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第一話 神様 バイトの面接助ける
しおりを挟む目が覚めたら、そこは雲の上だった。ふわふわした白い床に寝転がりながら、俺は状況を整理しようとした。前日の記憶は…そうだ、コンビニで買った賞味期限切れの弁当を食べて、「うわっ、腹痛い!」って叫んだらそのまま意識が飛んだんだ。で、次に気づいたらここ。雲の上。
「えっと…死んだ?」自分で呟いて自分で首を振る。いやいや、まさかね。だって死んだら普通、暗いトンネルとか、天国っぽい門とか出てくるだろ? でもここ、ただの雲だよ。しかもなんかふかふかしてるし。試しにジャンプしてみたら、トランポリンみたいに跳ね返されて笑っちゃった。
「おーい、誰かいないのー?」大声で叫んでみたら、雲の向こうから眩しい光がパッと広がって、白髪のじいさんが現れた。ローブ着てて、杖持ってて、いかにも「神っぽい」感じ。
「おお、新たな神よ。ようこそ天界へ!」「は? 新たな神?」「うむ。そなた、転生したのだ。しかもただの転生ではない。神としての転生だ!」「えええええ!?」
じいさん曰く、俺は前世で何かすごい徳を積んだらしい(コンビニのポイントカード貯めたくらいしか思い当たらないけど)。その結果、死に際に「神の席」が空いてたから、そこにスライドインしたってわけ。で、今の俺は「なんでも自由にできる神様」らしい。
「なんでも自由って…マジで?」「うむ。試してみなさい」じいさんがニヤッと笑うから、俺はとりあえず思いつきで言ってみた。「じゃあ、ハンバーガー!」すると、手の中にジューシーなハンバーガーがポンッと出現。マジかよ。かじってみたら、めっちゃ美味い。しかもカロリーゼロらしい(神だから太らないって)。
「すげえ! じゃあ次、金!」今度は目の前に金塊がドサッと落ちてきた。「うおおおお! 俺、神様最高!」テンション上がって雲の上で跳ね回ってたら、じいさんが冷静に言う。「まあ、下界のことは見ておくと良いぞ。神の仕事は人間を導くことだからな」「下界?」じいさんが杖を振ると、雲がスクリーンみたいになって、下界の様子が見えた。そこには、汗だくで走ってるスーツ姿の女の子が映ってた。
下界では、佐藤美咲(23歳、フリーター)が人生最大のピンチを迎えていた。「遅刻遅刻遅刻! バイトの面接に遅れたら終わりだよ!」履歴書を手に持ったまま、彼女は駅前の交差点で信号待ち。スマホを見たら、面接開始まであと10分。会場まで走ってもギリギリだ。しかも履歴書、汗でちょっとヨレちゃってるし。
「うわ、最悪…これ落ちたら今月家賃払えないよ…」美咲が泣きそうになってると、突然、空から声が聞こえた。「大丈夫かー?」「え?」見上げても誰もいない。でも確かに聞こえた。幻聴か? いや、そんな場合じゃない。美咲は走り出した。
雲の上では、俺がその子をガン見してた。「うわ、この子やばいね。めっちゃ焦ってるじゃん」「ふむ。神として助けてみるか?」じいさんがニヤニヤしてる。俺、なんか試されてる気がするけど、まあいいや。なんでもできる神様なんだから、助けてやろうじゃないか。
「よし、まずは時間だな」俺は指をパチンと鳴らした。すると、下界の時間がスローになった。信号待ちの車も、美咲の走るスピードも、全部スローモーション。「うおっ、すげえ! 俺、時間まで操れるの!?」「神だからな。当然だ」じいさんがドヤ顔で言うけど、俺はもうノリノリだ。
次に、美咲の汗だくの顔を見て思った。「これじゃ面接で印象悪いだろ。メイク直しといてやるか」また指をパチン。美咲の顔が一瞬でフルメイク状態に。汗も消えて、髪もサラサラ。ついでに履歴書のヨレもピシッと修正。「完璧!」
でも、まだ何か足りない気がする。「そうだ、面接ってさ、自己PRとか大事だよな。ちょっと自信つけさせとくか」俺は雲から手を伸ばして(物理的には届かないけど、神パワーでOK)、美咲の頭にポンと触れた。すると、彼女の心に「私はできる!」っていう謎の自信が湧いてきた。
美咲は気づかなかったけど、急に体が軽くなった気がした。「え、なんか私、めっちゃ調子いい?」信号が変わった瞬間、颯爽と走り出して、面接会場に滑り込みセーフ。息を整えて部屋に入ると、面接官がニコニコしてる。「おお、佐藤さん。時間ピッタリですね。素晴らしい!」「え、あ、はい! ありがとうございます!」履歴書を渡すと、面接官がさらに驚く。「これは…完璧に整った履歴書だ。字も綺麗だし、ヨレ一つない。素晴らしい!」美咲、自分でもびっくり。だってさっきまで汗でグチャグチャだったはずなのに。
面接が始まると、なぜか口が勝手に動く。「私の長所は、どんな困難でも諦めないことです! 例えば今日、時間ギリギリだったんですが、全力で走って間に合わせました!」(いや、嘘じゃないけど、こんな堂々と言えるキャラじゃなかったよね、私?)内心ビビりながらも、自信満々に喋る美咲。面接官は目を輝かせてメモってる。
雲の上では、俺がガッツポーズしてた。「よっしゃ! 完璧に助けたぜ!」「ふむ、まあまあだな。だが、神の力を使いすぎると人間が怠けるぞ」じいさんが釘を刺してきたけど、俺はもう楽しくて仕方ない。「いいじゃん、たまには神様のサービスデーってことでさ!」
で、最後の仕上げ。面接が終わる頃、俺は美咲のポケットに「採用おめでとう」のメモを忍ばせといた。もちろん、神パワーで。
面接後、会場を出た美咲はポケットに手を入れてビックリ。「え、メモ? 『採用おめでとう』って…いや、まだ結果出てないよね?」でも、なぜか確信があった。「私、受かる。絶対受かる!」その自信通り、翌日、バイト先から「採用」の電話が来た。美咲は飛び跳ねて喜んだ。「やったー! なんか知らないけど、運が良すぎる!」
雲の上で、俺はその様子を見てニヤニヤしてた。「な? 神様って楽しいだろ?」「ふむ。まあ、そなたのやり方も悪くはない。ただ、次はもう少し控えめに頼むぞ」じいさんが苦笑いしてるけど、俺はもう次を考えてた。「次は誰助けようかなー。恋愛成就とか面白そうだな!」
こうして、俺の「なんでも助けちゃう神様」生活が始まった。下界の人間たちよ、困ったら俺に祈れよ。なんでも叶えてやるからさ!
(おしまい)
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