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第四章 アルティメット編開始
第638話 OLサツキのアルティメット編・フレイのダンジョンのフレイムドラゴン戦の続き
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ドラゴンはまだ深く息を吸い込んでいる。ドラゴンが見ているのはサツキだけだ。リアムの時と同じ。サツキを倒すまでは、逆に他の人は攻撃はされないだろう。むしろサツキの近くにいるユラが危険だ。
先にこのダンジョンに足を踏み入れたのは、サツキだ。だからアールは、サツキが倒されたら次に狙われる。物理攻撃が効くのであれば、ウルスラとアールに背後から狙ってもらえば体力は削れるに違いない。
横のユラをちらりと見ると、こちらに手を伸ばそうとしているのが、スローモーションで見えた。
こっちに来ちゃ、駄目。
サツキはドラゴンに向かって怒鳴った。
「そうだよ! 挑戦者は私だよ!」
そして一気に走り出した。皆がいない方へと。そしてアールに向かって言った。
「アール! やっぱりこいつは私だけを狙ってる! だから背後から攻撃を!」
サツキのその言葉で、アールはピンときたらしい。
「任せろ!」
アールは馬鹿かもしれないが、戦闘センスはある。先程アールと話した内容も踏まえて、きっと後の二人に説明してくれる。……多分。
「サツキーー!!」
ユラが追いかけて来ようとしたが、ドラゴンがドスン! ドスン! とサツキの方に身体を向けた所為で、尻尾で進路を塞がれてしまった。
サツキは走った。魔法を唱えても、ユラ達に影響がない距離を保つ為。
アールがドラゴンの尻尾を斬りつけているところが見えた。ウルスラもドラゴンの足を狙っているが、熱いのかなかなか近寄れない様だ。
ドラゴンが息を吸い終えた。来る。
サツキはくるりと振り向くと、全力で唱えた。
「アンファンフロスト!!」
ドラゴンの口からは、白い炎がこちらに向かって吐き出されていた。間に合え、サツキがやらなければ他の皆が死んでしまう。ユラが、ユラが死んでしまう。
ふ、と空が暗くなり、炎があと僅かで到達するという所で、背後から轟音を立ててやってきた雪崩がドラゴンの炎を押し返し始める。サツキは炎を押し返すべく、雪崩が更に襲うイメージを思い浮かべた。途切れることのない雪崩。炎を止ませ、そしてその体内にも雪崩を押し込むのだ。
体内の温度が下がれば、ウルスラ達も攻撃がしやすい。だから、サツキがこうしてドラゴンを冷やしていき、ウルスラ達が攻撃すればいい。
だって、サツキは燃やされても多分元の身体に帰るだけだ。そしてユラはきっとまたリアムを再生してくれる。だから怖くない。怖くないよ、サツキ。
雪崩はいつもよりも長く続いていた。どんどん魔力が減っているのが分かった。上級魔法一回分以上の魔力を注ぎ込んでいるのに違いない。そんなことが出来るのだ。知らなかった。多分、魔力量の多いリアムだからこそ出来る芸当なのだろう。
もう、仲間の姿は見えない。見えるのは、押し返され消えた炎と、焦った様な色のドラゴンの目だけ。炎は押し返した。後はドラゴンの温度を下げないと。
サツキは更に集中して、今度は雪崩が口を通して体内に埋め尽くされる想像をした。集中を切らしてはならない。一度術を止めたら、きっとまた最初からやり直しな気がした。恐らくあのドラゴンの魔力は無尽蔵に近い。でなければ、あんな溶岩を体内に宿しておける筈がない。
たとえこの一回で魔力が尽きようとも、ユラを守ってみせる。
サツキは、唇をぎゅっと噛んだ。
先にこのダンジョンに足を踏み入れたのは、サツキだ。だからアールは、サツキが倒されたら次に狙われる。物理攻撃が効くのであれば、ウルスラとアールに背後から狙ってもらえば体力は削れるに違いない。
横のユラをちらりと見ると、こちらに手を伸ばそうとしているのが、スローモーションで見えた。
こっちに来ちゃ、駄目。
サツキはドラゴンに向かって怒鳴った。
「そうだよ! 挑戦者は私だよ!」
そして一気に走り出した。皆がいない方へと。そしてアールに向かって言った。
「アール! やっぱりこいつは私だけを狙ってる! だから背後から攻撃を!」
サツキのその言葉で、アールはピンときたらしい。
「任せろ!」
アールは馬鹿かもしれないが、戦闘センスはある。先程アールと話した内容も踏まえて、きっと後の二人に説明してくれる。……多分。
「サツキーー!!」
ユラが追いかけて来ようとしたが、ドラゴンがドスン! ドスン! とサツキの方に身体を向けた所為で、尻尾で進路を塞がれてしまった。
サツキは走った。魔法を唱えても、ユラ達に影響がない距離を保つ為。
アールがドラゴンの尻尾を斬りつけているところが見えた。ウルスラもドラゴンの足を狙っているが、熱いのかなかなか近寄れない様だ。
ドラゴンが息を吸い終えた。来る。
サツキはくるりと振り向くと、全力で唱えた。
「アンファンフロスト!!」
ドラゴンの口からは、白い炎がこちらに向かって吐き出されていた。間に合え、サツキがやらなければ他の皆が死んでしまう。ユラが、ユラが死んでしまう。
ふ、と空が暗くなり、炎があと僅かで到達するという所で、背後から轟音を立ててやってきた雪崩がドラゴンの炎を押し返し始める。サツキは炎を押し返すべく、雪崩が更に襲うイメージを思い浮かべた。途切れることのない雪崩。炎を止ませ、そしてその体内にも雪崩を押し込むのだ。
体内の温度が下がれば、ウルスラ達も攻撃がしやすい。だから、サツキがこうしてドラゴンを冷やしていき、ウルスラ達が攻撃すればいい。
だって、サツキは燃やされても多分元の身体に帰るだけだ。そしてユラはきっとまたリアムを再生してくれる。だから怖くない。怖くないよ、サツキ。
雪崩はいつもよりも長く続いていた。どんどん魔力が減っているのが分かった。上級魔法一回分以上の魔力を注ぎ込んでいるのに違いない。そんなことが出来るのだ。知らなかった。多分、魔力量の多いリアムだからこそ出来る芸当なのだろう。
もう、仲間の姿は見えない。見えるのは、押し返され消えた炎と、焦った様な色のドラゴンの目だけ。炎は押し返した。後はドラゴンの温度を下げないと。
サツキは更に集中して、今度は雪崩が口を通して体内に埋め尽くされる想像をした。集中を切らしてはならない。一度術を止めたら、きっとまた最初からやり直しな気がした。恐らくあのドラゴンの魔力は無尽蔵に近い。でなければ、あんな溶岩を体内に宿しておける筈がない。
たとえこの一回で魔力が尽きようとも、ユラを守ってみせる。
サツキは、唇をぎゅっと噛んだ。
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