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第二章 中級編開始
第334話 OLサツキの中級編四日目、今後の予定の続き
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ユラがサツキの目をじっと見つめてくる。リアムの姿だとユラの方が少し背が低いので、自然上目遣いになっている。そうすると、金色のまつ毛が水色の瞳に自然とかかり、まつ毛の影が生まれる。いや見るよね? これは見ちゃうよね? 見たって仕方ないよね? と、サツキは誰に言っているかも分からず心の中で繰り返した。
「え、俺、サツキの中では可愛いの? 男としては、可愛いよりも格好いいの方がいいけど、可愛いの方が強いんだったら今後はそっちを売りとして押し出していった方が」
そしてぶつぶつ言っている。やっぱり変な人。今更ながら、思った。
「どういった所が可愛いと思ったんだ?」
そして遠慮なくぐいぐい聞いてくるあたりは、全く可愛くない。一歩下がりたいが掴まれていて下がれない。アールかウルスラ、どちらか助けて! と思ってテーブルを見ると、いない。え? と思って辺りを見回すと、反対側の壁に貼られた依頼書を二人並んでキャッキャいいながら読んでいる後ろ姿が確認出来た。つまり助けはない。
「なあサツキってば」
そしてぐいぐい来るユラ。ああもう、言ってしまえ!
サツキは覚悟を決めた。恥ずかしいが、もう言ってしまおう。言えばきっとユラも納得してこれ以上至近距離に来なくなるだろうし。
「普段ちょっと冷たい感じの顔なのに、急に子供みたいに笑うとか」
「え、俺冷たい印象なの? あとは?」
「あと? まだ言うの? ええと、さっきだと口尖らせちゃったところとか」
「口尖ってたか? 俺そんな子供っぽいことしてた?」
「してたよ」
「あとは?」
なかなか解放されない。
「マグノリアが大好きで、マグノリアのことになると夢中になっちゃうところ、かな」
「あとは?」
「え? もうないよ……。あ、へっぽこって言うとムキになるところかな」
「へっぽこ……」
最後のへっぽこが効いたらしい。『あとは』攻撃が止んだ。
「ふーん。そういうのがサツキから見ると可愛いってことになるんだ?」
「まあ、うん、そう、ね」
そろそろ解放だろうか。でも腕は強く掴まれたままだ。もう勘弁して欲しかった。このままだと心臓がやばい。きっと口から飛び出てきてしまう。
「じゃあそういうところばっかり見せていくとどうなんだ?」
ユラが素朴な疑問といった風に尋ねたので、サツキはそれについては即行返答した。
「あざといから駄目」
「あざとい」
「そう、わざとはあざとさが滲み出るから一気に残念度が上がります」
「残念度……」
ユラが考え込んだ。ちょっと難しかったのかもしれない。が、これは完全にサツキの趣味嗜好であるから、すんなり理解されなくとも問題はなかった。つまりは拘りだ。
なので、この会話を打ち切るつもりで言った。
「だから、ユラはそのままでいいんじゃない?」
「このままの俺でいたら、サツキは俺のこと可愛いって思ってドキドキするのか?」
相変わらずのどストレートな物言いに、現在進行中でドキドキしているサツキはもう泣きそうになった。ああ、誰か助けて。死にそう。
「なあ」
ユラは何故にここまで必死になるのか。サツキはもう羞恥で半泣き状態になりつつあった。
「ひと言欲しい」
「……そう、です」
言ってしまった。サツキの目から涙がぽろりと流れた。
「え、俺、サツキの中では可愛いの? 男としては、可愛いよりも格好いいの方がいいけど、可愛いの方が強いんだったら今後はそっちを売りとして押し出していった方が」
そしてぶつぶつ言っている。やっぱり変な人。今更ながら、思った。
「どういった所が可愛いと思ったんだ?」
そして遠慮なくぐいぐい聞いてくるあたりは、全く可愛くない。一歩下がりたいが掴まれていて下がれない。アールかウルスラ、どちらか助けて! と思ってテーブルを見ると、いない。え? と思って辺りを見回すと、反対側の壁に貼られた依頼書を二人並んでキャッキャいいながら読んでいる後ろ姿が確認出来た。つまり助けはない。
「なあサツキってば」
そしてぐいぐい来るユラ。ああもう、言ってしまえ!
サツキは覚悟を決めた。恥ずかしいが、もう言ってしまおう。言えばきっとユラも納得してこれ以上至近距離に来なくなるだろうし。
「普段ちょっと冷たい感じの顔なのに、急に子供みたいに笑うとか」
「え、俺冷たい印象なの? あとは?」
「あと? まだ言うの? ええと、さっきだと口尖らせちゃったところとか」
「口尖ってたか? 俺そんな子供っぽいことしてた?」
「してたよ」
「あとは?」
なかなか解放されない。
「マグノリアが大好きで、マグノリアのことになると夢中になっちゃうところ、かな」
「あとは?」
「え? もうないよ……。あ、へっぽこって言うとムキになるところかな」
「へっぽこ……」
最後のへっぽこが効いたらしい。『あとは』攻撃が止んだ。
「ふーん。そういうのがサツキから見ると可愛いってことになるんだ?」
「まあ、うん、そう、ね」
そろそろ解放だろうか。でも腕は強く掴まれたままだ。もう勘弁して欲しかった。このままだと心臓がやばい。きっと口から飛び出てきてしまう。
「じゃあそういうところばっかり見せていくとどうなんだ?」
ユラが素朴な疑問といった風に尋ねたので、サツキはそれについては即行返答した。
「あざといから駄目」
「あざとい」
「そう、わざとはあざとさが滲み出るから一気に残念度が上がります」
「残念度……」
ユラが考え込んだ。ちょっと難しかったのかもしれない。が、これは完全にサツキの趣味嗜好であるから、すんなり理解されなくとも問題はなかった。つまりは拘りだ。
なので、この会話を打ち切るつもりで言った。
「だから、ユラはそのままでいいんじゃない?」
「このままの俺でいたら、サツキは俺のこと可愛いって思ってドキドキするのか?」
相変わらずのどストレートな物言いに、現在進行中でドキドキしているサツキはもう泣きそうになった。ああ、誰か助けて。死にそう。
「なあ」
ユラは何故にここまで必死になるのか。サツキはもう羞恥で半泣き状態になりつつあった。
「ひと言欲しい」
「……そう、です」
言ってしまった。サツキの目から涙がぽろりと流れた。
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