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もう一度、やり直したいんです
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(若佐先生に料理を褒められちゃった……)
料理を温め直している間、つい顔が緩んでしまいそうになって、何度も首を振る。
(ううん。先生は優しいから、気を遣って言ってくれただけだよね)
自分に言い聞かせている内に二人分の料理が温め終わったので、テーブルに運んだのだった。
温め直した料理を並べていると、ラフなシャツ姿に着替えた若佐先生がやって来た。普段、きっちりスーツを着こなした若佐先生の姿しか見ていないからか、滅多に見られないラフな格好に妙に意識してしまう。
そんな私の様子に気づいているのかいないのか、若佐先生は席に着くと「美味しそうですね」とそっと口を開く。
私も向かいの席に座ると、一緒に食べ始めたのだった。
しばらくは無言で食べていたが、やがて若佐先生が「小春さん」と話しかけてくる。
「昨日の話ですが……。私に恩を返して、夫婦らしい事をしたいと言う事でしたね」
「はい。そうです」
「私もあの後考えました。恩については契約結婚をして、家事をやっていただいているので、これ以上、望む事は何もありません。貴女の食事をこうして食べられるだけで満足です」
「そうなんですか……!?」
私の言葉に若佐先生は頷く。出来ないながらも家事をやっていた甲斐があったと分かり、そっと安堵する。
「それで、残りの夫婦らしい事ですが……。何をしたらいいのか、私には皆目検討がつきません。小春さんはどうしたいですか?」
珍しく若佐先生から尋ねられたので、手を止めるとそっと口を開く。
「ここにいる間だけでいいんです。夫婦らしく、二人の時間を過ごせませんか。今みたいに一緒に食事をしたり、スーパーマーケットに買い物に行ったり、セントラルパークを散策したり、本当に些細な事でいいんです。心残りなく、これから別々の道を歩いていけるように……思い出作りと言えばいいのでしょうか」
若佐先生が怪訝そうな顔をしたので、私は慌てて言葉を付け加える。
「勿論、私の事が嫌いなら、日本に帰国した後、すぐ離婚届を区役所に出します」
「貴女の事は嫌いじゃありませんよ」
「そうだったんですか?」
それならどうして離婚届を送ってきたのだろうか。ますます、疑問が募る。
「小春さんこそ、どうなんですか。私の事を……」
「私も若佐先生の事、嫌いじゃありません」
「それなら、好きですか」
「ふえっ!?」
急に真顔で尋ねられたので、素っ頓狂な声を上げてしまう。
「す、好きかと聞かれると、その……若佐先生はとても魅力的ですし、知的で、頼りになって、私には勿体ないくらいに素敵な男性です。弁護士としても優れていて……かっこいいお兄さんだと思っています」
「そうですか……」
「一番は若佐先生の側にいると安心出来るんです。これを好きと言っていいのか、分かりませんが……。でもこれだけは言えます。これからも一緒に居たいんです。出来る事なら、離婚届、出したくないんです……」
どこか肩を落としていたようだったが、私が「離婚届を出したくない」と呟いた時、呆気に取られていたようだった。
料理を温め直している間、つい顔が緩んでしまいそうになって、何度も首を振る。
(ううん。先生は優しいから、気を遣って言ってくれただけだよね)
自分に言い聞かせている内に二人分の料理が温め終わったので、テーブルに運んだのだった。
温め直した料理を並べていると、ラフなシャツ姿に着替えた若佐先生がやって来た。普段、きっちりスーツを着こなした若佐先生の姿しか見ていないからか、滅多に見られないラフな格好に妙に意識してしまう。
そんな私の様子に気づいているのかいないのか、若佐先生は席に着くと「美味しそうですね」とそっと口を開く。
私も向かいの席に座ると、一緒に食べ始めたのだった。
しばらくは無言で食べていたが、やがて若佐先生が「小春さん」と話しかけてくる。
「昨日の話ですが……。私に恩を返して、夫婦らしい事をしたいと言う事でしたね」
「はい。そうです」
「私もあの後考えました。恩については契約結婚をして、家事をやっていただいているので、これ以上、望む事は何もありません。貴女の食事をこうして食べられるだけで満足です」
「そうなんですか……!?」
私の言葉に若佐先生は頷く。出来ないながらも家事をやっていた甲斐があったと分かり、そっと安堵する。
「それで、残りの夫婦らしい事ですが……。何をしたらいいのか、私には皆目検討がつきません。小春さんはどうしたいですか?」
珍しく若佐先生から尋ねられたので、手を止めるとそっと口を開く。
「ここにいる間だけでいいんです。夫婦らしく、二人の時間を過ごせませんか。今みたいに一緒に食事をしたり、スーパーマーケットに買い物に行ったり、セントラルパークを散策したり、本当に些細な事でいいんです。心残りなく、これから別々の道を歩いていけるように……思い出作りと言えばいいのでしょうか」
若佐先生が怪訝そうな顔をしたので、私は慌てて言葉を付け加える。
「勿論、私の事が嫌いなら、日本に帰国した後、すぐ離婚届を区役所に出します」
「貴女の事は嫌いじゃありませんよ」
「そうだったんですか?」
それならどうして離婚届を送ってきたのだろうか。ますます、疑問が募る。
「小春さんこそ、どうなんですか。私の事を……」
「私も若佐先生の事、嫌いじゃありません」
「それなら、好きですか」
「ふえっ!?」
急に真顔で尋ねられたので、素っ頓狂な声を上げてしまう。
「す、好きかと聞かれると、その……若佐先生はとても魅力的ですし、知的で、頼りになって、私には勿体ないくらいに素敵な男性です。弁護士としても優れていて……かっこいいお兄さんだと思っています」
「そうですか……」
「一番は若佐先生の側にいると安心出来るんです。これを好きと言っていいのか、分かりませんが……。でもこれだけは言えます。これからも一緒に居たいんです。出来る事なら、離婚届、出したくないんです……」
どこか肩を落としていたようだったが、私が「離婚届を出したくない」と呟いた時、呆気に取られていたようだった。
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