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第2章 北条家戦争
対照的な進軍
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「……ユノウ、妖怪たちは変わらずこちらに向けて進軍中、距離五キロ」
「わかりました。じゃあ、飛んでる妖怪たちに向かってミサイルを叩き込んでください」
辰巳からの報告を聞いたユノウは、いよいよ戦闘開始の合図を出した。
「わかった、知久さんに伝えるよ」
ユノウとの通話を終えた辰巳は、大きく息を吐いてから三郎に話しかけた。
「知久さん、ユノウから攻撃の指示が出ました。妖怪たちに向かってミサイルを発射してください」
「了解しました」
三郎はすぐに発射態勢を整えると、八発の対空ミサイルを発射。数秒の装填時間を経て、再度八発のミサイルを発射するといった具合に、次々とミサイルを発射していく。
そして数分と経たずして、三郎のレーダーから妖怪を示す反応はすべて消え去った。
「レーダーに反応なし。すべて撃墜しました」
とんでもない戦果であるのだが、三郎はこれまで同様淡々と報告した。
「ご苦労様です。……ユノウ、応答してください、ユノウ……」
辰巳は敬礼しながら三郎に労いの言葉をかけると、そのままユノウに連絡する。
「……はい」
「飛んでる妖怪はすべて撃墜したよ」
「わかりました。引き続き上空警戒をお願いします。それと、ワミさんに偵察をお願いしてください。今なら護衛を外れても大丈夫だと思うので」
「わかった。……ワミさん、ユノウが偵察に行ってきて欲しいって」
「わかりました。では、行ってまいります」
ワミは手に持っていた杖をほうきに変化させると、それに軽く腰かけて優雅に飛んでいった。
「さぁて、どこにいるのかしらねぇ……」
ワミは、上品なデザインのオペラグラスを覗き込みながら街道を東進。ほどなくして、江戸からの軍勢を発見した。
「あ、あれね」
ワミは必要以上に近づくことはせず、円を描くように周囲を飛びながら、遠巻きに様子をうかがっている
「牛車のようなものに、骸骨の馬に乗ったもの、諸々合わせて三〇〇〇くらいかしらね」
ワミは大まかに妖怪の数や種類などを把握すると、辰巳たちのところへと戻っていった。
「……」
眼前で飛行部隊が壊滅し、瀬戸大将は馬上で茫然としていた。
「……ど、どうしましょうか?」
同じように茫然としていた子泣き爺は、絞り出すような声で問いかけた。
瀬戸大将の脳裏に“撤退”の二字が浮かんできたが、すぐにそれをかき消す。
確かに飛行部隊の壊滅は大きな被害ではあるが、一方で主力である地上部隊には全く損害は出ていない。
攻撃の正体についてはいまだ手掛かりすら掴めていないが、飛行中の妖怪のみを攻撃している点から、対空戦闘に特化したものである可能性が高い。
もし同等の威力を持つ攻撃を地上部隊に対しても行えるのであれば、ここに至るまでの間に攻撃を仕掛けているはずだ。
多分に願望が含まれている推測ではあったが、瀬戸大将は進軍を続けるために、攻撃の正体について一応の結論を出したのである。
「……このまま進軍を続ける」
「あの……念のためにお伺いしておきますが、撤退というお考えは?」
子泣き爺は見るからに不安げな顔で再考を促す。
「ない。主力部隊が健在である以上、小田原攻めはなんとしてでも実行する」
瀬戸大将は子泣き爺に向かってそう断言すると、動揺する兵たちを鼓舞すべく、刀を高々と掲げながら大声を上げた。
「皆の者、よく聞け! 飛行部隊の犠牲を無駄にせぬためにも、我らはなんとしてでも小田原攻めを果たさねばならないのだ。そして攻撃を放ったやつを討ち倒し、彼らの無念を晴らそうではないか!」
瀬戸大将はそのまま兵たちの様子を見たが、反応は芳しくなく、やる気を出しているものがいる一方で、大半はこのまま進軍することに不安を覚えている感じだった。
「進めー!」
それでも瀬戸大将は大声で号令を発し、軍勢は小田原へ向けて動き出したのであった。
「わかりました。じゃあ、飛んでる妖怪たちに向かってミサイルを叩き込んでください」
辰巳からの報告を聞いたユノウは、いよいよ戦闘開始の合図を出した。
「わかった、知久さんに伝えるよ」
ユノウとの通話を終えた辰巳は、大きく息を吐いてから三郎に話しかけた。
「知久さん、ユノウから攻撃の指示が出ました。妖怪たちに向かってミサイルを発射してください」
「了解しました」
三郎はすぐに発射態勢を整えると、八発の対空ミサイルを発射。数秒の装填時間を経て、再度八発のミサイルを発射するといった具合に、次々とミサイルを発射していく。
そして数分と経たずして、三郎のレーダーから妖怪を示す反応はすべて消え去った。
「レーダーに反応なし。すべて撃墜しました」
とんでもない戦果であるのだが、三郎はこれまで同様淡々と報告した。
「ご苦労様です。……ユノウ、応答してください、ユノウ……」
辰巳は敬礼しながら三郎に労いの言葉をかけると、そのままユノウに連絡する。
「……はい」
「飛んでる妖怪はすべて撃墜したよ」
「わかりました。引き続き上空警戒をお願いします。それと、ワミさんに偵察をお願いしてください。今なら護衛を外れても大丈夫だと思うので」
「わかった。……ワミさん、ユノウが偵察に行ってきて欲しいって」
「わかりました。では、行ってまいります」
ワミは手に持っていた杖をほうきに変化させると、それに軽く腰かけて優雅に飛んでいった。
「さぁて、どこにいるのかしらねぇ……」
ワミは、上品なデザインのオペラグラスを覗き込みながら街道を東進。ほどなくして、江戸からの軍勢を発見した。
「あ、あれね」
ワミは必要以上に近づくことはせず、円を描くように周囲を飛びながら、遠巻きに様子をうかがっている
「牛車のようなものに、骸骨の馬に乗ったもの、諸々合わせて三〇〇〇くらいかしらね」
ワミは大まかに妖怪の数や種類などを把握すると、辰巳たちのところへと戻っていった。
「……」
眼前で飛行部隊が壊滅し、瀬戸大将は馬上で茫然としていた。
「……ど、どうしましょうか?」
同じように茫然としていた子泣き爺は、絞り出すような声で問いかけた。
瀬戸大将の脳裏に“撤退”の二字が浮かんできたが、すぐにそれをかき消す。
確かに飛行部隊の壊滅は大きな被害ではあるが、一方で主力である地上部隊には全く損害は出ていない。
攻撃の正体についてはいまだ手掛かりすら掴めていないが、飛行中の妖怪のみを攻撃している点から、対空戦闘に特化したものである可能性が高い。
もし同等の威力を持つ攻撃を地上部隊に対しても行えるのであれば、ここに至るまでの間に攻撃を仕掛けているはずだ。
多分に願望が含まれている推測ではあったが、瀬戸大将は進軍を続けるために、攻撃の正体について一応の結論を出したのである。
「……このまま進軍を続ける」
「あの……念のためにお伺いしておきますが、撤退というお考えは?」
子泣き爺は見るからに不安げな顔で再考を促す。
「ない。主力部隊が健在である以上、小田原攻めはなんとしてでも実行する」
瀬戸大将は子泣き爺に向かってそう断言すると、動揺する兵たちを鼓舞すべく、刀を高々と掲げながら大声を上げた。
「皆の者、よく聞け! 飛行部隊の犠牲を無駄にせぬためにも、我らはなんとしてでも小田原攻めを果たさねばならないのだ。そして攻撃を放ったやつを討ち倒し、彼らの無念を晴らそうではないか!」
瀬戸大将はそのまま兵たちの様子を見たが、反応は芳しくなく、やる気を出しているものがいる一方で、大半はこのまま進軍することに不安を覚えている感じだった。
「進めー!」
それでも瀬戸大将は大声で号令を発し、軍勢は小田原へ向けて動き出したのであった。
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