ドラゴンに殺られそうになって(電車にはねられそうになって)気が付いたらOLになっていた(気が付いたら魔術師になっていた)件

ミドリ

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第三章 上級編開始

第578話 OLサツキの上級編、フレイのダンジョン地下三十階の就寝へ

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 ウルスラの気持ちがまだ固まりきっていないと判明したところで、二人はスライム風呂から出た。

「結構スーッとするわね」

 最後、普通のお湯で洗い流したウルスラが、若干気味悪そうに言った。

「結構これ持続するから、よく寝れると思うよ」
「今日は疲れちゃったから、それはありがたいわね」

 ウルスラと二人で女湯の外に出ると、ユラとアールが男湯の前で待っていた。ユラがにこっとしてサツキの元に寄って来る。

「なあサツキ、そっちももしかしてスライム風呂だったか?」
「うん。獅子丸が出すお湯よりも柔らかかったね」
「あれはちょっと濃度が濃過ぎるんだな。もう少し薄いのを覚えさせようぜ」

 ユラが嬉しそうに提案すると、ウルスラが呆れた様に言った。

「ユラ、あんたサツキの家の風呂に入りまくる気満々じゃないのよ」

 すると、ユラはサツキにあれ? という顔をしてみせた。

「ウルスラに話したのか?」
「お風呂に入っていったってことは話したよ」

 正確には、ばれた。

「怒られなかったか?」
「びっくりはしてたけど」
「ふうん」

 すると、何が嬉しかったのか、にこにこに変わった。この人も、始めの印象からは大分変わった。ただのエロい、ちょっと冷たい自分勝手なイケメンという印象だったのに、気が付けばこうやってサツキに実に豊かな表情を見せてくれる様になった。

「マッサージしてる最中に寝てもいいからな」
「あ、うん、よろしくお願いします」

 マッサージは絶対やるつもりらしい。人にマッサージを施すことの何がそんなにいいか分からないが、触りたいと堂々と言っていたあたりはこれ普通にセクハラ発言だよなと思うが、ユラに言われる分には嫌とすら思わないのだから不思議だ。

 風呂上がりの冷たい水を飲み、髪の毛を乾かして、ユラがベッドを設置する。アールはかなり眠そうで、ウルスラも顔が火照って今にも寝そうだ。

「悪いけど、今日はもう寝るわね」
「俺も……ちょっと限界」
「おう、寝ろ寝ろ」
「ユラは元気ね……」

 ウルスラが呆れた様に言ったが、ユラはにやりと笑うだけだった。そしてウルスラとアールがベッドに潜り込んだのを確認すると、サツキに指示する。

「よしサツキ、うつ伏せになれ」
「ユラ、本当に疲れてないの? 無理しなくていいよ」
「疲れをこれから癒やすんだよ」
「……そうですか」

 ユラの謎理論が展開された。

「ほら」
「はいはい」

 サツキは自分のベッドにうつ伏せに寝転がった。ユラがベッドに上がってくると、サツキのふくらはぎを持った。ぐっと押さえると、痛気持ちいい。

「パンパンじゃねえか」
「痛いけど気持ちいい……」
「ははっ」

 すると、ラムがベッドを覗き込んできた。

「ラムも入る」
「お前は後にしろ」
「やだ。ユラが出て行く」
「サツキのマッサージしてるんだよ」
「……」

 渋々といった感じで、ラムがベッドの外に出て行った。

「サツキ」
「ん?」

 思ったよりも近くからユラの声が聞こえてサツキが顔を向けると、やはりというかユラがちゅ、とキスをしてきた。

「よし、続きやるから」

 よし、じゃない。じゃないのだが、あまりにもユラが嬉しそうに笑うので、サツキは何も言えなくなってしまったのだった。
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