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ウェールズ王国
マサオミの葛藤
しおりを挟むサクラが眠った頃、マサオミは悩んでいた。
サクラのフワフワの髪の毛を弄りながらたため息を吐き、月を見上げた。
やけに大きく見える月が自分を笑ってるいる気がしてマサオミも自嘲した。
「依頼…受けるんじゃなかったな…。」
マサオミの呟きは森の闇に溶けて行った。
確か依頼して来た奴は雇われた奴だった、後で調べたら依頼はあの聖女様万歳教の関係者だと分かった。
なら、サクラを聖女に仕立て上げるのか?
こんな小さな少女を?
確かに俺は依頼されたら人も殺すし、もう何人かも分からない位消してきた。
でも俺にもまだ良心が残っていた…らしい。
サクラを奴らに渡すのは物凄く憚られる。
「まいったな~。」
スヤスヤ眠るサクラの隣にゴロンと横になるとマサオミも目を瞑った。
◆
その頃、ルイス筆頭とする王国騎士団は必死にサクラ捜索に当たっていた。
サクラ誘拐は各国の要人もパレードに合わせ来ていた為、直ぐに広まった。
「落とし人誘拐とは…何たる失態!」
国王も執務室で対応に追われながら拳を震わせていた。
「まだサクラは見つからないのか!!」
ダンっと机を叩き、宰相を見た。
「騎士団と傭兵団総出で捜索中でございます。しかし、捜索は難航しているようでございます。」
国王は今にも自身も飛び出して行きたい気持ちを物凄く我慢していた。
「陛下、ご自分も捜索に加わろうなどとおもいませんように。」
「分かっておるわ!!」
国王は図星をつかれた宰相を睨んだ。
一方、ルイスは捜索を森に集中させていた。
「隈無く探すのだ!犯人は身軽だ、木の上も見落とすな!!」
「「「「「はい!!」」」」」
ルイスもルイスで焦っていた。
もう日が暮れてしまった、捜索も難しい。
一度引いて、明日の早朝からまた…しかし、早くしないとサクラ様が!
「クソッ!!」
判断を誤ってはならない、小さなサクラ様を連れての逃亡だ。
サクラ様の体力を考えてもまだそう遠くには行っていない筈、騎士団の体力も考えて引くか…。
「撤退!!明朝森の更に奥を捜索する!しっかり休み明日に備えろ!!」
騎士団が撤退しても尚、森を見詰めるルイスがいた。
「お帰りにならないのですか?」
「ヒューズ…。」
ヒューズは執事だが闘う執事、ルイスが行く所なら何処でもついて行く。
「いや、私も戻る。」
そんなルイスにヒューズは眉を下げた。
そして、明朝…。
「おはよう!お兄さん、起きて~。」
顔をペチペチと叩かれてマサオミは目を開けた。
「おはよう、サクラ。」
「ご飯ですよ、早く食べよう?」
ご飯?!とガバッとマサオミは起き上がった。
そこには葉っぱに乗せられた料理が並んでいた。
「これ、サクラが作ったのか?」
「うん、材料は何か私の小袋にいっぱい入ってたの。」
実はこの世界に来てからずっと持っていた巾着はマジックバックになっていて色々入っている事に気付いたのだ。
「サクラ!その袋はマジックバックだ、この事は誰にも言っちゃ駄目だ!」
マサオミの勢いにサクラはポカーンとした。
「どうして?」
「マジックバックは希少なんだ。今や大貴族も王族すら持ってる奴は居ないだろう。だこら秘密なんだ、分かったか?」
「う、うん。」
この小さな巾着はそんな大層な物だったのかとサクラは巾着をまじまじと見た。
「飯、食うんだろ?」
「うん!いっぱい食べてね!」
2人はまた並んで食事を始めるのだった。
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