響いてきた。サツキが店の少し開いた窓から空を見上げると、大分暗くなった空に浮かぶ大輪の花があった。
魔法の物なのか、弾けた後の動きがゆっくりだ。キラキラと光り、地上へと降り注いでいる。
「綺麗……」
花火大会は友人や恋人と行くものだと思い、それがいない自分はテレビ中継で充分、そう思う様にしていた。
着飾ったラムが横に来ると、空を見上げて嬉しそうに指を差して笑う。これが幸せでなくて何だろうか。
「春祭り開催の合図の花火よ。まずは中央広場に行くといいわよ。花がとても綺麗なのよ」
女性店員が教えてくれた。そして言った。
「その服は汚れない様魔法が掛けてあるから、いい人と会っても多少はめを外そうが大丈夫よ」
「あ、は、あはは」
出来ればそんな機会は来ないで欲しい。だが若い男女にとってこの祭りは出会いの場でもある。あまり気を緩め過ぎない方がいいだろう。
いざとなったらリアムに戻ってしまえばいいが、その場合ドレスを脱がないと破いてしまいそうだ。リアムの姿で素っ裸で街中を歩き回りたくはない。とにかく用心だ。
「楽しもうね、ラムちゃん」
ラムがうんうんと頷いた。買っておいた仮面を着用し、財布と杖をラムの身体の中に預け、いざ出発だ。
「あの、色々ありがとうございました」
「ううん、こちらこそ楽しかったわ。また返却時にお待ちしてます。さ、楽しんでいってらっしゃい」
「はい!」
女性に見送られ、サツキとラムは店の外に出た。
中央広場。どこだろうか? サツキはキョロキョロと周りの様子を伺うと、流れの大半が一つの方向に向かっている。
「流れについて行ってみようか」
サツキは辺りをキョロキョロしながら歩を進める。これも魔法の産物なのか、提灯とは違うが、赤っぽい明かりを仄かに発する光の玉が規則的に宙に並んで浮いている。
何とも幻想的で、まるで神社の祭りに迷い込んだ様な感覚を、一瞬だけ覚えた。着ている服はドレスだというのに、周りを歩く人達も浴衣なんて着ていないのに。
母に着付けてもらった浴衣。ヨーヨーが釣れなくて、おまけで貰った一個を大事に大事に取っておいた。母がいなくなってからは、浴衣は着ていない。祭りに洋服で行きたくないな、そう思って行かなくなった小学校の高学年。思えばあの頃から、全てが少しずつ噛み合わなくなっていった。
今自分は一体どこにいるんだろう。何をしてるんだろう。
赤い様な橙の様な明かりの所為か、一瞬見失い。
ぐい! と手が引っ張られた。
ラムが、泣きそうな顔で必死にしがみついて首を横に振り続けていた。
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2025/12/7
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