紙切り道中異世界見聞録

いんじんリュウキ

文字の大きさ
61 / 86
第2章 北条家戦争

空飛ぶ敵を撃つ専門家

しおりを挟む
 食事を食べ終えた後、空飛ぶ敵を撃つ専門家と会うために辰巳たち四人は、氏元やその家臣などと一緒に屋敷の外へ出ていた。

「空飛ぶ敵を撃つ専門家とお会いになるとのことでございますが、一体どこからやって来るのでありましょうか?」

 氏元は不思議そうな表情で吉右衛門に尋ねた。

「やって来るというよりも、現れるといった感じであろうな。いずれにせよ、待っておればじきにわかる」

 吉右衛門が期待しながら見つめる先では、辰巳とユノウが何を切るか相談していた。

「やっぱジェット戦闘機かな」

 辰巳は過去に切ったことがあるジェット戦闘機を第一候補として挙げたが、ユノウは首を横に振る。

「いや、戦闘機は使えないですよ」

「え、どうして?」

「ここには滑走路になりそうな場所がないからです。滑走路がなきゃ、飛行機は飛べませんからね」

「じゃあ、戦闘ヘリ?」

 だが、これに対してもユノウは首を横に振る。

「基本的に軍用ヘリは対地や対潜といった下にいる敵と戦うのが主で、空中にいる敵と戦ったりはしません」

「じゃあ、何を切ったらいいの?」

「自走式対空砲です」

「自走式対空砲?」

 なんとなく名前からどういうものかは理解できたが、具体的な姿はイメージできなかった。

「やっぱ知らないですよね。ちょっと待ってください、今写真見せますから」

 ユノウはレッグポーチからスマートフォンを取り出すと、保存してあった自走式対空砲の写真を辰巳に見せた。

「これがそうなんだ。……なんか、戦車の変型版みたいだな」

 写真に写っていた自走式対空砲は、戦車のようにキャタピラと砲塔があったが、砲弾を放つための長い砲身はなく、代わりに機関砲と対空ミサイル、そしてレーダーが搭載されていた。

「形自体は結構シンプルだと思うんですけど、切れますよね?」

 ユノウは一応確認したが、辰巳の答えはひとつしかない。

「当たり前だろ。野暮なこと聞くなって」

「ですよね」

「……まぁ、万全を期すためにこれを見ながら切るけどね」

 辰巳は紙とはさみを取り出して、早速形を切り始める。

「けど、よくこんなマニアックな写真持ってたな」

「昔、軍オタの知り合いと飲んだ時に、対空戦の話題になって、流れでこの写真をもらったんですよ」

「対空戦? 俺、生まれてこの方、そんな話したことないよ……あ、ここはこうか」

 完全に初耳のものを切っているので、普段のように手際よくというわけにはいかない。

「……こんなものかな」

 それでも見本があったのは大きく、辰巳は見事に自走式対空砲を切り上げた。

「さすがですね」

「じゃ、出そう。出でよ、自走式対空砲」

 右手に持った紙がまばゆく光り、二門の三〇ミリ機関砲に、八基の地対空ミサイルや各種レーダーを搭載した自走式対空砲が辰巳たちの眼前に姿を現したのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

アラフォー幼女は異世界で大魔女を目指します

梅丸みかん
ファンタジー
第一章:長期休暇をとったアラフォー独身のミカは、登山へ行くと別の世界へ紛れ込んでしまう。その場所は、森の中にそびえる不思議な塔の一室だった。元の世界には戻れないし、手にしたゼリーを口にすれば、身体はなんと6歳の子どもに――。 ミカが封印の箱を開けると、そこから出てきたのは呪いによって人形にされた大魔女だった。その人形に「大魔女の素質がある」と告げられたミカは、どうせ元の世界に戻れないなら、大魔女を目指すことを決心する。 だが、人形師匠はとんでもなく自由すぎる。ミカは師匠に翻弄されまくるのだった。 第二章:巷で流れる大魔女の遺産の噂。その裏にある帝國の侵略の懸念。ミカは次第にその渦に巻き込まれていく。 第三章:異世界で唯一の友人ルカが消えた。その裏には保護部屋の存在が関わっていることが示唆され、ミカは潜入捜査に挑むことになるのだった。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

若返ったオバさんは異世界でもうどん職人になりました

mabu
ファンタジー
聖女召喚に巻き込まれた普通のオバさんが無能なスキルと判断され追放されるが国から貰ったお金と隠されたスキルでお店を開き気ままにのんびりお気楽生活をしていくお話。 なるべく1日1話進めていたのですが仕事で不規則な時間になったり投稿も不規則になり週1や月1になるかもしれません。 不定期投稿になりますが宜しくお願いします🙇 感想、ご指摘もありがとうございます。 なるべく修正など対応していきたいと思っていますが皆様の広い心でスルーして頂きたくお願い致します。 読み進めて不快になる場合は履歴削除をして頂けると有り難いです。 お返事は何方様に対しても控えさせて頂きますのでご了承下さいます様、お願い致します。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

処理中です...