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第1章 北条家騒動
戦い方と水の飲み方
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「うわあああああっ」
突然、どこからか叫び声が聞こえてきた。
「そこを動かないで!」
「!?」
咄嗟に身構えるユノウに対し、凍りつく辰巳。
物音や気配から、明らかに何かが近づいてきていることがわかる。
「……あれかな?」
ユノウは木々の間から、着物のような服を着た人、そしてそれを追うように走る大型の鳥らしきものの姿を確認した。
それらは辰巳たちの方へ向かっており、このままいけばあと四〇秒ほどで接触することになる。
「やるしかないか」
ユノウ一人であれば逃げるという選択肢もあったが、追われている人と辰巳がいる状況では、戦う以外に選択肢はなかった。
一応腕には自信があったが、地球での生活が長かったこともあり、本格的な戦闘は恐ろしく久々のことになる。
「ふぅ……」
ユノウは小さく息を吐くと、右手に魔力を込め始め、そのまま大きく振りかぶるや、野球のアンダースローを彷彿とさせるフォームでソフトボール大の水球を解き放った。
時速一五〇キロのスピードで放たれた水球は、地を這うかのような低さで鳥へと向かっていく。そして至近距離まで接近するや、急に浮き上がったかと思うと、そのままボクシングのアッパーカットのように鳥の腹部を直撃。悲鳴のような声を上げながら鳥はその場に倒れ込んだ。
「ヨッシャー!」
まるでピンチを凌いだ投手かのように、ユノウは雄叫びを上げた。
「すげぇ……」
辰巳は完全に呆気にとられていた。
「はぁ……はぁ……あ、ありがとうございます……助かりました」
息を切らせながら、鳥に追われていた人は深々と頭を下げた。
その人は髪の毛をサイドでひとつにまとめ、大きな目元とキリっとした眉が特徴的なはっきりとした顔立ちをし、黄緑色の半着と赤茶色の野袴に身を包んでいる。年齢は一四、五歳といったところ。
そして何かを採りに来ていたのか、大きな籠を背負っていた。
「気にしないで。それより、怪我とか大丈夫?」
興奮していたせいか、ユノウは少し早口になっていた。
「はぁ……はぁ……だ、大丈夫です」
「はい、これ水だから飲んで」
ユノウはレッグポーチから五〇〇ミリリットルサイズのペットボトルの水を取り出すと、それを手渡した。
「ありがとうございます。……びみのみず?」
初めてペットボトルを見たのか、不思議そうな表情で見まわした後、キャップの部分を持つと、そのまま上に開けようとした。
「うーん、うーん……開かない」
当然のことながら、そのやり方でキャップが開くはずもなく、今度は口を使って開けてみることにした。
「ごめんごめん、開け方わかんないよね。ちょっと貸して」
ユノウはペットボトルを受け取ると、開け方を教える意味も込めて、少しゆっくりとした動作でキャップを外した。
「はい、これで飲めるから」
「いただきます」
ユノウからペットボトルを受け取るや、勢いよく水を飲み始めた。
「ぷはっ。おいしい! この水、どこで汲んできたんですか?」
よほどのどが渇いていたのか、一気に半分以上の水を飲み干していた。
「え? うーんと……ここから、ずっと遠くにある沢」
さすがにコンビニで買ったとは言えないので、ユノウは適当にそれっぽいことを言って誤魔化した。
「……そうですか。近くなら、この水を料理に使おうと思ったんですけど……」
「料理好きなの?」
「はい。あ、まだ名前を言っていませんでしたね。私、夏といいます」
「あたしは冒険者のユノウ。で、こちらは……旅芸人の辰巳さん」
ユノウは辰巳のことをどう紹介すべきか一瞬迷ったが、一番誤魔化しやすそうだという理由で、“旅芸人”を選択し、辰巳もその紹介の仕方を受け入れた。
「どうも、旅芸人の二ぎ……」
辰巳が名前を言い始めた瞬間、ユノウは着物の袖を引っ張り、そのまま耳元に顔を近づけた。
「ストップ。芸名とはいえ、知らない場所でフルネームは言わない方がいいです。苗字は貴族だけが名乗れるとか、国や地域によってルールや習慣なんかが色々と異なるので、不用意に名乗るのはリスキーです。だから、名前だけにしておいてください」
辰巳はうなずくと、自己紹介をやり直した。
「……旅芸人の辰巳です」
軽くお辞儀をしたところで、辰巳のお腹が空腹の合図を出した。
「……あの、私の家飯屋をやっているんですけど、良かったらうちに来ませんか? お礼にごちそうしますので」
辰巳とユノウは確認するようにお互いの顔を見合わせると、夏に返答した。
「「行きます」」
「じゃあ、ついて来てください」
「ちょっと待って。その前に、あれを持っていくから」
ユノウは鳥が倒れた場所を指差した。
「いいですよ」
夏がうなずくと、三人はその場所へ向かって歩き出した。
突然、どこからか叫び声が聞こえてきた。
「そこを動かないで!」
「!?」
咄嗟に身構えるユノウに対し、凍りつく辰巳。
物音や気配から、明らかに何かが近づいてきていることがわかる。
「……あれかな?」
ユノウは木々の間から、着物のような服を着た人、そしてそれを追うように走る大型の鳥らしきものの姿を確認した。
それらは辰巳たちの方へ向かっており、このままいけばあと四〇秒ほどで接触することになる。
「やるしかないか」
ユノウ一人であれば逃げるという選択肢もあったが、追われている人と辰巳がいる状況では、戦う以外に選択肢はなかった。
一応腕には自信があったが、地球での生活が長かったこともあり、本格的な戦闘は恐ろしく久々のことになる。
「ふぅ……」
ユノウは小さく息を吐くと、右手に魔力を込め始め、そのまま大きく振りかぶるや、野球のアンダースローを彷彿とさせるフォームでソフトボール大の水球を解き放った。
時速一五〇キロのスピードで放たれた水球は、地を這うかのような低さで鳥へと向かっていく。そして至近距離まで接近するや、急に浮き上がったかと思うと、そのままボクシングのアッパーカットのように鳥の腹部を直撃。悲鳴のような声を上げながら鳥はその場に倒れ込んだ。
「ヨッシャー!」
まるでピンチを凌いだ投手かのように、ユノウは雄叫びを上げた。
「すげぇ……」
辰巳は完全に呆気にとられていた。
「はぁ……はぁ……あ、ありがとうございます……助かりました」
息を切らせながら、鳥に追われていた人は深々と頭を下げた。
その人は髪の毛をサイドでひとつにまとめ、大きな目元とキリっとした眉が特徴的なはっきりとした顔立ちをし、黄緑色の半着と赤茶色の野袴に身を包んでいる。年齢は一四、五歳といったところ。
そして何かを採りに来ていたのか、大きな籠を背負っていた。
「気にしないで。それより、怪我とか大丈夫?」
興奮していたせいか、ユノウは少し早口になっていた。
「はぁ……はぁ……だ、大丈夫です」
「はい、これ水だから飲んで」
ユノウはレッグポーチから五〇〇ミリリットルサイズのペットボトルの水を取り出すと、それを手渡した。
「ありがとうございます。……びみのみず?」
初めてペットボトルを見たのか、不思議そうな表情で見まわした後、キャップの部分を持つと、そのまま上に開けようとした。
「うーん、うーん……開かない」
当然のことながら、そのやり方でキャップが開くはずもなく、今度は口を使って開けてみることにした。
「ごめんごめん、開け方わかんないよね。ちょっと貸して」
ユノウはペットボトルを受け取ると、開け方を教える意味も込めて、少しゆっくりとした動作でキャップを外した。
「はい、これで飲めるから」
「いただきます」
ユノウからペットボトルを受け取るや、勢いよく水を飲み始めた。
「ぷはっ。おいしい! この水、どこで汲んできたんですか?」
よほどのどが渇いていたのか、一気に半分以上の水を飲み干していた。
「え? うーんと……ここから、ずっと遠くにある沢」
さすがにコンビニで買ったとは言えないので、ユノウは適当にそれっぽいことを言って誤魔化した。
「……そうですか。近くなら、この水を料理に使おうと思ったんですけど……」
「料理好きなの?」
「はい。あ、まだ名前を言っていませんでしたね。私、夏といいます」
「あたしは冒険者のユノウ。で、こちらは……旅芸人の辰巳さん」
ユノウは辰巳のことをどう紹介すべきか一瞬迷ったが、一番誤魔化しやすそうだという理由で、“旅芸人”を選択し、辰巳もその紹介の仕方を受け入れた。
「どうも、旅芸人の二ぎ……」
辰巳が名前を言い始めた瞬間、ユノウは着物の袖を引っ張り、そのまま耳元に顔を近づけた。
「ストップ。芸名とはいえ、知らない場所でフルネームは言わない方がいいです。苗字は貴族だけが名乗れるとか、国や地域によってルールや習慣なんかが色々と異なるので、不用意に名乗るのはリスキーです。だから、名前だけにしておいてください」
辰巳はうなずくと、自己紹介をやり直した。
「……旅芸人の辰巳です」
軽くお辞儀をしたところで、辰巳のお腹が空腹の合図を出した。
「……あの、私の家飯屋をやっているんですけど、良かったらうちに来ませんか? お礼にごちそうしますので」
辰巳とユノウは確認するようにお互いの顔を見合わせると、夏に返答した。
「「行きます」」
「じゃあ、ついて来てください」
「ちょっと待って。その前に、あれを持っていくから」
ユノウは鳥が倒れた場所を指差した。
「いいですよ」
夏がうなずくと、三人はその場所へ向かって歩き出した。
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