「完結」異世界転生した男は特殊部隊に所属していた

leon

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第五話 黒幕

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塔の最上階で魔術師を倒した後、俺は壁に刻まれた紋様をじっくり観察した。渦巻きと幾何学模様が混ざり合い、中央に赤い石と同じ形の印が浮かんでいる。単なる装飾じゃない。魔術的な意味があるはずだ。アリシアが拾った赤い石を手に持つと、紋様の一部が微かに光った。「これ…反応してる?」アリシアが驚いた声で言うと、ガロンが首をかしげた。「魔法の仕掛けか?お前ら、魔術師でもないのに分かるのか?」「分からん。ただ、魔王を操ってた奴がいるってのは確かだ。この紋様と石がその証拠だ」俺は特殊部隊員としての勘を働かせ、状況を整理した。魔王ザルガートは確かに死んだ。だが、あの魔術師の言葉――「本当の主は深淵にいる」――と、この紋様が示すのは、もっと大きな力が裏に潜んでいるってことだ。「この謎を解かないと、また魔物が湧いてくるかもしれない。俺は探る。アリシア、ガロン、どうする?」アリシアが即座に答えた。「私も行く。家族の仇がそこに繋がってるなら、見過ごせない」ガロンは肩をすくめて笑った。「面白そうじゃねえか。俺も付き合うぜ。報酬は後で考えればいい」決まりだ。俺たちは塔を出て、カルディスに戻り、旅の準備を整えた。宿で地図を広げ、紋様に似た印が記された場所を探す。すると、東の国境近くに「深淵の谷」と呼ばれる地域が記されていた。距離は馬車で10日以上。険しい道だが、他に手がかりはない。「ここを目指す。補給を済ませて、明朝出発だ」翌朝、馬車に食料と弾薬を積み、俺たちは東へ旅立った。


グラン荒野を越え、東へ進むこと5日目。道は岩だらけになり、馬車が軋む。風が強まり、遠くで雷鳴が響いていた。アリシアが地図を見ながら言った。「この先は国境だ。でも、最近戦争があったって噂が…気をつけた方がいいよ」「戦争か。なら、敵味方の区別が厄介だ。武器を隠して進め」フードをかぶり、銃を布で包んで目立たないようにした。だが、予想は外れた。夕暮れ時、岩場に隠れるようにして進む一団が見えた。数は30人ほど。革鎧と鉄の鎧を身に着け、剣や槍を手に持つ。だが、その動きは疲弊し、統率が乱れている。戦士団だ。「止まれ。様子を見る」馬車を止め、俺たちは岩陰に隠れた。戦士たちの中心に、金髪の若い女がいた。豪華なマントを羽織り、護衛に囲まれている。王族か貴族だろう。彼女が何か指示を出し、戦士たちが動きを止めた。「逃げてるみたいだな。追手がいるのか?」ガロンが呟くと、遠くから馬蹄の音が近づいてきた。黒い鎧の騎兵団だ。数は50以上。戦士団を追ってるらしい。戦闘が始まれば、俺たちも巻き込まれる。だが、見過ごすのも得策じゃない。あの王族っぽい女が情報を握ってる可能性がある。「援護する。ガロン、アリシア、左右から挟め。俺が正面を叩く」指示を出し、俺は銃を構えた。騎兵が戦士団に突撃する瞬間、俺は先頭の馬を撃ち抜いた。馬が倒れ、後続が混乱する。ガロンが大剣を振り回し、アリシアが短剣で騎兵の足を狙う。俺は冷静に狙いを定め、次々と仕留めた。10分で騎兵を半減させ、残りが撤退した。戦士団の戦士たちが驚いた顔で俺たちを見た。金髪の女が前に出て、凛とした声で言った。「私はエリシア、レイヴァント王国の第二王女だ。お前たちは何者だ?なぜ助けた?」「佐藤悠斗。旅人だ。巻き込まれたくなかったが、情報が欲しかった。王女なら何か知ってるだろ?」エリシアは一瞬警戒したが、やがて頷いた。「礼を言う。確かに情報はある。だが、ここは危険だ。我々の野営地で話そう」俺たちは戦士団と共に移動し、岩場に隠された簡易な野営地へ向かった。


野営地に着くと、戦士たちが焚き火を囲み、傷の手当てを始めた。エリシアは俺たちを天幕に招き、状況を説明した。「レイヴァント王国は東の帝国、ガルザードに攻められた。2か月前、首都が陥落し、私は護衛団と共に逃げてきた。王家を守るためだ。だが、ガルザードは魔物を操る力を持っている。普通の軍じゃない」「魔物を操る?」俺が聞き返すと、エリシアが頷き、懐から赤い石を取り出した。塔で見たものと同じだ。「これが証拠だ。敵の将軍が持っていた。魔王の残党と繋がってるらしい。私たちは深淵の谷へ向かい、そこで反攻の準備をするつもりだった」アリシアが目を輝かせて言った。「深淵の谷!私たちもそこへ行くんだ。魔王を操ってた黒幕がいるかもしれない」エリシアが驚いた顔で俺を見た。「魔王を倒したのはお前たちか?噂は聞いていたが…本当だったのか」「倒したさ。だが、それで終わりじゃない。紋様と石が示す黒幕を探してる。王女、あんたの目的と俺たちの目的が一致するなら、協力してもいい」エリシアは少し考え込み、やがて決意したように言った。「分かった。力を貸してくれれば、私の知識と戦士団を提供しよう。ガルザードを倒し、王国を取り戻すためだ」交渉成立だ。ガロンが笑って言った。「こりゃ大仕事だな。報酬は弾むんだろうな?」エリシアが微笑み、頷いた。「約束する。まずは深淵の谷へ向かおう。そこで全てが分かるはずだ」その夜、俺は戦士団の隊長、バルドと話した。40代の屈強な男で、剣術に長けている。「お前、妙な武器を使うな。だが、戦い方は一流だ。どこで覚えた?」「故郷の訓練だ。隊長、あんたの戦士団の実力は?」バルドは渋い顔で答えた。「元は100人いたが、今は30人だ。疲弊してるが、王女を守る覚悟はある。お前が加われば、戦力は上がるだろう」「なら、連携を叩き込む。敵が来たら即応できるようにしろ」翌朝、俺は戦士団に簡単な戦術を教えた。陣形の組み方、敵の動きを読む方法。特殊部隊のノウハウを簡略化して伝えると、バルドが感心したように頷いた。「これならやれる。お前、ただ者じゃねえな」準備を終え、俺たちは深淵の谷へ向かった。


深淵の谷に近づくと、空気が重くなった。霧が立ち込め、遠くで魔物の咆哮が聞こえる。地図通り、谷の入り口に巨大な門があった。石造りで、紋様が刻まれている。塔と同じだ。「ここが黒幕の本拠か?」俺が呟くと、エリシアが頷いた。「間違いない。この門の向こうに、ガルザードの将軍がいるはずだ」門を調べると、赤い石をはめる窪みがあった。アリシアが持つ石を嵌めると、門が軋みながら開いた。中は暗い通路が続き、魔物の気配が濃い。「戦士団は外で待機。俺とガロン、アリシア、エリシアで突入する。バルド、追手が来たら迎撃しろ」指示を出し、俺たちは通路へ進んだ。奥に進むと、広間に出た。中央に黒いローブの男が立ち、赤い石を握っている。背後に巨大な魔物――角と翼を持つ竜が控えていた。「よく来た。だが、ここで終わりだ。我が主、深淵の王のために!」男が叫び、竜が咆哮を上げた。俺は即座に指示を出した。「ガロン、アリシア、竜を抑えろ。エリシア、俺と一緒に男を叩く!」戦闘開始。竜が炎を吐き、俺は横に跳んで避ける。ガロンが大剣で足を斬り、アリシアが短剣で目を狙う。俺は男に銃を向け、連射。障壁に弾かれるが、エリシアが剣で斬りつけ、隙を作った。拳銃で赤い石を撃ち抜くと、男が叫び声を上げて崩れた。竜が暴れ出したが、石が壊れた影響か動きが鈍い。俺は最後の弾で頭を撃ち抜き、仕留めた。広間に静寂が戻る。エリシアが息を切らしながら言った。「これで…終わりか?」「まだだ。深淵の王が残ってる。この紋様が次の手がかりだ」壁の紋様が光り、新たな道が開いた。俺たちは顔を見合わせ、次の戦いへ向かう覚悟を決めた。
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