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第四章 アルティメット編開始
第661話 魔術師リアムのアルティメット編・最後の砦攻略、いざ社長室へ
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暫くすると、他の社員も次々に出社してきた。
潮崎と木佐ちゃんが一緒に出社してくると、祐介が二人にさっと簡単に状況を説明を始めた。
ユメときちんと話し合いが出来たこと、九時半から社長との話し合いにリアムと祐介も同席すること。そして、ユメが羽田とは決して友好的な関係にはなく、羽田に嵌められた立場だったということも。ただし、その詳細については祐介はきれいに伏せた。さすが祐介である。
「何だか色々とありそうだね」
潮崎が考え込む様な仕草を見せる中、木佐ちゃんは唇を噛み締めて明らかに立腹していた。
「早川さんの事情は知らないけど、だからって自分の目的の為に女の身体を利用させるなんて、考えが最っっ低ね……!」
それについてはリアムも同意だが、木佐ちゃんは同性だから余計にその辛さと決意の重さを理解出来るのであろう。リアムの身体はサツキの女の身体であるが、そこについては正直分からない。
分からないが、これまで娼館で身体を合わせることがあった女達の中には、もしかしたらユメと同じ様に騙されてあの場にいることになった者ももしかしたらいるのかもしれないのだと、初めて思った。
男の立場としては、それが彼女達の職業でありこちらとしてはきちんと対価を支払った上での行為である。だからそういうものだと思って深く考えなかった。
「サツキちゃん? どうしたの?」
時間になり社長室へと向かう為にエレベーター前で待つ間、リアムは考えさせられていた。俯き静かに佇むリアムを見て、祐介はリアムの顔を覗き込んでにっこりと笑った。
こうして祐介はいつもリアムのことを気遣ってくれる。リアムは、急に色々なことに申し訳なささを覚えた。
「木佐ちゃん殿の怒りを見て、自分のこれまでの浅はかさを反省したのだ」
リアムは俯きつつ、答えた。
「浅はかさ?」
「うむ。私も幾度も娼館の女性達と夜を共に過ごしたが、彼女達にも勿論それぞれの事情というものがあったのだと、恥ずかしながら今先程まで考えもしなかったのだ」
「娼館……」
「男というのは、相手に何の感情もなくともまあやろうと思えばやれるだろう? だが女の方はどうだったのであろうとな」
「え、あ、うん、難しいね」
雄介が挙動不審気味に答えた。
「だが、後悔したところでもう取り返しはつかぬ」
リアムは顔を上げた。
「あ、うん」
「だが、せめてこの先は、もう私は好んだ相手以外は抱かぬと決めた」
「……えーと、抱く方?」
祐介が顔を赤くしながら、チラチラとリアムを見た。
「そういう気持ちでいればいいという意味だ」
「あ、うん、そうか」
祐介の返答は相変わらずおかしいが、まあ祐介がおかしいのは時折あることである。
リアムは思った。この身体のまま、誰かを抱くことは恐らくないであろうと。祐介との絆がリアムをこの世界に引き留めてはいるが、問題が片付き祐介との話し合いがなされた後は、祐介とはきっと別の道を行く。そしてこれは仕方のないことだ。
だから、多分元の世界に戻っても、きっともう誰も抱かぬ。
何故なら、あの世界には祐介は存在しないからだ。
チン、と音を立ててエレベーターの扉が開かれた。
潮崎と木佐ちゃんが一緒に出社してくると、祐介が二人にさっと簡単に状況を説明を始めた。
ユメときちんと話し合いが出来たこと、九時半から社長との話し合いにリアムと祐介も同席すること。そして、ユメが羽田とは決して友好的な関係にはなく、羽田に嵌められた立場だったということも。ただし、その詳細については祐介はきれいに伏せた。さすが祐介である。
「何だか色々とありそうだね」
潮崎が考え込む様な仕草を見せる中、木佐ちゃんは唇を噛み締めて明らかに立腹していた。
「早川さんの事情は知らないけど、だからって自分の目的の為に女の身体を利用させるなんて、考えが最っっ低ね……!」
それについてはリアムも同意だが、木佐ちゃんは同性だから余計にその辛さと決意の重さを理解出来るのであろう。リアムの身体はサツキの女の身体であるが、そこについては正直分からない。
分からないが、これまで娼館で身体を合わせることがあった女達の中には、もしかしたらユメと同じ様に騙されてあの場にいることになった者ももしかしたらいるのかもしれないのだと、初めて思った。
男の立場としては、それが彼女達の職業でありこちらとしてはきちんと対価を支払った上での行為である。だからそういうものだと思って深く考えなかった。
「サツキちゃん? どうしたの?」
時間になり社長室へと向かう為にエレベーター前で待つ間、リアムは考えさせられていた。俯き静かに佇むリアムを見て、祐介はリアムの顔を覗き込んでにっこりと笑った。
こうして祐介はいつもリアムのことを気遣ってくれる。リアムは、急に色々なことに申し訳なささを覚えた。
「木佐ちゃん殿の怒りを見て、自分のこれまでの浅はかさを反省したのだ」
リアムは俯きつつ、答えた。
「浅はかさ?」
「うむ。私も幾度も娼館の女性達と夜を共に過ごしたが、彼女達にも勿論それぞれの事情というものがあったのだと、恥ずかしながら今先程まで考えもしなかったのだ」
「娼館……」
「男というのは、相手に何の感情もなくともまあやろうと思えばやれるだろう? だが女の方はどうだったのであろうとな」
「え、あ、うん、難しいね」
雄介が挙動不審気味に答えた。
「だが、後悔したところでもう取り返しはつかぬ」
リアムは顔を上げた。
「あ、うん」
「だが、せめてこの先は、もう私は好んだ相手以外は抱かぬと決めた」
「……えーと、抱く方?」
祐介が顔を赤くしながら、チラチラとリアムを見た。
「そういう気持ちでいればいいという意味だ」
「あ、うん、そうか」
祐介の返答は相変わらずおかしいが、まあ祐介がおかしいのは時折あることである。
リアムは思った。この身体のまま、誰かを抱くことは恐らくないであろうと。祐介との絆がリアムをこの世界に引き留めてはいるが、問題が片付き祐介との話し合いがなされた後は、祐介とはきっと別の道を行く。そしてこれは仕方のないことだ。
だから、多分元の世界に戻っても、きっともう誰も抱かぬ。
何故なら、あの世界には祐介は存在しないからだ。
チン、と音を立ててエレベーターの扉が開かれた。
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