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ウェールズ王国
故郷
しおりを挟む食事は始めて葉っぱに並ぶ料理を見てマサオミは固まった。
「サクラ、この料理はどこで覚えた?」
「え?私の故郷の料理を再現したんだけど?何か変だった?」
巾着にはご丁寧に、米や味噌、醤油など日本の懐かしい物が沢山入っていた。
「サクラ…お前の…。」
「ん?」
俯いたマサオミにサクラは首を傾げた。
「日本…なのか?」
「え?そうだけど、何で知って…!」
ガバッと肩を掴まれたサクラはマサオミの顔を初めて見て息が詰まった。
黒髪に黒い瞳、片目には大きな傷があった。
その瞳は涙を溜めて潤んでいた。
「お兄さん?」
「マサオミだ、俺は神谷 雅臣日本人だ。」
「え?!えぇー!!じゃあお兄さんも落とし人??」
「いや、違う。」
それから雅臣は自分の事を話し始めた。
俺は休日確かに自分の部屋で寝ていた。
仕事の連勤も明けて、やっとの休日俺は泥の様に眠ったのは覚えている。
しかし、目が覚めたのは見知らぬ森の中だったのだ。
俺は訳の分からないままに兎に角森を出ようと道路を目指したが一向にアスファルトが見えない。
何時間歩いただろう、喉も渇き俺は座り込んでボンヤリしていた。
そこを通り掛かったのが森で木の実を集めていた俺のこっちでの母となったオリビアだった。
落とし人の話も母オリビアから聞いた。
落とし人が現れれば自然と王国から迎えが来るはずだと。
しかし、2ヶ月しても誰も俺と母の家を訪ねてくる王国の者は居なかった。
幸い、母の家は村からかなり外れた森の中にあった。
だから、俺は異端だと騒がれる事無く森で狩りをしながら母と暮らす生活を続けていた。
母からは髪色を隠し、目の色も隠す様に前髪を伸ばすように言われてその通りにた。
そんな暮らしが数年続いた頃、狩りから帰ると家が騒がしかった。
道具を置いて獲物を片手に開け放ちのドアの中を覗くと数人の女性と、母がベットで医者らしき男に診察されていたのだ。
「母さん!!」
俺は更にフードを深く被るとベットに近寄った。
「あぁ、マサオミ。ごめんなさい、母さんちょっと体調が悪くて先生を呼んで貰ったのよ。」
そう言う母の顔色はとても悪く、汗もかいているのが一目で分かった。
「マーサ、あんた息子が居たのかい?!」
恰幅の良い女性は不思議そうに聞いた。
それもそうだろう、ずっと森に一人で住んでいると思っていた所に俺みたいな男が居たのだから。
「マサオミは森で見つけたのよ。行く宛ても無いようだし、私も別に一人暮らしだったからうちで暮らす事になったの。」
「マサオミです。母さんの事ありがとうございました。」
頭を下げるとおばさん達…ゴホン、女性達は助け合いだと笑いながら家を出て行った。
「それで先生、母さんはどうなんですか?」
俺が聞くと医者は難しい顔をした。
「言いずらいがね、この病は凄くゆっくりと進行して行く病なんだ。何年も何十年も掛けて命を奪って行く。先ずは足から動かなくなるだろう。」
「はっ!何か治療は…。」
「いいや、出来るのは進行を遅らせる事だけだ。しかし、その薬は大変高価なのだよ。」
「必ず稼いで来ます!その時は薬をお願い出来ますか?」
「分かった。マーサ、安静にしておきなさい。また診にくるから。」
「ありがとうございました。ファール先生。」
それから俺は母さんの薬を買うために奔走したんだ。
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