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第二章 中級編開始
第245話 魔術師リアムの中級編三日目の映画前のひととき
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風呂を上がり、着替えも済ませ疲れた足の筋をしっかりと伸ばしていると、ノックと共に祐介が現れた。上下黒の半袖と膝までの楽なパンツを着用し、髪は子供の様にまだ雫を垂らしている。
リアムはその様子を見ると、笑って祐介に駆け寄った。
「祐介、雫が垂れているぞ」
祐介の首に掛けられたタオルを使い水滴が垂れている横と後ろの髪を拭いてやると、祐介がそのままリアムを抱き締めた。うおう。最近どんどん何の溜めもなしに抱きつかれる様になってきた。腕が上がっている為、ノーブラの胸が思い切り祐介の腹部に当たっているのだが、問題ないのだろうか。先日はあれ程説教してきたというのに。
「ゆ、祐介、髪の毛がまだ」
「……うん、拭いて」
随分と無理な体勢だが、拭けと言われればやるしかない。だが、いつもより心なしか祐介の手が腰の方に伸びているのは気の所為であろうか。何というか、くすぐったい。そして暑い。変な汗をかいてきた気がする。
リアムはなるべく急いでごしごしと拭いた。どうも今日の祐介は子供っぽい。疲れだろうか。だがまあ確かに日を追う毎にムシムシと暑くなっていく中、祐介は変わらず毎日暑苦しい長袖を着て出社をしている。あれは拷問である。つい子供っぽさが出てしまう程度には、疲れは溜まっているのだろう。
「拭き終わったぞ、祐介」
「うん」
「どうした? 具合でも悪いのか?」
「元気だよ」
「そうか? 今日は随分とはっきりと顔に色々と出ているからな、暑さでやられて疲れているのではないか?」
「まあ色々にはやられてます」
「何か飲むか?」
「それよりも匂い嗅がせて」
「本当にこれが好きだな」
「うん、大好き」
何だか喋り方も幼くなっている。これはあれか、もしや甘えられているのだろうか。それ程に疲れが溜まっているのだろう。
リアムはタオルから手を離すと、祐介の頭を優しく撫でてやった。いつも祐介がリアムにするあれである。あれはこそばゆいはこそばゆいが、非常に安心出来るものではあるからして、疲れにより参っていると思われる祐介にも有効であるに違いない。
「よしよし、元気を出せ」
「元気だよ」
「そうか?」
「匂い嗅がせて」
「さっきから嗅いでばかりではないか」
「だってさ……」
「うん?」
「なんでもないです」
「変な奴だな」
「仕方ないと思います」
「どういうことだ?」
「……なんでもないです」
そして一向に離れない。さすがにリアムの腕が疲れてきた頃、ようやく祐介の手が離れていった。
「うひゃっ」
すれ違い様に祐介の口が耳に触れた気がし、思わず変な声が出てしまった。祐介は分かっていなそうな表情だ。
「どうしたの?」
「……な、なんでもない」
今度はリアムがそう言う番だった。
リアムはその様子を見ると、笑って祐介に駆け寄った。
「祐介、雫が垂れているぞ」
祐介の首に掛けられたタオルを使い水滴が垂れている横と後ろの髪を拭いてやると、祐介がそのままリアムを抱き締めた。うおう。最近どんどん何の溜めもなしに抱きつかれる様になってきた。腕が上がっている為、ノーブラの胸が思い切り祐介の腹部に当たっているのだが、問題ないのだろうか。先日はあれ程説教してきたというのに。
「ゆ、祐介、髪の毛がまだ」
「……うん、拭いて」
随分と無理な体勢だが、拭けと言われればやるしかない。だが、いつもより心なしか祐介の手が腰の方に伸びているのは気の所為であろうか。何というか、くすぐったい。そして暑い。変な汗をかいてきた気がする。
リアムはなるべく急いでごしごしと拭いた。どうも今日の祐介は子供っぽい。疲れだろうか。だがまあ確かに日を追う毎にムシムシと暑くなっていく中、祐介は変わらず毎日暑苦しい長袖を着て出社をしている。あれは拷問である。つい子供っぽさが出てしまう程度には、疲れは溜まっているのだろう。
「拭き終わったぞ、祐介」
「うん」
「どうした? 具合でも悪いのか?」
「元気だよ」
「そうか? 今日は随分とはっきりと顔に色々と出ているからな、暑さでやられて疲れているのではないか?」
「まあ色々にはやられてます」
「何か飲むか?」
「それよりも匂い嗅がせて」
「本当にこれが好きだな」
「うん、大好き」
何だか喋り方も幼くなっている。これはあれか、もしや甘えられているのだろうか。それ程に疲れが溜まっているのだろう。
リアムはタオルから手を離すと、祐介の頭を優しく撫でてやった。いつも祐介がリアムにするあれである。あれはこそばゆいはこそばゆいが、非常に安心出来るものではあるからして、疲れにより参っていると思われる祐介にも有効であるに違いない。
「よしよし、元気を出せ」
「元気だよ」
「そうか?」
「匂い嗅がせて」
「さっきから嗅いでばかりではないか」
「だってさ……」
「うん?」
「なんでもないです」
「変な奴だな」
「仕方ないと思います」
「どういうことだ?」
「……なんでもないです」
そして一向に離れない。さすがにリアムの腕が疲れてきた頃、ようやく祐介の手が離れていった。
「うひゃっ」
すれ違い様に祐介の口が耳に触れた気がし、思わず変な声が出てしまった。祐介は分かっていなそうな表情だ。
「どうしたの?」
「……な、なんでもない」
今度はリアムがそう言う番だった。
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