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交際1ヶ月と1日 ノスノ山へ出発です
しおりを挟む「おぅ、昨日は大変だったらしいな」
朝眠い目を擦り、出勤するとニヤニヤと明らかに面白がっているリオーネが行儀悪く机に両足を上げ椅子に座っている。
「まぁ…自分で蒔いた種なんで……」
「そーだよなー、プライベートなことで部下に迷惑かけるとかほんと示しがつかんよなー」
「ぐっ……(正論すぎて言い返せない。)」
「アルク、お前バツとして今からノスノ山脈に行って、スノードラゴン退治な。」
「へっ?」
「1人でな。」
「いやいやいや、ちょっと待ってくださいって。
なんで急にスノードラゴンなんすか。
しかも1人って……
スノードラゴンって全長50㍍くらいあるんすよ?」
「えっ、前も1人で余裕そうに倒してたじゃん。
今回もそれで。じゃあ、よろしく。
あっ、角は持ち帰れよ。」
「……っ!!」
もう話しは終わり。と言わんばかりにリオーネは顔にタオルを掛けて寝始める。
すぐにぐーぐーとイビキまでかいてやがる
(なんて自分勝手なヤローだ!!リオーネめ!!
仕事しろ、この白豹野郎っ!!)
心のなかであらん限りの文句を言いつつも、昔からリオーネにはなぜか逆らえない。
しょうがないのですぐ家に帰って荷物を纏めた。
なんせノスノ山脈は、行って帰ってくるだけで1ヶ月かかるのだ。
それに、ポーラールにはリオーネに逆らえないもう一つの理由がある。
普通ならどう考えても叶うことがないであろう、妹の恋路を叶えてくれたからだ。
ポーラールの妹は上位貴族の青年と恋に落ちたが、身分差があり過ぎて結婚など夢のまた夢だった。
リオーネが後ろ盾になってくれたおかげで結婚の許可が貰えたのだ。
貴族の持参金は平民にとって莫大な金だ。
なのでここ2年家族一丸となって金をかき集めてきた。
ちなみにリオーネは上位貴族だが人に貸せるような金はない。
給料が入るとその日に賭場に行き、ほとんど擦って帰ってくる。
元々持参金まで世話になるつもりはなかったので別にいいのだが。
借金まではしていないようだし本人はそれで満足しているので、ポーラールが口を出すことではないと思っている。
話が逸れたが、そんなわけでノスノ山脈に出発である。
行く前にシーナの家に寄って謝ろうと思ったのだが生憎の留守だった。
恐らく勤務日なのだろう。
誰かに伝言を頼みたくてもこういう時に限って見回りの騎士も見あたらない。
(まぁ、帰ってからでも大丈夫か……。)
そうしてポーラールは1人、極寒の山ノスノ山脈に向け、出発したのであった―――
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