72 / 86
第2章 北条家戦争
相模川の戦い
しおりを挟む
「なんだっ、何が起こった!?」
突然の爆音に、瀬戸大将は飛び上がらんばかりに驚いた。
「瀬戸大将殿ぉ! 敵の砲撃です! 敵のぉ……」
大慌ててでやって来た子泣き爺の背後で、再び爆音が鳴り響く。
「砲撃……」
瀬戸大将は表情を曇らせる一方で、攻撃の正体が判明していることに安堵感も覚えていた。
「瀬戸大将殿、敵は川向こうより大筒を放っております。かなりの高性能にて、朧車は一撃で行動不能に陥りました」
「なんだと!? ……で、大筒は何門ある?」
「大筒とおぼしきものは一門です」
「一門だけか」
瀬戸大将は少しほっとした。
「それと、敵は橋の周囲に陣を張っているようです。ただ、その数は我らの半数以下とのこと」
「なるほど、相模川を天然の防壁とし、高性能の大筒で数的不利を補っているというわけか。……ならば、ここは力で押し通るのみ。子泣き爺殿、騎馬部隊とともに全速力で橋へと向かい、進路を確保してくれ」
相手の狙いを理解した瀬戸大将は、機動力のある部隊を先行させることにした。
「わかりました」
子泣き爺とともに、朧車部隊と騎馬部隊は全速力で橋の方へと向かう。
「そちらの半数は川岸に向かって大筒を狙え。残りはこのまま橋を突っ切るぞ!」
正確無比な砲撃によって次々と朧車が撃破されていくなか、子泣き爺は狙いを定めにくくするため、朧車部隊を二手に分けた。
「おわっ! やはり、こちらを狙ってきたか」
砲撃は橋へ向かう部隊に向けられ、相応の被害を出しつつあった。
一方で街道を外れて川岸へと向かった部隊は大きく横に展開。被害を出しつつもなんとか距離を詰め、攻撃射程内に市丸たちを捉えようとしていた。
「よし、行け!」
横目でその様子を見ていた子泣き爺は、力強く右手を前に出した。
朧車たちが攻撃態勢に入りつつあった次の瞬間、激しい銃撃音がけたたましく鳴り響いた。
「近づかせませんよ」
三郎は朧車たちに向かって豪快に機関砲をぶっ放した。
「すいません。助かりました」
市丸は主砲を放ちつつお礼を言った。
「お気になさらず。対岸への接近は私が対処しますので、桂さんは橋の方を優先して攻撃してください」
話している間も三郎は絶え間なく機関砲を撃ち続け、朧車たちは攻撃どころではなくなり、後退するものや戦闘不能に陥るものが現れ始めていた。
「♪雷よ、雷よ。轟け、轟け、轟けろけろけろけろぉー」
ほうきに乗ったワミは、上空から騎馬部隊に電撃魔法をおみまいしていく。
「拙者も行くか」
戦況の変化を確認した照之進は、橋の上へと移動し、そこから妖怪たちに向かって矢を射始めた。
「あ、海江田さんも動き出した」
「もうあそこにいる必要性もないですからね」
味方が妖怪たちを圧倒していることもあって、辰巳とユノウは余裕を持って成り行きを見守っていた。
「それにしても、妖怪と魔女と戦車が戦うって、すげぇ絵だな」
「カオスな異種格闘技戦って感じですよね」
「……え?」
辰巳はユノウの例えがいまいちピンと来なかった。
「あ、なんでもないです」
そんな他愛もない会話がなされている傍らでは、正二郎たちが唖然とした様子で対岸での戦いを眺めていた。
「……俺らの出番はねぇな」
対空ミサイルと異なり、戦闘の様子を間近で見ているので、その分正二郎の受けた衝撃も大きかった。
「武人としてこんなことを言うのもあれだが、出番がなくて良かったと思ってる。正直なとこ、俺らじゃあの数の牛車のバケモンには太刀打ちできなかっただろうからな」
「確かに、刀や弓じゃ、あれ一体倒すだけで一苦労だ」
正二郎は苦笑しながら侍の言葉に同意を示す。
「そいつをああも簡単に屠っていくんだからな。そのうえ、矢に銃弾、電撃が雨あられと降り注いでくるんだ、なんだかもののけどもが可哀そうになってくるな」
思わず侍が同情してしまうほどに、戦いは一方的な展開で進んでいった。
突然の爆音に、瀬戸大将は飛び上がらんばかりに驚いた。
「瀬戸大将殿ぉ! 敵の砲撃です! 敵のぉ……」
大慌ててでやって来た子泣き爺の背後で、再び爆音が鳴り響く。
「砲撃……」
瀬戸大将は表情を曇らせる一方で、攻撃の正体が判明していることに安堵感も覚えていた。
「瀬戸大将殿、敵は川向こうより大筒を放っております。かなりの高性能にて、朧車は一撃で行動不能に陥りました」
「なんだと!? ……で、大筒は何門ある?」
「大筒とおぼしきものは一門です」
「一門だけか」
瀬戸大将は少しほっとした。
「それと、敵は橋の周囲に陣を張っているようです。ただ、その数は我らの半数以下とのこと」
「なるほど、相模川を天然の防壁とし、高性能の大筒で数的不利を補っているというわけか。……ならば、ここは力で押し通るのみ。子泣き爺殿、騎馬部隊とともに全速力で橋へと向かい、進路を確保してくれ」
相手の狙いを理解した瀬戸大将は、機動力のある部隊を先行させることにした。
「わかりました」
子泣き爺とともに、朧車部隊と騎馬部隊は全速力で橋の方へと向かう。
「そちらの半数は川岸に向かって大筒を狙え。残りはこのまま橋を突っ切るぞ!」
正確無比な砲撃によって次々と朧車が撃破されていくなか、子泣き爺は狙いを定めにくくするため、朧車部隊を二手に分けた。
「おわっ! やはり、こちらを狙ってきたか」
砲撃は橋へ向かう部隊に向けられ、相応の被害を出しつつあった。
一方で街道を外れて川岸へと向かった部隊は大きく横に展開。被害を出しつつもなんとか距離を詰め、攻撃射程内に市丸たちを捉えようとしていた。
「よし、行け!」
横目でその様子を見ていた子泣き爺は、力強く右手を前に出した。
朧車たちが攻撃態勢に入りつつあった次の瞬間、激しい銃撃音がけたたましく鳴り響いた。
「近づかせませんよ」
三郎は朧車たちに向かって豪快に機関砲をぶっ放した。
「すいません。助かりました」
市丸は主砲を放ちつつお礼を言った。
「お気になさらず。対岸への接近は私が対処しますので、桂さんは橋の方を優先して攻撃してください」
話している間も三郎は絶え間なく機関砲を撃ち続け、朧車たちは攻撃どころではなくなり、後退するものや戦闘不能に陥るものが現れ始めていた。
「♪雷よ、雷よ。轟け、轟け、轟けろけろけろけろぉー」
ほうきに乗ったワミは、上空から騎馬部隊に電撃魔法をおみまいしていく。
「拙者も行くか」
戦況の変化を確認した照之進は、橋の上へと移動し、そこから妖怪たちに向かって矢を射始めた。
「あ、海江田さんも動き出した」
「もうあそこにいる必要性もないですからね」
味方が妖怪たちを圧倒していることもあって、辰巳とユノウは余裕を持って成り行きを見守っていた。
「それにしても、妖怪と魔女と戦車が戦うって、すげぇ絵だな」
「カオスな異種格闘技戦って感じですよね」
「……え?」
辰巳はユノウの例えがいまいちピンと来なかった。
「あ、なんでもないです」
そんな他愛もない会話がなされている傍らでは、正二郎たちが唖然とした様子で対岸での戦いを眺めていた。
「……俺らの出番はねぇな」
対空ミサイルと異なり、戦闘の様子を間近で見ているので、その分正二郎の受けた衝撃も大きかった。
「武人としてこんなことを言うのもあれだが、出番がなくて良かったと思ってる。正直なとこ、俺らじゃあの数の牛車のバケモンには太刀打ちできなかっただろうからな」
「確かに、刀や弓じゃ、あれ一体倒すだけで一苦労だ」
正二郎は苦笑しながら侍の言葉に同意を示す。
「そいつをああも簡単に屠っていくんだからな。そのうえ、矢に銃弾、電撃が雨あられと降り注いでくるんだ、なんだかもののけどもが可哀そうになってくるな」
思わず侍が同情してしまうほどに、戦いは一方的な展開で進んでいった。
0
あなたにおすすめの小説
アラフォー幼女は異世界で大魔女を目指します
梅丸みかん
ファンタジー
第一章:長期休暇をとったアラフォー独身のミカは、登山へ行くと別の世界へ紛れ込んでしまう。その場所は、森の中にそびえる不思議な塔の一室だった。元の世界には戻れないし、手にしたゼリーを口にすれば、身体はなんと6歳の子どもに――。
ミカが封印の箱を開けると、そこから出てきたのは呪いによって人形にされた大魔女だった。その人形に「大魔女の素質がある」と告げられたミカは、どうせ元の世界に戻れないなら、大魔女を目指すことを決心する。
だが、人形師匠はとんでもなく自由すぎる。ミカは師匠に翻弄されまくるのだった。
第二章:巷で流れる大魔女の遺産の噂。その裏にある帝國の侵略の懸念。ミカは次第にその渦に巻き込まれていく。
第三章:異世界で唯一の友人ルカが消えた。その裏には保護部屋の存在が関わっていることが示唆され、ミカは潜入捜査に挑むことになるのだった。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
若返ったオバさんは異世界でもうどん職人になりました
mabu
ファンタジー
聖女召喚に巻き込まれた普通のオバさんが無能なスキルと判断され追放されるが国から貰ったお金と隠されたスキルでお店を開き気ままにのんびりお気楽生活をしていくお話。
なるべく1日1話進めていたのですが仕事で不規則な時間になったり投稿も不規則になり週1や月1になるかもしれません。
不定期投稿になりますが宜しくお願いします🙇
感想、ご指摘もありがとうございます。
なるべく修正など対応していきたいと思っていますが皆様の広い心でスルーして頂きたくお願い致します。
読み進めて不快になる場合は履歴削除をして頂けると有り難いです。
お返事は何方様に対しても控えさせて頂きますのでご了承下さいます様、お願い致します。
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる