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第二章 中級編開始
第292話 OLサツキの中級編四日目の朝の井戸端
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脱いだ着替えを抱えると、サツキはユラに尋ねた。
「ユラ、洗濯をしてみたいんだけど、教えてくれる?」
昨日やると言っていたが結局やらず、今朝の分まで溜まってしまった。ユラが目を擦りつつ頷き、笑った。
「昨日から何度も言ってきてるもんな。余程洗濯物を綺麗にしたいってのは分かったから、ちょっと待て」
「綺麗にしたいっていうより、やることが残ってると落ち着かないというか」
「真面目だなあ」
「そうでもないよ、分からないことはすぐに横に置いちゃうし」
「分からないこと? 例えば?」
「例えばって言われてもすぐには出てこないけど」
「ふうん?」
嘘だ。出てくる。真っ先に出てくるのは、昨夜寝る前に考えたことだ。ユラに、いなくなってしまわないか心配だと、不安だと言われたこと。その理由が全く思いつかなくて、分からなくて思考停止しそうになったから横に置いた。
「じゃあちょっと洗濯物まとめてるね。裏の井戸の前にいるから」
「分かった。着替えたらすぐ行く」
サツキは服を持つと、ぴょんぴょん跳ねるラムと共にまずは風呂場へと向かい、手に持っていた服を洗濯カゴに放り込んだ。カーテンを開け、獅子丸におはようの挨拶をし、裏の井戸へと向かった。
共同井戸の周りには誰もおらず、利用者はサツキただ一人のみ。井戸の前に洗濯カゴを置くと、ラムと二人、ユラが来るのを待った。殆ど待たずして、ユラがやってきた。
「お待たせ」
「ううん、全然」
何だかデートの待ち合わせみたいだな、と思って、つい顔がにやけそうになった。憧れのシチュエーションである。そして一生そんな機会はないと諦めたシチュエーションでもある。何度となくお気に入りのアイドルとの待ち合わせを想像したものだ。
「どうした」
「いや、何でもない」
「滅茶苦茶にやけてんじゃねえか」
「にやけてないよ?」
リアムの顔に触れてみるが、別にニヤけてはいない。にやけているのはサツキの心の中だけだ。すると、またユラが目を擦った。昨日からまた目を擦る様になっている。ちょっと心配になった。
「今度はそんな顔するしさ、心配すんなって。何でもないから」
「え? 私心配なんてしてないし」
「嘘つけ。お前は変な嘘ばっかりつくな。自分が損するようなことばっかりじゃねえか」
自分が損をする嘘? 何で今のでサツキが損をするんだろう?
サツキが首を傾げていたからか、ユラが聞いてきた。
「サツキはさ、自分のこと心配して心配だ心配だって言ってくる奴と、お前なんか心配してないって言ってくる奴とどっちがいいと思う?」
「心配してないって言ってくる奴」
「まじか」
ユラの顔が引き攣った。だがこれにはサツキは持論があった。
「だって、口では何でも言えるじゃない。私だって、口では何でも言ってた。嫌われない為に。そんなこと思ってなくても。だから言葉に嘘が紛れてることもあると思うんだよね。でも、心配なんかしないって言う人は、嘘ついてないでしょ?」
「お前は心配そうな顔してんのに? 嘘ついてんじゃねえか」
「あ」
サツキが思わず声を漏らすと、ユラが一瞬キョトンとした後、楽しそうに笑い始めたのだった。
「ユラ、洗濯をしてみたいんだけど、教えてくれる?」
昨日やると言っていたが結局やらず、今朝の分まで溜まってしまった。ユラが目を擦りつつ頷き、笑った。
「昨日から何度も言ってきてるもんな。余程洗濯物を綺麗にしたいってのは分かったから、ちょっと待て」
「綺麗にしたいっていうより、やることが残ってると落ち着かないというか」
「真面目だなあ」
「そうでもないよ、分からないことはすぐに横に置いちゃうし」
「分からないこと? 例えば?」
「例えばって言われてもすぐには出てこないけど」
「ふうん?」
嘘だ。出てくる。真っ先に出てくるのは、昨夜寝る前に考えたことだ。ユラに、いなくなってしまわないか心配だと、不安だと言われたこと。その理由が全く思いつかなくて、分からなくて思考停止しそうになったから横に置いた。
「じゃあちょっと洗濯物まとめてるね。裏の井戸の前にいるから」
「分かった。着替えたらすぐ行く」
サツキは服を持つと、ぴょんぴょん跳ねるラムと共にまずは風呂場へと向かい、手に持っていた服を洗濯カゴに放り込んだ。カーテンを開け、獅子丸におはようの挨拶をし、裏の井戸へと向かった。
共同井戸の周りには誰もおらず、利用者はサツキただ一人のみ。井戸の前に洗濯カゴを置くと、ラムと二人、ユラが来るのを待った。殆ど待たずして、ユラがやってきた。
「お待たせ」
「ううん、全然」
何だかデートの待ち合わせみたいだな、と思って、つい顔がにやけそうになった。憧れのシチュエーションである。そして一生そんな機会はないと諦めたシチュエーションでもある。何度となくお気に入りのアイドルとの待ち合わせを想像したものだ。
「どうした」
「いや、何でもない」
「滅茶苦茶にやけてんじゃねえか」
「にやけてないよ?」
リアムの顔に触れてみるが、別にニヤけてはいない。にやけているのはサツキの心の中だけだ。すると、またユラが目を擦った。昨日からまた目を擦る様になっている。ちょっと心配になった。
「今度はそんな顔するしさ、心配すんなって。何でもないから」
「え? 私心配なんてしてないし」
「嘘つけ。お前は変な嘘ばっかりつくな。自分が損するようなことばっかりじゃねえか」
自分が損をする嘘? 何で今のでサツキが損をするんだろう?
サツキが首を傾げていたからか、ユラが聞いてきた。
「サツキはさ、自分のこと心配して心配だ心配だって言ってくる奴と、お前なんか心配してないって言ってくる奴とどっちがいいと思う?」
「心配してないって言ってくる奴」
「まじか」
ユラの顔が引き攣った。だがこれにはサツキは持論があった。
「だって、口では何でも言えるじゃない。私だって、口では何でも言ってた。嫌われない為に。そんなこと思ってなくても。だから言葉に嘘が紛れてることもあると思うんだよね。でも、心配なんかしないって言う人は、嘘ついてないでしょ?」
「お前は心配そうな顔してんのに? 嘘ついてんじゃねえか」
「あ」
サツキが思わず声を漏らすと、ユラが一瞬キョトンとした後、楽しそうに笑い始めたのだった。
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