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第1章 北条家騒動
護衛三様
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「!?」
矢は、忍者が監視場所に選んでいた木の枝に突き刺さった。
「くそっ、バレたか。……こうなってはやむを得んな」
忍者は口笛を吹くと木を飛び降り、辰巳たちに向かって駆け出した。
そしてそれを合図に、周囲から仲間の忍者たちが飛び出し、さらに魔法や手裏剣などの攻撃が辰巳たちに向かって放たれ始める。
「来るぞっ!」
照之進は、向かってくる忍者たちに向かって連続で矢を放っていく。
「♪近づく悪魔よ、お呼びじゃないわ。この者たちから離れなさい」
ワミは、まるでシャンソンを歌うかのように言葉を奏でながら、辰巳たちの周囲に強固な光の壁を形成し、さらに襲ってくる忍者たちに対して電撃魔法をお見舞いした。
ちなみに歌っているのは気分を高めるためで、歌詞も呪文の類ではなく、ほとんどがその場の思いつきである。
「行くぞっ! うおりゃああああああ!」
「ワンワンワン!」
桃太郎と阿修羅は、放たれる攻撃をものともせず、忍者たちに向かって果敢に攻撃をしかけていた。
「きれいな歌声」
激しい戦いをよそに、夏はワミの歌声に聞き入っている。
同じように、辰巳も歌声に聞き惚れていた。
「すごい、引き込まれるような歌唱力だ。襲われている恐怖とか、そういうのが全部吹っ飛んじゃうな」
歌唱力のすごさもさることながら、ワミの歌には、聞いてる人の心を落ち着かせたり、リラックスさせる効果があるようで、眼前で戦いが行われているにも関わらず、二人ともびっくりするくらい落ち着いていた。
いずれにせよ、照之進・ワミ・桃太郎による三重の防御陣の前に、忍者たちによる襲撃計画は、失敗へ向けて勢いよく坂を転がり始めていた。
「クソッ、なんてザマだ。……退くしかないな」
忍者は多数の仲間が倒されていくのを見て、苦虫を噛み潰したような顔をしながら撤退を決意。口笛で合図をすると、仲間の忍者たちとともに姿を消した。
「凌いだか?」
照之進は周囲を見渡し、忍者たちがいないことを確認した。
同様にワミも魔法で周囲の状況を確認し、危険が去ったと判断できたところで、二人を守っていた光の壁を消した。
「もう大丈夫よ。襲ってきた連中は、どこかへ行ってしまったから」
ちなみに、メンタルへの配慮から、忍者たちの亡骸などは、できる限り二人の目に入らないよう、適宜ワミが魔法で処理していた。
「ありがとうございます。それと、とっても良い歌でした」
夏はお礼とともに感想を述べた。
「お気に召していただけたようで、なによりです。次は是非、音楽と一緒に歌を聞いてもらいたいですね」
ワミはいたずらっぽい目で辰巳を見た。
「えぇっと……次はそういうのも切っておきます」
「フフッ、楽しみにしてるわ」
「……あ、照之進さんもありがとうございました」
「うむ。そうだ、貴公にひとつ忠告しておくことがあった。先刻、視線を感じたから拙者を呼んだと申していたが、護衛役の対応としてそれは遅すぎる。もし、視線より先に賊が襲いかかってきたら、貴公はどうするつもりだった」
照之進は少し強めの口調で、辰巳の認識の甘さを咎めた。
「……」
辰巳は何も答えられず、そのままうつむいてしまった。
「いついかなる時に襲われたとしても、対象者を守り切るのが護衛の務めだ。それを、忘れぬようにな」
「……はい、すいませんでした」
「呼び出した面々を見るに、貴公が高い能力を有していることはわかる。だが、どんなに高い能力を有していたとしても、状況に合わせて正しく使うことができねば、宝の持ち腐れだ。そこに気をつければ、貴公は将来大人物になれるだろう」
「はい、以後気をつけます」
まるで師匠に説教されたかのように、辰巳は姿勢を正して頭を下げた。
「では、行くとしようか。目的の場所まで安全に送り届けるのも、護衛の務めだからな」
「よろしくお願いします」
辰巳と夏を中心に、三人と一匹がその周囲を固めるという万全な護衛態勢のもと、河越への帰路につく。
そしてこの時、襲ってきたのとは別の忍者が一部始終を見届けていたのだが、夏はもちろん、辰巳もそのことに気がつくことはなかった。
矢は、忍者が監視場所に選んでいた木の枝に突き刺さった。
「くそっ、バレたか。……こうなってはやむを得んな」
忍者は口笛を吹くと木を飛び降り、辰巳たちに向かって駆け出した。
そしてそれを合図に、周囲から仲間の忍者たちが飛び出し、さらに魔法や手裏剣などの攻撃が辰巳たちに向かって放たれ始める。
「来るぞっ!」
照之進は、向かってくる忍者たちに向かって連続で矢を放っていく。
「♪近づく悪魔よ、お呼びじゃないわ。この者たちから離れなさい」
ワミは、まるでシャンソンを歌うかのように言葉を奏でながら、辰巳たちの周囲に強固な光の壁を形成し、さらに襲ってくる忍者たちに対して電撃魔法をお見舞いした。
ちなみに歌っているのは気分を高めるためで、歌詞も呪文の類ではなく、ほとんどがその場の思いつきである。
「行くぞっ! うおりゃああああああ!」
「ワンワンワン!」
桃太郎と阿修羅は、放たれる攻撃をものともせず、忍者たちに向かって果敢に攻撃をしかけていた。
「きれいな歌声」
激しい戦いをよそに、夏はワミの歌声に聞き入っている。
同じように、辰巳も歌声に聞き惚れていた。
「すごい、引き込まれるような歌唱力だ。襲われている恐怖とか、そういうのが全部吹っ飛んじゃうな」
歌唱力のすごさもさることながら、ワミの歌には、聞いてる人の心を落ち着かせたり、リラックスさせる効果があるようで、眼前で戦いが行われているにも関わらず、二人ともびっくりするくらい落ち着いていた。
いずれにせよ、照之進・ワミ・桃太郎による三重の防御陣の前に、忍者たちによる襲撃計画は、失敗へ向けて勢いよく坂を転がり始めていた。
「クソッ、なんてザマだ。……退くしかないな」
忍者は多数の仲間が倒されていくのを見て、苦虫を噛み潰したような顔をしながら撤退を決意。口笛で合図をすると、仲間の忍者たちとともに姿を消した。
「凌いだか?」
照之進は周囲を見渡し、忍者たちがいないことを確認した。
同様にワミも魔法で周囲の状況を確認し、危険が去ったと判断できたところで、二人を守っていた光の壁を消した。
「もう大丈夫よ。襲ってきた連中は、どこかへ行ってしまったから」
ちなみに、メンタルへの配慮から、忍者たちの亡骸などは、できる限り二人の目に入らないよう、適宜ワミが魔法で処理していた。
「ありがとうございます。それと、とっても良い歌でした」
夏はお礼とともに感想を述べた。
「お気に召していただけたようで、なによりです。次は是非、音楽と一緒に歌を聞いてもらいたいですね」
ワミはいたずらっぽい目で辰巳を見た。
「えぇっと……次はそういうのも切っておきます」
「フフッ、楽しみにしてるわ」
「……あ、照之進さんもありがとうございました」
「うむ。そうだ、貴公にひとつ忠告しておくことがあった。先刻、視線を感じたから拙者を呼んだと申していたが、護衛役の対応としてそれは遅すぎる。もし、視線より先に賊が襲いかかってきたら、貴公はどうするつもりだった」
照之進は少し強めの口調で、辰巳の認識の甘さを咎めた。
「……」
辰巳は何も答えられず、そのままうつむいてしまった。
「いついかなる時に襲われたとしても、対象者を守り切るのが護衛の務めだ。それを、忘れぬようにな」
「……はい、すいませんでした」
「呼び出した面々を見るに、貴公が高い能力を有していることはわかる。だが、どんなに高い能力を有していたとしても、状況に合わせて正しく使うことができねば、宝の持ち腐れだ。そこに気をつければ、貴公は将来大人物になれるだろう」
「はい、以後気をつけます」
まるで師匠に説教されたかのように、辰巳は姿勢を正して頭を下げた。
「では、行くとしようか。目的の場所まで安全に送り届けるのも、護衛の務めだからな」
「よろしくお願いします」
辰巳と夏を中心に、三人と一匹がその周囲を固めるという万全な護衛態勢のもと、河越への帰路につく。
そしてこの時、襲ってきたのとは別の忍者が一部始終を見届けていたのだが、夏はもちろん、辰巳もそのことに気がつくことはなかった。
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