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第三章 上級編開始
第560話 OLサツキの上級編、フレイのダンジョン地下二十一階のラムのレベルアップ
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ラムの光が止むと、そこには大分はっきりとしたフォルムになったラムが立っていた。これまでの透明の黄緑色から打って変わり、相変わらず黄緑色ではあるが、半透明程度になっている。より人間に近くなった感じがした。
そして、ラムが言った。
「サツキ」
可愛らしい、まだ小さな女の子の様な声だった。
「ら……ラムちゃん!?」
サツキがラムに飛びつくと、ラムがきゅ、とサツキの胸に抱きついた。
「おしゃべり、すこしできるよ」
「凄いっ凄いよラムちゃん!」
「ふふ」
片言の様だが、なんとラムが喋れる様になった。驚きの進化だ。すると、後ろにいたユラが言った。
「多分、前にサツキが俺に変身させたのが効いてるのかもしれねえぞ」
「どういうこと?」
ユラは持論を展開し始めた。
「モンスターでお喋り出来るようなのってさ、余程強かったり知能が高かったりする場合しか例がないんだよ」
ちらりとラムを見る。
「ラムには悪いけど、スライムって初級ダンジョンにいる様な弱々なモンスターなんだよ。飲み物にされる位のな。そもそも俺達の会話の内容を始めから理解していたのも驚きだったけど、でもまあ知能は低いと思われてたモンスターの代表って言っても過言じゃなかったんだ」
「そうなんだ……」
確かに飲み物に捕獲するスライムの知能が高かったら、捕まえる方はちょっとやりにくいかもしれない。
「だけど、これまで人型になっても喋ってなかっただろ?」
「そうだね」
「うん」
ラムも可愛らしく返事をする。うわやっばい滅茶苦茶可愛い声。
「だけどこいつは俺に二回も変身した。一回目からしっかりと喋ってたぞ」
一回目。春祭りのあの例の黒いシーフから逃げた時だ。確かに喋っていた。普通にユラの姿でユラの声だったから、疑問にも思わなかったけど、確かにあれの中身はラムだった。
「このダンジョンに来てからも一回変身しただろ? その時も普通に喋ってたよな」
「喋ってたね……」
言われるまで、何も思わなかった。ただ人間になったら声帯とかそんな関係で喋れる様になる位の認識しか、そもそもサツキにはなかったのだ。
「人間に変身したことのあるモンスターなんて、そうそういるもんじゃねえからな。二回も人間の姿になって喋ったり行動したことで、多分ラムの中に人間とはこういうものだっていう認識が生まれたんだよ。でなきゃレベルアップ程度で急に喋れる様になるのはあり得ない」
「てことは、私のお陰……?」
「サツキ、ありがと」
ラムがまたきゅっと抱きついた。心から可愛い抱き締めたいという想いが溢れ出す。
「かっ可愛いいいっ!」
サツキが更に抱きつこうとすると、ユラがサツキの肩を抱き、ラムの頭を持って引っ剥がした。べり、という音が聞こえた様な気がした。
「ちょ、ちょっとユラどうし……」
「ラムばっかり狡い!」
ついこの間、ラムがユラの姿で同じことを言っていた記憶がデジャブの様に蘇った。
「分け合う話はどうなったんだよ!」
「ユラの方が多い」
「俺は人間だからな!」
「ラム、サツキの物だもん」
「何だよ!」
「べ―!」
モンスターと本気で言い争いをするへっぽこ僧侶。そんな言葉が、サツキの脳裏をよぎった。
そして、ラムが言った。
「サツキ」
可愛らしい、まだ小さな女の子の様な声だった。
「ら……ラムちゃん!?」
サツキがラムに飛びつくと、ラムがきゅ、とサツキの胸に抱きついた。
「おしゃべり、すこしできるよ」
「凄いっ凄いよラムちゃん!」
「ふふ」
片言の様だが、なんとラムが喋れる様になった。驚きの進化だ。すると、後ろにいたユラが言った。
「多分、前にサツキが俺に変身させたのが効いてるのかもしれねえぞ」
「どういうこと?」
ユラは持論を展開し始めた。
「モンスターでお喋り出来るようなのってさ、余程強かったり知能が高かったりする場合しか例がないんだよ」
ちらりとラムを見る。
「ラムには悪いけど、スライムって初級ダンジョンにいる様な弱々なモンスターなんだよ。飲み物にされる位のな。そもそも俺達の会話の内容を始めから理解していたのも驚きだったけど、でもまあ知能は低いと思われてたモンスターの代表って言っても過言じゃなかったんだ」
「そうなんだ……」
確かに飲み物に捕獲するスライムの知能が高かったら、捕まえる方はちょっとやりにくいかもしれない。
「だけど、これまで人型になっても喋ってなかっただろ?」
「そうだね」
「うん」
ラムも可愛らしく返事をする。うわやっばい滅茶苦茶可愛い声。
「だけどこいつは俺に二回も変身した。一回目からしっかりと喋ってたぞ」
一回目。春祭りのあの例の黒いシーフから逃げた時だ。確かに喋っていた。普通にユラの姿でユラの声だったから、疑問にも思わなかったけど、確かにあれの中身はラムだった。
「このダンジョンに来てからも一回変身しただろ? その時も普通に喋ってたよな」
「喋ってたね……」
言われるまで、何も思わなかった。ただ人間になったら声帯とかそんな関係で喋れる様になる位の認識しか、そもそもサツキにはなかったのだ。
「人間に変身したことのあるモンスターなんて、そうそういるもんじゃねえからな。二回も人間の姿になって喋ったり行動したことで、多分ラムの中に人間とはこういうものだっていう認識が生まれたんだよ。でなきゃレベルアップ程度で急に喋れる様になるのはあり得ない」
「てことは、私のお陰……?」
「サツキ、ありがと」
ラムがまたきゅっと抱きついた。心から可愛い抱き締めたいという想いが溢れ出す。
「かっ可愛いいいっ!」
サツキが更に抱きつこうとすると、ユラがサツキの肩を抱き、ラムの頭を持って引っ剥がした。べり、という音が聞こえた様な気がした。
「ちょ、ちょっとユラどうし……」
「ラムばっかり狡い!」
ついこの間、ラムがユラの姿で同じことを言っていた記憶がデジャブの様に蘇った。
「分け合う話はどうなったんだよ!」
「ユラの方が多い」
「俺は人間だからな!」
「ラム、サツキの物だもん」
「何だよ!」
「べ―!」
モンスターと本気で言い争いをするへっぽこ僧侶。そんな言葉が、サツキの脳裏をよぎった。
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