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第二章 中級編開始
第257話 魔術師リアムの中級編四日目の出社へ
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今朝もカフェでトーストと珈琲を堪能してから、リアムと祐介は暑い日差しの中会社へと向かった。
「今日はさ、夜ご飯何にしようか?」
祐介がにこにこしながら繋いだ手を振っている。どうやらすっかり忘れてしまっているらしい。
「祐介、今宵はあれだぞ、社長との飲み会があるではないか」
言った途端、祐介の表情が面白い位曇った。本当に表情の豊かな男である。すると、ぶすっとしたままおかしなことを言い始めた。
「行くの止めない? 具合悪いとか言ってさ。サツキちゃん目の下にクマ出来てるし」
「目の下のクマは祐介の所為だ、具合が悪い訳ではない」
「何で僕の所為なの」
「それはそうであろう、人の足の間に足を入れてくるわ、腰に手を回してくるわ、あんなので落ち着いて寝れる訳がないではないか」
「あー……」
祐介が目を泳がせる。寝ている間のことだ、制御出来ないのは仕方のないことではあるが、それが重要な飲み会を断る口実となってはならないだろう。
「祐介は少し睡眠が全体的に足りてないのではないか? 先日も映画の途中に寝てしまったではないか」
「いやあ……サツキちゃんが隣にいると安心してつい」
「? 私が隣にいると安心するのか?」
はっと気が付いた。そうか、羽田がまた突然やってきて騒いだりした時のことが心配なのかもしれない。会社で思わず祐介に助けを求めてしまったことを思い出した。
いやだがしかし、大佐が出てくる映画の時は羽田はまだアパートを訪れ騒ぐ前だ。
「んん?」
「何悩んでんの」
「いや、祐介は私が傍にいると羽田の被害が及ばないと思い安心するのかと思ったのだが、始め私の胸の上で寝た際はそうではなかったことを考えると」
祐介が目を逸した。
「あの日は、疲れてた」
「まあ説明を沢山してくれていたからな。だがそう考えるとやはり全体的に睡眠時間が足りていないという証明になるのではないか。であれば、映画はほどほどにしてだな」
「いや全然大丈夫問題なし」
食い気味で言われた。どうした祐介。そこまで映画を観たいのか。どうも祐介はこれまでの映画は全て観たことがある様なのだが、映画というものは何度観ても面白いものなのだろうか。
「いやしかしだな」
「じゃあサツキちゃんちで明日から映画観ようよ」
「何故そうなる」
「嫌?」
「嫌ではないが」
「だってサツキちゃん、僕に何をしてほしいかって聞いたでしょ? それで僕は一緒にご飯食べたり映画観たり出かけたりしたいって言ったでしょ。それに寝ちゃっても起きた時に一人で帰っても僕なら問題ないし」
繋いだ手の中が汗ばんできている。それでも祐介はそれを握り直し、絶対に離そうとしなかった。どれだけ心配してくれているのだろう。それが本当に申し訳ない。
「きっとあれだよ、昨日サツキちゃんにおやすみのキスをしなかったから寝れなかったんじゃない?」
ふふ、と祐介が微笑みかけてきた。おやすみのキス。おでこのあれである。確かにあれの効果は抜群であった。
「成程、一理ある」
「でしょ? そうしたら、次から映画が始まる前にしてあげるよ」
「それは祐介が寝る前提ではないか」
「あはは」
軽口を叩き合いながら、二人は会社へと入って行った。
「今日はさ、夜ご飯何にしようか?」
祐介がにこにこしながら繋いだ手を振っている。どうやらすっかり忘れてしまっているらしい。
「祐介、今宵はあれだぞ、社長との飲み会があるではないか」
言った途端、祐介の表情が面白い位曇った。本当に表情の豊かな男である。すると、ぶすっとしたままおかしなことを言い始めた。
「行くの止めない? 具合悪いとか言ってさ。サツキちゃん目の下にクマ出来てるし」
「目の下のクマは祐介の所為だ、具合が悪い訳ではない」
「何で僕の所為なの」
「それはそうであろう、人の足の間に足を入れてくるわ、腰に手を回してくるわ、あんなので落ち着いて寝れる訳がないではないか」
「あー……」
祐介が目を泳がせる。寝ている間のことだ、制御出来ないのは仕方のないことではあるが、それが重要な飲み会を断る口実となってはならないだろう。
「祐介は少し睡眠が全体的に足りてないのではないか? 先日も映画の途中に寝てしまったではないか」
「いやあ……サツキちゃんが隣にいると安心してつい」
「? 私が隣にいると安心するのか?」
はっと気が付いた。そうか、羽田がまた突然やってきて騒いだりした時のことが心配なのかもしれない。会社で思わず祐介に助けを求めてしまったことを思い出した。
いやだがしかし、大佐が出てくる映画の時は羽田はまだアパートを訪れ騒ぐ前だ。
「んん?」
「何悩んでんの」
「いや、祐介は私が傍にいると羽田の被害が及ばないと思い安心するのかと思ったのだが、始め私の胸の上で寝た際はそうではなかったことを考えると」
祐介が目を逸した。
「あの日は、疲れてた」
「まあ説明を沢山してくれていたからな。だがそう考えるとやはり全体的に睡眠時間が足りていないという証明になるのではないか。であれば、映画はほどほどにしてだな」
「いや全然大丈夫問題なし」
食い気味で言われた。どうした祐介。そこまで映画を観たいのか。どうも祐介はこれまでの映画は全て観たことがある様なのだが、映画というものは何度観ても面白いものなのだろうか。
「いやしかしだな」
「じゃあサツキちゃんちで明日から映画観ようよ」
「何故そうなる」
「嫌?」
「嫌ではないが」
「だってサツキちゃん、僕に何をしてほしいかって聞いたでしょ? それで僕は一緒にご飯食べたり映画観たり出かけたりしたいって言ったでしょ。それに寝ちゃっても起きた時に一人で帰っても僕なら問題ないし」
繋いだ手の中が汗ばんできている。それでも祐介はそれを握り直し、絶対に離そうとしなかった。どれだけ心配してくれているのだろう。それが本当に申し訳ない。
「きっとあれだよ、昨日サツキちゃんにおやすみのキスをしなかったから寝れなかったんじゃない?」
ふふ、と祐介が微笑みかけてきた。おやすみのキス。おでこのあれである。確かにあれの効果は抜群であった。
「成程、一理ある」
「でしょ? そうしたら、次から映画が始まる前にしてあげるよ」
「それは祐介が寝る前提ではないか」
「あはは」
軽口を叩き合いながら、二人は会社へと入って行った。
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