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副官の戯れ言
しおりを挟む椿が団員の魔力量を増やしてる裏で――――
「……おい。」
「……なんですか?」
「本当に5分も抱きつく必要があんのか?」
「私が実験させて貰った時は、4分くらいから魔力がこう…ぐわーーと来たので5分くらいが妥当だと思いますよ?」
「……ちっ」
どうも、ランゲ騎士団の副官アスランです。
今現在、我が団はランゲ団長の美人な奥様に後ろから抱きついてもらうというご褒美イベントの真っ最中です。
私も一番に体験……いや、実験に参加させてもらいましたが、なんかもうほんと……最高‼︎の一言でした。
特におっ……胸部が背中にぽよよんと当たるのがなんとも素晴らしい。
まぁ、隣にいる団長は気温-20度みたいな顔してるのですが。
溺愛する奥様が他所の男たちに抱きついてるんですから、しょうがないんですけどね。
でも、奥様と接触してから魔力が増えたのはもちろん手足のようにコントロールできるようになったのには驚きました。
ランゲ団長なんてこの国で唯一雷魔法を使える方ですが、今までは剣に纏わせるか、魔力全乗せで一直線に撃ち抜くしかできなかったのに、今雷様みたいになってますからね……。
私も炎魔法は手に纏わせて直接触れて攻撃する方法しか知らなかったのですが、今は投げたり、円盤状に形作ったりできるようになって、なんかもう俺TSUEEEE状態です。
「おい……あいつ勃ってねえか?殺してくる。」
あれは……キングオブ童貞のサムエル‼︎
色々思い出していたら、いつの間にかサムエルに死亡フラグが立っていたので慌てて団長を止めます。
彼を童貞のまま逝かすわけにはいかない。
うちの団は団長を見て分かるようにゴリゴリのゴリラしかいないのでデフォルトでモテません。
レオーン団長のところは弱いですが、担当が王宮警護なので華やかでスタイリッシュです。
合コンでも入れ食い状態だと聞きました。クソが。
ヴォルフ団長のところは、インテリっぽい感じで市中警らももちろんしますが事務仕事が多いです。
優男の細マッチョ系でやっぱり結構モテるらしいです。クソが。
結局何が言いたいかと言うと……筋肉にまみれてろくに女の子との接触がないランゲ騎士団員は、後ろから可愛い子に抱擁されたら勃っても仕方がないということです‼︎
それから一週間……
毎朝訓練前に団長の奥様の幸せ抱擁タイムがあり、魔力量が桁違いになりました。
抱擁だけでこんなに上がるなら、団長の魔力は今魔王レベルになってるんじゃ……とちょっと身震いしましたが、まぁ考えないことにしましょう。
抱擁の後は差し入れ食べて、ふわふわ幸せ気分に浸ったところで訓練開始。たまに鬼(団長)に死ぬほどしごきまわされたりしながら、とうとう……決戦の日です。
朝から体中ビリビリ痺れるような氷河竜の咆哮が国中に響き渡り、警告を知らせる鐘が各所で打ち鳴らされています。
市民は事前に通達されていた通り、建物の中に閉じ籠り、街中人っこ一人いない異様な光景に、私は柄にもなく緊張で唾を飲みました。
「お前ら行くぞ。気合い入れろ。陣形は崩すな。あと絶対に撃ち漏らすな。」
「「「応‼︎‼︎」」」
団長は静かにそう言うと、魔力抑止の腕輪を外します。
我々もそれに倣って腕輪を外すと、身体中の血と魔力が激ってくるのが分かりました。
こういう時、やはり自分もランゲ団長の部下だなぁと実感します。
血湧き肉躍る戦いの場こそ自分を最高に高揚させる。
さぁ、いよいよ決戦です。
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