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しおりを挟むアーシュの口から、ため息のような感嘆の声が漏れた。
「……仰せのままに、我が主よ……」
指でふっくらとした花びらを押し開かれて、ぬるりとした生温かな舌が生き物のように陰唇のあわいを這った。
蜜の味を楽しむように、ゆっくりと舐め上げる。
「はっあぁ……あァァ……っ!」
ぴちゃぴちゃとはしたない水音をたて、そこがどれほど濡れていたかをミチカに思い知らせた。
見せるだけでも恥ずかしいと言うのに、舌で舐められるなんて。
こんな行為のことは夜伽の指南書にはどこにも書いていなかった。
こんな快楽が、この世にあるなんて。
想像を上回る羞恥と快感に、ミチカは涙を降りこぼし背をしならせる。
しかし一度差し出してしまったものを引っ込めることはできない。太ももの間にはアーシュの頭があり、脚を閉じることは叶わなかった。
「あぁっ、こんな……ッ」
本を読んだだけでは到底分かるはずはなかった。
「美味い……こんな甘美な魔素は初めてだ……。主の焦らしテクはなかなかのものだったが、これならば、もったいつけたくなるのも当然だ」
「ひうっ、はァ、アンッ、そこで……アッ、ひゃぅぅっ、しゃべらないでぇっ!」
喋るたびにアーシュの温かい息が、唇が、淫核をかすめる。わざとなのか、偶然なのか、アーシュの舌はそこには触れず、蜜口や淫唇の内側をちろちろと舐めてばかりいる。
「もっと欲しいのか?」
「あっ、あっ、あっ……!」
ぷるぷるとミチカは首を振る。
これ以上気持ち良くされたら、どうなってしまうかわからない。けれど、そこに触れてほしくて腰が淫らにも浮いてしまうのを止められなかった。
アーシュは快楽の芯に触れそうになるとさっと避けてしまい、いつまで経っても得られないもどかしさに、気がおかしくなりそうになる。
「主よ……、この下賤の豚に遠慮など無用だ。望みを言ってくれ。私に命令を、さあ。もっと舐めて気持ち良くしろ、と、言え」
私はおまえのものなのだから、とアーシュは囁いた。
おねだりしろと言われているようで、ミチカは懊悩した。
しかし急かすように、つん、と舌で淫芽を突かれて、その理性はあふれる涙と一緒に溶けて流れてしまった。
「ああぁっ……もっ、と、もっとして……! 気持ち良く、して……くだ、さい……っもっと……!」
望めばそれはすぐさま叶えられた。
快楽にもっとも敏感な淫芽が、アーシュの舌でねろねろと捏ねられる。
「ふあぁぁっ! ぁあんっ、やぅ、なにこれっんうぅ、はぁっ……あっ、もうっ……アーシュっ! よ、すぎて……へんになるっ」
快楽に不慣れなミチカは、あまりに強すぎる刺激に耐えきれず両手でアーシュの頭を押しやろうとしたが、びくともしない。
それどころか、意趣返しのようにちゅうぅっと淫芽を吸い上げられ、声にならない声で鳴いた。
内側から蜜がとろとろと溢れ出て、尻まで滴っていく。
「~~~~~~~ぃッ!」
ぬぷり、と指が挿入(はい)ってくる。
濡れそぼって綻んだ密やかな孔は恥ずかしい水音を立てながら抵抗なく飲み込んでいった。
「ひゃぁ! ゆびが、や、やめ、ぇ、んんぅぅっ」
そのままヌプヌプと奥まで差し込まれ、ミチカは逆手でシーツをたぐり寄せた。
長い指はゆっくりと引き抜かれ、そしてまた深く入れられる。痛くはない。ゆったりとした動きは、じれったいほど優しかった。
「あんっ、あぁ、はぁん……っ」
抽挿されているうちにじんじんと甘く疼き出し、恥ずかしい声が止まらなくなる。
圧迫感が増し、指が増やされたことを感じる。が、丹念に解されたそこは痛みもなく、淫らな快感だけが加速していった。
アーシュはミチカ本人よりも彼女の身体を知り尽くしているようだった。官能を操り意思を奪う、そんな得体の知れない恐ろしさがあった。
ミチカは、舌で淫芽をいたぶられながら処女孔を蹂躙され、快感の波に飲まれ溺れていく。
「あぁぁ、はぁっ、はぅぅ、も、もう許して……っあぁ……きもち、いぃっ、あぁ、いやぁ……っ」
未知の快楽は恐怖だ。のぼり詰めたその先に何があるのか、ミチカには分からなかった。
「あぁんっ……はンッ、アァッ! あァ! あぁァァッ……アーシュッ! いやぁぁッ……」
「達(イ)け」
ずぷっ、とアーシュの指が淫壁のある一点を強く押した。
「あああぁぁぁっ…………!」
ビクンッ! と腰を突き上げたまま、ミチカは絶頂に舌を震わせた。
快感で脳まで痺れるような感覚に思考が止まった。
はあはあと荒く繰り返される呼吸は自分のものなのか、それすら分からなくなる。
ミチカの身体はくったりとシーツの海に沈んだ。
「はあぁ………………」
初めての絶頂だった。
(こ、これが達くということなのね……女も、そうなるのね……。こんなことも指南書には書いていなかったわ。あの役立たずの本……)
夜伽の指南書は母から娘へと、クリーム家に代々受け継がれてきた本だったが、帰ったらさっさと捨てようとミチカは思った。
「見事なイキ顔であったぞ、主」
そして厄介なのはこの使い魔である。
自分に使いこなせるのだろうか?
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