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第2章 北条家戦争
妖怪が去りし後
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「やっぱ、色々と荒れてるなぁ……」
辰巳は破れた襖や焦げ跡の付いた壁などを見て、ポツリと感想を漏らす。
「結果的に、一番最初に行われた江戸城内での戦いが、一番壮絶だったってことになりましたからね」
床や壁などには血の跡が生々しく残っており、激しい戦いがあったことを如実に表していた。
「なんか全然実感はないんだけど、こういうのを見ると、妖怪って強いんだなって思うよ」
「強さもそうですけど、今回の場合は数の差もあったはずですから、苦戦は必至でしたね」
ユノウが言ったように、妖怪たちは湯水のように現れており、家臣たちは一対二や一対三といった不利な戦いを強いられることになったのである。
「もし戦車とかが通用しなかったら、俺らもやばかったかもしれないな」
「妖怪や幽霊の類だと、物理攻撃が通用しないパターンもあり得ますからね。ただ、辰巳さんの紙切りの場合、純粋な物理攻撃って感じがしないんで、そういうやつにも通用しそうな気もしますけどね」
そんな会話をしつつ辰巳たちは御殿の中を進み、やがて一〇畳ほどの広さがある部屋に通された。
「どうぞ、お座りくだされ」
勝之助に促され、辰巳たちは畳の上に腰を下ろした。
「永島様、早速ではございますが、事の経緯についてご説明願います」
勝之助と向かい合うようなかたちで座った正二郎は、真剣な面持ちで真相を問い質した。
「……今更隠し立てしても仕方あるまいか」
勝之助は意を決して口を開くと、そもそもの発端となった河越に対する謀や、自棄になった氏吉が北条家を滅ぼすために妖怪たちを喚び出したことなど、すべてを洗いざらい白状した。
「……これがすべてだ。家臣として、殿の暴挙をお止めできなかったのは不徳の致すところ。よって、その責はすべて私にある。どのような罰であろうとも甘んじて受ける覚悟ゆえ、どうか他の者たちには寛大な処置が下るよう、おとりなしくださいませ」
勝之助は、額を畳に擦りつけるほどに深々と頭を下げた。
正二郎が口を開いたのは、それから十数秒後のことだ。
「……わかりました。このこと、すぐに秀頼様と殿にお伝えいたします。沙汰あるまで、引き続き事後処理の指揮をお願いいたします。お三方、ちょっとよろしいかな」
正二郎は辰巳たち三人を伴って一旦部屋を出た。
「お三方には、このまま急ぎ小田原へと戻ってもらい、仔細を秀頼様と殿にお伝えしていただきたい」
三人は一瞬顔を見合わせたが、答えは決まっていた。
「わかりました。で、正二郎さんたちは?」
ユノウが代表して返事をした。
「我々はしばらく江戸に残り、事後処理の手伝いをする予定だ。……それくらいはしないと、何もせずに小田原へ戻ることになってしまうからな」
正二郎は冗談っぽく笑った。
「そうですか。じゃ、あたしたちは先に戻りますね」
正二郎に別れを告げ、三人はその場を後にする。
「ねぇ、小田原にはヘリで戻るの?」
「……」
辰巳の言葉を聞いた瞬間、奈々の表情が曇る。
「いえ、今回はそこまで急ぐ必要はありませんし、人数も少ないんで軽自動車で行きましょうか」
ユノウは奈々のことをちらっと見るとニコッと笑った。
「ふぅ……」
“軽自動車”がなんなのかはわからないが、とりあえず空を飛んでいかなそうだったので、奈々はほっと胸をなでおろした。
この後、会話のとおり軽自動車に乗り込んだ三人であったが、予想以上に往来する馬車や旅人の数が多く、それらを避けながら街道を走るのは危険だと判断。途中で辻馬車での移動に変更し、小田原への帰還を果たすのだった。
辰巳は破れた襖や焦げ跡の付いた壁などを見て、ポツリと感想を漏らす。
「結果的に、一番最初に行われた江戸城内での戦いが、一番壮絶だったってことになりましたからね」
床や壁などには血の跡が生々しく残っており、激しい戦いがあったことを如実に表していた。
「なんか全然実感はないんだけど、こういうのを見ると、妖怪って強いんだなって思うよ」
「強さもそうですけど、今回の場合は数の差もあったはずですから、苦戦は必至でしたね」
ユノウが言ったように、妖怪たちは湯水のように現れており、家臣たちは一対二や一対三といった不利な戦いを強いられることになったのである。
「もし戦車とかが通用しなかったら、俺らもやばかったかもしれないな」
「妖怪や幽霊の類だと、物理攻撃が通用しないパターンもあり得ますからね。ただ、辰巳さんの紙切りの場合、純粋な物理攻撃って感じがしないんで、そういうやつにも通用しそうな気もしますけどね」
そんな会話をしつつ辰巳たちは御殿の中を進み、やがて一〇畳ほどの広さがある部屋に通された。
「どうぞ、お座りくだされ」
勝之助に促され、辰巳たちは畳の上に腰を下ろした。
「永島様、早速ではございますが、事の経緯についてご説明願います」
勝之助と向かい合うようなかたちで座った正二郎は、真剣な面持ちで真相を問い質した。
「……今更隠し立てしても仕方あるまいか」
勝之助は意を決して口を開くと、そもそもの発端となった河越に対する謀や、自棄になった氏吉が北条家を滅ぼすために妖怪たちを喚び出したことなど、すべてを洗いざらい白状した。
「……これがすべてだ。家臣として、殿の暴挙をお止めできなかったのは不徳の致すところ。よって、その責はすべて私にある。どのような罰であろうとも甘んじて受ける覚悟ゆえ、どうか他の者たちには寛大な処置が下るよう、おとりなしくださいませ」
勝之助は、額を畳に擦りつけるほどに深々と頭を下げた。
正二郎が口を開いたのは、それから十数秒後のことだ。
「……わかりました。このこと、すぐに秀頼様と殿にお伝えいたします。沙汰あるまで、引き続き事後処理の指揮をお願いいたします。お三方、ちょっとよろしいかな」
正二郎は辰巳たち三人を伴って一旦部屋を出た。
「お三方には、このまま急ぎ小田原へと戻ってもらい、仔細を秀頼様と殿にお伝えしていただきたい」
三人は一瞬顔を見合わせたが、答えは決まっていた。
「わかりました。で、正二郎さんたちは?」
ユノウが代表して返事をした。
「我々はしばらく江戸に残り、事後処理の手伝いをする予定だ。……それくらいはしないと、何もせずに小田原へ戻ることになってしまうからな」
正二郎は冗談っぽく笑った。
「そうですか。じゃ、あたしたちは先に戻りますね」
正二郎に別れを告げ、三人はその場を後にする。
「ねぇ、小田原にはヘリで戻るの?」
「……」
辰巳の言葉を聞いた瞬間、奈々の表情が曇る。
「いえ、今回はそこまで急ぐ必要はありませんし、人数も少ないんで軽自動車で行きましょうか」
ユノウは奈々のことをちらっと見るとニコッと笑った。
「ふぅ……」
“軽自動車”がなんなのかはわからないが、とりあえず空を飛んでいかなそうだったので、奈々はほっと胸をなでおろした。
この後、会話のとおり軽自動車に乗り込んだ三人であったが、予想以上に往来する馬車や旅人の数が多く、それらを避けながら街道を走るのは危険だと判断。途中で辻馬車での移動に変更し、小田原への帰還を果たすのだった。
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