720 / 731
第四章 アルティメット編開始
第717話 魔術師リアムのアルティメット編・祐介の場合その2
しおりを挟む
これは、もしかしたらリアムの中身が男だったからかもしれない。
女らしさなど皆無なのに、これまで興味などちっともなかった野原サツキの身体に入っているのに、祐介はリアムを振り向かせたくて堪らなくなった。
だけどリアムはやたらと自分は男だと拘っていたから、リアムのその抵抗感をなくす為にあくまで女性として接した。中身が男なんて関係ないと分からせたくて。だから自分のことを好きになっていいのだと、分かってもらいたくて。
だからリアムの名も呼ばなかった。リアムは、男の時の姿を連想させる名前だ。男が男を好きになることは、リアムにとって不名誉なことだと思ったからだ。だがこうなったらもう意地だ、好きと言わせるまでは絶対に呼ぶものか。そう思っていたが、時折無償にその名を呼びたくなり、寝ている時を狙ってその名を呼んだ。
リアムの名を呼ぶと、祐介に巻き付いた鎖で振り回して欲しい、そういう想いが祐介の心を占めた。
この世界に縛り付けられているのは祐介の方だ。祐介はこの世界に縛られ、そしてリアムにも絡め取られどこにも逃げられない。
だから、リアムが警戒して逃げない様、ひたすら優しく慈しむ様に接した。人畜無害を装って。少しでも捕まえようとすると、途端にこの手の中から逃げてしまう気がしたから。そうして祐介の元から離れたくても離れられないように絡め取って、それでもすぐに飛んで行ってしまいそうなリアムを絶対に逃さないようにしなければ、一度籠の外へ出たリアムはもう戻ってはこない。実際、こうして逃げようとしたのだから、祐介の見立ては間違っていなかったことが証明された。
リアムを失う位なら、一生このいい人という皮を被ったまま生きていこう。そう決意した。祐介の恋路を邪魔する奴らの前に出ると、時折醜い本性が表に出てしまう時もあったが。
リアムがいなくなったら、もう二度とこんな人には出会えない、それだけは分かっていた。リアムがいなくなったら、あとは嘘で塗り固められた空っぽの祐介だけが残る。一度光で満たされた中身は、もう光なしには生きられないだろう。そしてそれは絶対に嫌だから。
だから祐介は一生嘘つきのままでいい。ただ一つ、そこに真実があるから。
「リアム、愛してる」
そして、君の前でだけは、忠実でありたい。
祐介はリアムを真っ直ぐ見て、言った。祐介が愛して止まない祐介の魔術士を。
「リアム、僕と結婚して下さい」
そうしたら、もう絶対に逃さない。
女らしさなど皆無なのに、これまで興味などちっともなかった野原サツキの身体に入っているのに、祐介はリアムを振り向かせたくて堪らなくなった。
だけどリアムはやたらと自分は男だと拘っていたから、リアムのその抵抗感をなくす為にあくまで女性として接した。中身が男なんて関係ないと分からせたくて。だから自分のことを好きになっていいのだと、分かってもらいたくて。
だからリアムの名も呼ばなかった。リアムは、男の時の姿を連想させる名前だ。男が男を好きになることは、リアムにとって不名誉なことだと思ったからだ。だがこうなったらもう意地だ、好きと言わせるまでは絶対に呼ぶものか。そう思っていたが、時折無償にその名を呼びたくなり、寝ている時を狙ってその名を呼んだ。
リアムの名を呼ぶと、祐介に巻き付いた鎖で振り回して欲しい、そういう想いが祐介の心を占めた。
この世界に縛り付けられているのは祐介の方だ。祐介はこの世界に縛られ、そしてリアムにも絡め取られどこにも逃げられない。
だから、リアムが警戒して逃げない様、ひたすら優しく慈しむ様に接した。人畜無害を装って。少しでも捕まえようとすると、途端にこの手の中から逃げてしまう気がしたから。そうして祐介の元から離れたくても離れられないように絡め取って、それでもすぐに飛んで行ってしまいそうなリアムを絶対に逃さないようにしなければ、一度籠の外へ出たリアムはもう戻ってはこない。実際、こうして逃げようとしたのだから、祐介の見立ては間違っていなかったことが証明された。
リアムを失う位なら、一生このいい人という皮を被ったまま生きていこう。そう決意した。祐介の恋路を邪魔する奴らの前に出ると、時折醜い本性が表に出てしまう時もあったが。
リアムがいなくなったら、もう二度とこんな人には出会えない、それだけは分かっていた。リアムがいなくなったら、あとは嘘で塗り固められた空っぽの祐介だけが残る。一度光で満たされた中身は、もう光なしには生きられないだろう。そしてそれは絶対に嫌だから。
だから祐介は一生嘘つきのままでいい。ただ一つ、そこに真実があるから。
「リアム、愛してる」
そして、君の前でだけは、忠実でありたい。
祐介はリアムを真っ直ぐ見て、言った。祐介が愛して止まない祐介の魔術士を。
「リアム、僕と結婚して下さい」
そうしたら、もう絶対に逃さない。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる