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第六話 最後の戦い
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深淵の谷の広間で新たな道が開いた瞬間、空気が一変した。冷たく、重い圧力が俺たちを包む。壁の紋様が赤く輝き、通路の奥から低いうなり声が響いてきた。間違いない。深淵の王だ。「行くぞ。覚悟しろ」俺は銃を構え、エリシア、ガロン、アリシアに短く指示を出した。通路を進むと、巨大な地下空間に辿り着いた。天井は見えず、地面には黒い水が浅く溜まっている。中央に立つのは、全身が黒い鱗に覆われた巨体。身長は10メートルを超え、六本の腕に鋭い爪、頭部には無数の目が光っている。深淵の王。魔王ザルガートとは比べ物にならない威圧感だ。「我は深淵の王、アザロス。この世界を我が闇で満たす者だ。人間ごときが我に挑むとは笑止!」声が頭に直接響き、アリシアが一瞬怯んだ。だが、俺は冷静に状況を分析した。敵のサイズと動きから、単純な銃撃じゃ仕留めきれん。弱点を探しつつ、仲間と連携するしかない。「ガロン、アリシア、左右から動きを封じろ。エリシア、俺と正面から仕掛ける。弱点は目か核だ。狙え!」アザロスが咆哮を上げ、六本の腕が一斉に振り下ろされた。俺は横に跳び、エリシアが剣で爪を弾く。ガロンが大剣を振り回し、アリシアが短剣で素早く動き、腕の隙間を突く。俺は89式小銃を構え、無数の目を狙って連射。弾が鱗に弾かれたが、目の一つが潰れ、アザロスが怒りの声を上げた。「効くみたいだ。目を集中攻撃しろ!」指示を出しつつ、俺は弾薬の残りを確認。20発。使い切る前に決着をつける必要がある。アザロスが黒い霧を吐き出し、視界が遮られた。だが、特殊部隊の訓練で培った聴覚と勘が頼りだ。音を頼りに動き、霧の中を突っ切る。「佐藤、危ない!」エリシアの叫びと同時に、爪が俺をかすめた。肩に熱い痛みが走るが、気にしない。拳銃に切り替え、アザロスの胸に赤い核のような光を見つけた。あれが急所だ。「ガロン、アリシア、霧を散らせ!エリシア、俺を援護!」ガロンが大剣を振り回し、アリシアが短剣で風を起こす。霧が薄れ、核がはっきり見えた。エリシアが剣でアザロスの腕を抑え、俺が拳銃で核に全弾撃ち込んだ。「グオオオオ!」核が砕け、アザロスが膝をつく。だが、まだ息がある。俺はナイフを抜き、エリシアに叫んだ。「剣を貸せ!」彼女が投げた剣を受け取り、俺はアザロスの首に飛びついた。鱗の隙間にナイフを差し込み、全力で剣を突き立てる。黒い血が噴き出し、巨体が崩れ落ちた。「終わりだ」地面に降り立つと、空間が揺れ、紋様の光が消えた。アザロスの体が黒い霧に溶け、静寂が戻る。ガロンが息を切らしながら笑った。「お前、ほんと化け物だな。これで本当に終わりか?」エリシアが頷き、疲れた声で言った。「感じる…闇の力が消えた。王国を脅かすものはもういない」アリシアが涙を拭いながら俺を見た。「家族の仇、取れたよ…ありがとう、佐藤」俺は肩の傷を押さえつつ、軽く頷いた。「礼はいらん。生き残った。それで十分だ」広間の奥で光が溢れ、石板が浮かんだ。遺跡や塔で聞いた声が響く。「深淵の王を倒した者よ。この世界は救われた。お前たちに最後の力を与え、元の世界への道を開こう」光が俺たちを包み、体が軽くなった。だが、元の世界に戻る選択は保留だ。この世界にもまだやるべきことが残ってる気がした。
深淵の谷での戦いから1か月後。俺たちはレイヴァント王国に戻り、エリシアの指揮の下で復興が始まった。ガルザード帝国は深淵の王の死で混乱し、戦争は終結。王都の瓦礫は片付けられ、住民たちが笑顔を取り戻していた。俺は王都の外れに簡素な家を構え、戦士団の訓練を請け負っていた。バルドが副隊長として手伝い、新兵たちに俺の戦術を叩き込む。弾薬はトランが改良を重ね、安定供給できるようになった。89式小銃は異世界でも俺の相棒だ。ある日、エリシアが訪ねてきた。王冠を手に持つ彼女は、女王として即位したばかりだ。「佐藤、この国はあなたのおかげで立ち直った。報酬として何を望む?」「静かに暮らせればそれでいい。だが、情報網を貸してくれ。この世界の隅々を知りたい」エリシアは微笑み、頷いた。「分かった。あなたは自由に生きてくれ。それが私の感謝だ」その夜、ガロンとアリシアが酒を持ってやってきた。ガロンは冒険者ギルドを立ち上げ、アリシアはその副官として活躍中だ。「なぁ、佐藤、またでかい仕事が来たら呼べよ。お前となら退屈しねえ」ガロンが笑うと、アリシアが付け加えた。「私もだよ。もう一人じゃないからね」俺は酒を傾け、夜空を見上げた。二つの太陽が沈み、星が輝いている。この世界に転生してから、戦いばかりだった。だが、仲間ができた。元の世界に戻る道はあるが、今はここで生きるのも悪くない。翌朝、俺は馬車に乗り、新たな旅に出た。深淵の王は倒したが、アルテアにはまだ知られざる土地が広がっている。特殊部隊員としての血が騒ぐ。次に何が待っていようと、俺は生き抜く。それが俺、佐藤悠斗の生き方だ。
深淵の谷での戦いから1か月後。俺たちはレイヴァント王国に戻り、エリシアの指揮の下で復興が始まった。ガルザード帝国は深淵の王の死で混乱し、戦争は終結。王都の瓦礫は片付けられ、住民たちが笑顔を取り戻していた。俺は王都の外れに簡素な家を構え、戦士団の訓練を請け負っていた。バルドが副隊長として手伝い、新兵たちに俺の戦術を叩き込む。弾薬はトランが改良を重ね、安定供給できるようになった。89式小銃は異世界でも俺の相棒だ。ある日、エリシアが訪ねてきた。王冠を手に持つ彼女は、女王として即位したばかりだ。「佐藤、この国はあなたのおかげで立ち直った。報酬として何を望む?」「静かに暮らせればそれでいい。だが、情報網を貸してくれ。この世界の隅々を知りたい」エリシアは微笑み、頷いた。「分かった。あなたは自由に生きてくれ。それが私の感謝だ」その夜、ガロンとアリシアが酒を持ってやってきた。ガロンは冒険者ギルドを立ち上げ、アリシアはその副官として活躍中だ。「なぁ、佐藤、またでかい仕事が来たら呼べよ。お前となら退屈しねえ」ガロンが笑うと、アリシアが付け加えた。「私もだよ。もう一人じゃないからね」俺は酒を傾け、夜空を見上げた。二つの太陽が沈み、星が輝いている。この世界に転生してから、戦いばかりだった。だが、仲間ができた。元の世界に戻る道はあるが、今はここで生きるのも悪くない。翌朝、俺は馬車に乗り、新たな旅に出た。深淵の王は倒したが、アルテアにはまだ知られざる土地が広がっている。特殊部隊員としての血が騒ぐ。次に何が待っていようと、俺は生き抜く。それが俺、佐藤悠斗の生き方だ。
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